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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

おやじがいた…(アギア・ソフィア大聖堂 その2)

ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その7

アギア・ソフィア大聖堂Church of Agia Sophia(7-13/17-18時半)です。

全体に暗いので、あまりよい写真は撮れていませんが、内部を見ていきますね。

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「身廊の中央には四つのトンネルヴォルトのうえにドームが持ち上げられている。西側が広めになっている。
トンネルヴォルトによって形作られた四角の角には、ペンデンティブ。ドームの基部は正確な円ではなく不完全な形である。
東側のトンネルヴォルトと中央後陣の間に、さらにもう一つのトンネルヴォルトがあり、その屋根は聖所の屋根となっている。」

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図面で、後陣手前の真ん中部分にドームがあるんですが、そのドームを支える部分四辺が、それぞれトンネル・ヴォルトになっているという構造なんですが、上の写真でわかるでしょうか。
そして、後陣に続く部分も、同じようにトンネル・ヴォルトなんですが、その先も同じヴォルト構造になって、後陣に関しては、それが天井になっているわけなんです。

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これは、本にあった写真で、ギリシャ十字が描かれているところが、天井になっている部分で、手前がドームの支え部分ですね。

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前回書きましたけれど、早朝訪ねたときは自然光だけで、ほぼ真っ暗闇だったのが、夕方に再訪した時は、たまたま結婚式で、天井もずいぶんとよく見えたのです。ただ、よく見えたことに引きずられて、どうしても細部の撮影に走ってしまって、全体撮影、ほとんどしていなかったんですよね。
というわけで、上の写真は早朝の撮影。これでも、肉眼で見ているよりは、相当明るいです。ビバ、キャノン!

「ドームが置かれている円筒状の部分は、丸い角を持つ四角となっており、完全な円形とは程遠い。12の窓が、その円筒状の部分に開けられている。それらは外側では各面に三つの窓を持つ四角い形となっている。」

言われて初めて気付く、みたいな構造ですよね。ドーム丸いし、モザイクも丸く作られているので、自動的に丸いものと思っていると、確かに四角ですね。
そして、よく見ると、ドームの直下、窓の部分に柵が見えますね。メンテナンスのためなど、きっとあそこに上がることが出来るんでしょうねぇ。
ここのモザイクの保存状態は良さそうなので、あのレベルから見たら、きっとすごい迫力だと思います。

暗いと、図像の雰囲気は分かっても、正直感動が薄いんですよね。多分これはすごいモノだろうと思っても、やはり色彩やきらめきが認知できないと、おお!とはなりにくいもんです。だから、早朝、誰にも邪魔されることなく見ることはできたものの、悔しさだけが募りました。

なので、予定していたわけではなかったのですが、ついつい歩いてしまって、ついついのぞいて、結婚式でキラキラの堂内を見たときは、心底興奮いたしました。

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まさにキラキラでした。

「サンタソフィアのドームにある素晴らしいモザイクは、キリストの昇天を表している。ドームの中央部に置かれたキリストの周囲には、より大きな円が置かれ、十二使徒、そして二人の天使の間に聖母。
そこからキリストが昇天している岩山は古典的なスタイルで表されている。15それぞれのフィギュアが、それぞれ木で分割されているが、それもまた古典的なやり方。」

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断面鮮やかな鉱物のような描かれ方をしているのが、岩なんですね。ただ灰色や茶色の岩ではなく、こんな色とりどり鮮やかな岩って、不思議です。キリストの奇跡だったり、おめでたさとかそういう表現なのかな。いずれにしても、華やかでデザイン的で、とってもビザンチンですねぇ。

「しかしながら、アーティストは、使徒それぞれを個性化するように表している。各人がそれぞれのポーズで、昇天するキリストを見ている。」

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「使徒には光背が描かれておらず、キリストと聖母、そして天使にだけつけられている。
中央のキリストが、他の15人に比べ、年長な様子であるという言う意見は重要ではないが、それによって、10世紀終わりまたは11世紀初頭であるという年代にも影響を与えている。
モザイク全体は、9世紀終わり、886のものとされている。パナギア・ハルケオン聖堂にあるフレスコ画の昇天図が、このモザイクのモチーフを参考にしたと考えられているのだ。しかしながら、このモチーフのモデルは、他の教会の図像ではないかともされている。」

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「キリストは、多色で描かれた円の枠の中に表されている。二人の天使によって支えられる天国で、天使は羽根を広げている。
彼の右手は、祈りのポーズを取り、キリストは虹に腰掛けている。一方小さい虹が、彼の足の間に、足置きのように描かれている。」

全体に柔らかい動的なフィギュアが多い中で、キリストは顔がでかくて妙に謹厳というのか、とても静的な様子でどっしりしていて、確かに一人老成した表情で、何だろう、全体のバランスが不思議なんですよね。キリストだけ、手が違うなんてことがあるんだろうか。いや、たとえ手が違ったとしても、全体を考えた図像だろうから、この棟梁は、こういうキリストが欲しかったということなんだろうなぁ。

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この天使のポーズだったり、柔らかい様子っていうのかなぁ、お顔もオリエントがうまい具合に入ってる中世的なイケメン度合いもよいし、それでいて、ヒトではない的なクールな様子もラヴ。
からの、これ。

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固い。固すぎる…、笑。ってかさ、キラキラのお洋服も、まったく似合わない、似合わなさ度合、すごすぎません?
健さんがマツケンサンバ状態っていうの?いや。マツケンサンバ知ったかぶりなんだけども…。面白いですよねぇ。
そして、ここで、光がある、細部が見られるありがたさ、きっと分かってもらえると思います。

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「この中央のキリストの周囲に、より大きな円があり、12使徒と二人の天使に挟まれた聖母が置かれている。これら天使は、絵の下に書かれた言葉を、十二使徒に発していると考えられている。これらの言葉はキリストの昇天に関する使徒現行録からとされる。”ガリラヤの人々よ、なぜ突っ立って天国を見つめているのか。あなた方から離れて天にあげられたキリストは、天にいかれるのをあなた方が見たのと同じ有様で、またおいでになる”。」

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ここの聖母は。光背も含めてとても地味ですね。しかし、うっすらとほほ笑前ている様子が美しいです。そして何より、美しい、まさに白魚のような手をなさってますね。

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  1. 2023/02/11(土) 12:06:02|
  2. ビザンチン
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