一年前のエミリア周遊(2021年10月)、その3
とても地味な教会が続きます。
わざわざ行かなくてもよいけど、ロマネスク、と聞いたら、やはり行きたくなっちゃうよね。でも例えば日本から来る人だったら、優先順位とか時間的余裕とか色々考えて計画建てる必要もあると思うし、実際に、見るべきものを優先で見てほしいと思うので、そういう意味で、私が細かいマイナー案件は確認する義務っていうか意義はあるよな、とか、まぁ別に善人ぶるわけじゃないけれど、住んでいるからこそ、無駄走りも時間の無駄使いもしやすいので、マイナー物件はお任せください、という気持ちはあるんです。
とはいっても、そういうマイナー物件って、やっぱり在住で、何度も行く機会があるとしても、なかなかカバーしにくいのも現実なんですけどもね。
この時の週末旅は、結構そういうところばっかり回った感じです。
コンティニャーコContignacoのサン・ジョバンニ教会Pieve di San Giovanniです。
ここに行く時もナビがおかしくなって、結構迷いそうになって、自分の勘を信じたら、珍しくうまくいった、というのを覚えています。強烈なレベルの方向音痴なんで、そんなことはめったにないんで、逆に落ち着かなかった…、笑。それにしてもなんなん?この辺り、GPSダメなんかい。
まず言っときますけど、この場所におけるもっとも見るべきは、おそらく、その美しい風景だと…。
教会、ちょっとした丘のトップに建っていて、そこからの緑の風景、癒しです。
こういう教会は、蘊蓄をあまり調べても仕方ないと思うので、前回同様に、現地にあった説明版の解説だけ、読んでいきたいと思います。多少の由来とか歴史は、常に面白いとこあるしね。
「この教会は、アペニン山脈を横切る道上にあり、それはVia Francigenaのメイン・ルートの跡と並行する道となる。」
とあったので、さっそく地図で確認。
メイン・ルートは、現在高速道路が通っているところになるのかな。この高速は、パルマの北部でアペニン山脈に入って、ラ・スペツィアに抜けるんだけど、途中、巡礼路らしい教会が点々とあります。
Via Francigenaは、何度も言及していますが、欧州北部からローマ、さらにエルサレムへと続く中世の巡礼路ですが、イタリアの中部この辺りでは、何本も支線があるみたいなんですよね。アペニン山脈は難所となるし、ローマも近付いたこの辺りでは巡礼者の数も増えるのかもしれないから、遠回りだけど緩やかな道だったり、宿などのファシリティーがよい道だったり、巡礼者それぞれに応じた選択肢が提供されていたということなのかも。いや、知らないんだけど、そういう研究って、きっとあるだろうね。サンチャゴの道に比べると、こちらはマイナーだし、整備も全域できているわけじゃないと思うので、研究の余地はあるのかな。
グーグルの地図があてになるわけではありませんが、それの上では、比較的大きな道にあるね。これを航空写真で見ると、なるほど、という感じです。
フィデンツァ側にあるサルソマッジョーレ・テルメSalsomaggiore Termeは文字通り温泉。中世の頃、温泉ってどうだったんだろうか。でも温泉があるっていうことは、ちょっと風光明媚だったり気候がよかったりする可能性高いから、保養地的な土地だったかもしれないし、その先に、ペッレグリーノ・パルメンセPellegrino Parmense(直訳するとパルマの巡礼者)という名前の町があるのも興味深いね。
支線でも、大きい道だったのかもね。
「1179年の記録における言及が最も古いもので、1196年には、すでに教会Pieveとして言及されている。
そのオリジナルのロマネスクは、20世紀に実施された修復の結果として、明らかにされた。それにより、シンプルな切り石による構造が明らかになった。
内部は、三身廊、四角い三つの角柱をもち、キューブ型柱頭を持つ一つの円柱からなる。後陣の円筒の奥行きはない。
現在洗礼盤が置かれている鐘楼下の礼拝堂には、15世紀ゴチック後期のフレスコ画。
中央身廊の突き当りには洗礼者ヨハネを伴う、アーモンドの中のキリストというフレスコ画があり、左身廊には、キリストの磔刑と、天使や聖人の姿のフレスコ画。
右一本目の角柱には、サンタ・ルチア。」
内部の説明はこれだけですが、十分かな。
全体に手が入り過ぎた結果、近年、ロマネスク様式に戻すような修復が行われたタイプの教会で、装飾は、14世紀以降のフレスコ画で、今はオリジナルの場所とは違う場所に並んでいる感じです。ロマネスク観点からは絶対に好きじゃないやつがほとんどでしたが、若干ロマネスクを感じさせる中世テイストがあるかも、というものが僅かありました。
困り果ててる様子の人が、切ない…。
こうなると、私はもうだめ。
ただ、後代の加筆がかなり入っているのかもしれませんねぇ。どうなのかな。フレスコ画は、時代の特定が難しいと聞いたことあるし。
サンタ・ルチア。そろそろルネサンス風ですかね。
この人は、ちょいとピエロ・デッラ・フランチェスカ風で、好みかも。でも、不敵なほほえみが、とても天使には見えない…。何か悪だくみを考えてニヤッとしている俗世まみれの人にしか…、笑。
他に何かないのかとうろうろ。
唯一の円柱、味はありますね。
そして、壁に置かれていたお像。
ここだけ、ちょっと古いもの集めてみましたコーナーみたいになってました。ファサードの裏側です。
元々、ファサードはこうなってました、というオリジナルの姿が、内側に再現されているのかもね。上のお像も、確かに今のファサードの外側にあるんです。
その、外に置いてあるのはレプリカなのかもね。
しかし、ファサード裏以外に、側廊の、フレスコ画が並べられているところにも、同じっぽいお像が置かれてて、それが一番摩耗激しくて、オリジナルなのか?って感じだったけど、何の説明もないからまったく不明でした。
というところでしょうか。ロマネスク的な興味はなかなか薄いですけれど、どんなところも行ったり調べたりすると、それなりに興味深いことは出てくるってやつですね。地形だったり往時の道のことは、結構興味あるので、そこは面白いと思いました。
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テーマ:art・芸術・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術
2023/01/02(月) 18:23:52 |
エミリア・ロマーニャ・ロマネスク
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