ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その9
次は、街並みの片隅にポツンと隠れるようにある、とても小さな教会です。大通り沿いではあるんですが、地面のレベルの下がり方と言い、周囲に立ち並ぶアパートビルの中への埋もれ具合と言い、なかなかインパクトのあるたたずまいです。

救世主の変容聖堂Church of the Metamorphosis of the Sotir/ Church of the Transfiguration of the Savior(9-13/15-20時)です。
ここもまた、二つ名?前にも書いたと思うのですが、教会の名前を特定して、訪問すべき教会リストを作るとき、最初に立ちはだかったのが、教会の名称です。
まず、当然のことながら、オリジナルはギリシャ文字表記で、読むことも書き写すことも不可。英語のネット検索でリストアップするものの、どうやら同じ教会でも、いくつかの通り名があったりして、それが同じ教会だと分かるまでも、結構大変だったり。
ここなど、本当に礼拝堂レベルの建物だというのに、何とも立派な名称で、意味は同じなんだから、なぜ統一してくれないんだかまったく謎です。
謎と言えば、ここ入り口に、ご親切にも、ギリシャ語英語併記で、オープン時間やミサの時間が掲げられていたんですよ。最初にアクセスしたのは、オープン時間の9時よりちょっと前だったので、近くにある他の教会に行って、10時ごろ戻ってきたんです、なんせ13時まで開いていると確信が持てましたから。ところが、近付いていくと、教会から出てきた女性が、扉を鍵で閉めているじゃないですか!
慌てて駆け出して、声をかけたところ、面と向かって「ちっ」とは言わないまでも、明らかにそんな様子で、しぶしぶ扉を開けてくれたんです。13時まで開いてるはずなのに…。
ちなみに、見学中のおばさんの「早く帰れ」圧はすさまじく、我々の見学が終了した途端に、鍵は閉められ、おばさんは姿を消しましたとさ…。

外から見ても分かるように、とてもシンプルな建物です。もともとは、上の角丸四角の部分だけで、後代になって、手前部分にナルテックスが付けられ、今あるナルテックスは、さらに新しく、1936年に作られたものということらしいです。
教会も、1345/50年ごろのものということなので、結構新しいビザンチン建築ということになります。1978年に地震に見舞われ、損壊が激しかったそうですが、それによって建築構造的な発見や、ドーム内のフレスコ画の発見などがあったそうです。

今の地面から相当低いレベルになっていますが、これこそが、この教会の建てられた当時のレベルということ。14世紀から600年超の時代に、1メートル以上のチリが積もったということになりますね。
元々は修道院内の礼拝堂だったのではないか、とされているようです。
それにしても、建物全体のプロポーションで、ドームがでかすぎなんですよね。
外から見て、あれ?と思うのは、ベースの方が石積みで、上部がレンガ。もしかすると、もっと古い時代の建物の名残が、石の部分だったりして?と思わないでもないですが、解説にはその記述は見当たらずでした。
教会内部や周辺には墓が発見されているようなので、もしかすると、古い時代の埋葬所のような聖所だった可能性もありますよね。

立派なドームはフレスコ画びっしりなんですが、保存状態は良いとはいえず、また例によって、暗いわけで、現地ではほぼ真っ暗闇で、撮影はしているものの、撮れているのかどうか、確信持てず状態でした。
「ドームの壁画は三つの部分からなり、キリストが天使に支えられて昇天している図。その昇天は、下にいる聖母及び使徒によって見つめられている。そして太陽と月、風の擬人化。8人の預言者が、ドームの窓の間に置かれている。」

どんなに頑張っても、薄ぼんやりとしか見えませんね。
これがモザイクだったら…。たとえ一部しか残されてなかったとしても、はっきりわかる部分があったことでしょう。
フレスコ画となると、なんか、濃い色を背景にしているケースが多いような気がしますね。その上に光がないと、全体が闇に沈み込む感じで。あえてそういう方向性をもって描かれたような気もしますけれども、でもどうせ描くなら、見せてほしいよねぇ!

預言者の列は、ヒトによってちょっと認識できたり。
本に掲載されていた同じ絵。保存状態良いやつは、ちゃんと適切な光で見れば、このくらいには保たれているのね。
誰だか知らないけど、なんとなく裁判とかいう様子なのに、さすがキラキラ命のビザンチンだよね。お召し物のあちこちに光物が…、笑。
こっちは、上の方にいる人みたい。

キラキラで美しいよねぇ。これは、預言はダヴィッドらしいです。

壁画もすごいんだけど、実はレンガ積み上げの装飾的な様子もすごかったです。

小さいだけに、すぐ目の前で、あまりの整然ぶりにちょっとびっくりします。
そして多分、柱なしで、ドームを持ち上げるという建築が、ビザンチン特有なのかと思います。
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テーマ:建築 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2023/02/15(水) 13:14:36|
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