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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

一層100年?!(パナギア・アヒロピートス聖堂 その1)

ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その3

ホテルでもらった地図を頼りに、次に向かったのはアヒロピートス。と言っても、こちらも最初の訪問時は絶賛ミサ中だったので、パナギア・ハルケオン聖堂同様に、後から引き返して入場しています。

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アヒロピートス聖堂Church of Panagia Acheiropiitos(8-12/17-19)です。
早朝に開いて、昼休みがないなら助かるのですが、昼休みが5時間となると…。

ここは、パナギア・ハルケオン聖堂とは違って、街中に取り込まれているようなロケーションの上に、現在のレベルから相当下、ゆうに一回分は下が床面となっていて、入り口前のスペースもその段差との間の狭さで、全体の撮影ができませんでした。というわけで、上は本からのものとなりますが、後陣側ですね。こっち側、行けなかったように思いますが、行けたのかなぁ。

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分かりにくいと思いますが、鉄扉の先は階段になっていて、降りたところが、現在の入り口のある北側面になっています。

下も、本にあった、おそらく往時の想像図です。相当立派な複合施設という様子です。

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上の写真が、今教会の床面レベルになっている場所からですが、おそらく、南壁になるのかしら。プランと、本からの写真と見比べると、右側の通路的なものの向こうに、古い礼拝堂があるような感じ?やっぱりそっち側は行けなかったんだな(行けたのに見逃してたら悔しいから、行けなかったということで納得のフリ、笑)。

前の記事でちょっと触れたと思うのですが、テッサロニキの教会は、4世紀ごろから14世紀までと、かなり長い時期それぞれに建てられていて、それでこんなに多いんだってことなんですが、この教会は、最も古い初期キリスト教時代のものということです。で、当然バジリカ様式。
バジリカ様式って、スタイルとしては四角で面白みはないんですよね。巨大な四角でがらんとした感じ。ここはまさにそういう様子です。レンガ積みというところが、ローマにはないかなっていうところ。

入場して、そのがらーん度合いにびっくりさせられました。

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天井の高さはそうでもないけど、側廊との仕切りが、透けてるから、抜け感ってやつ?空間が広がりが半端ない。これはまさにローマにはないよね。
後代になって、側廊に二階部分が作られて、それでこういうスカスカ構造もあるけど、これ、側廊も天井だけだから、開口部からの明かりがすごいよ。

この教会、もともとはローマ時代の浴場があった場所に建てられたのだそうです。大邸宅(それも宗教に関係してるとかそういうやつ)とか、礼拝所とかはよくあるけど、お風呂の上に建つって、初めて聞いたと思います。
その浴場の痕跡がこれ。

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床モザイクが、北側身廊の下にあって、一部がガラス床面で見えるようになっています。よく見るとね、モザイク床も二重っていうか、二段重ねになってるんだよね。

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現地にあった写真だけど、発掘したら、こんなになってたらしい。かなりすごいし、さらに彫ればもっと広範囲でありそうだけど、それはしてなさそう。きりがないもんな。
解説版によれば、
「発掘調査の結果、ローマ浴場の、三層のモザイクが出てきて、その浴場は初期キリスト教時代の2世紀から4世紀まで使用されていたもの。最も上の床面は4世紀のもので、色彩豊かな幾何学モチーフが様々なパターンと組み合わされたもの。二層目は、白と緑の大理石で、モルタルに石が貼り付けてるタイプで、僅かして残されていない。三層目、もっと下層のものは、2世紀ごろと考えられ、白黒のみの幾何学モチーフとなっている。」

白黒のモザイクは、大好物ですが、それにしてもなんと贅沢な。浴場だからそれなりに消耗するだろうし、ちょっと状態悪くなったら、重ねる感じでモザイク床を刷新していたということなんですね。それにしてもローマの美意識たるや、おそるべし。

この教会、外側も、中も一見しただけでは分からないのですけれど、やっと見たかったものが、という装飾が沢山あります。期待していたビザンチンにあえる教会。
ということで、小刻みになってしまって申し訳ないですが、気長によろしくお願いします。

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  1. 2023/01/29(日) 18:17:36|
  2. ビザンチン
  3. | コメント:2
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コメント

テサロニキ

2018年に行きました。どこも懐かしいです。講師同行ツアーですから、結構しっかりみました。留学もなさった先生ですから、食べ物とかもお詳しくておみやげに タイムはちみつをすすめられた買ったのですが、 あの味今も忘れられません。 日本ではほとんど手に入りませんから。望郷の思いに似た気持ちで blogを見させていただいています。アヒロピートスの床下モザイクは、説明されたかもしれませんが記憶にないです。
  1. 2023/01/30(月) 01:41:02 |
  2. URL |
  3. yk #C8Q1CD3g
  4. [ 編集 ]

Re: テサロニキ

YKさん
2018年なら、私より一年前にいかれているんですね。であれば、同じ状態のものを見ておりますね。
私は、出発前、とにかく見るべき教会(世界遺産に登録されている教会)をピックアップして、場所などを特定するのが精いっぱいで、なんせ、ギリシャ語入ると、教会の名称すらよく分からなかったりしますもんねぇ。
なので、それぞれの見所なども、確か最低限、ネットで調べられる範囲で見ていった程度なんで、おそらくこれから整理していく中で、見落としなどに気付いていくことと思います、笑。あ、多分YKさんのサイトにもお世話になったと思います。
講師同行であれば、おそらく面白いお話が沢山聞けたことでしょうね。

いずれにしても、お互いコロナ前に素晴らしい体験ができて、よかったですよね!
  1. 2023/01/30(月) 12:44:52 |
  2. URL |
  3. Notaromanica #-
  4. [ 編集 ]

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