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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

想像の限界=無知(パンデレイモン聖堂 その2)

ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その11

パンデレイモン聖堂Agios Panteleimon、続きです。

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現在、こういった構造となっています。黒塗りが、今ある壁です。外側を取り巻くようにある白塗りの部分は、かつてあった構造物を示しています。

「四本の柱、交差部が四角く、ナルテックスとギャラリーを持つ建築スタイル。二つの小さなドームがギャラリーに乗っかり、三つ目はナルテックスに。ギャラリーは激しく倒壊しているが、東端の二つの後陣部分の礼拝堂は生き延びた。1261-1453の時代に、当地では典型的だった教会建築のスタイルを踏襲したギャラリースタイルだった。」
「中央部、または教会のメインの部分は、北側及び南側の真ん中あたりに扉があり、それで外側部分とつながる構造となっている。
これら二つのドアが閉められていた時は。本堂は外側構造からは切り離され、パナギア・ハルケオン聖堂同様のスタイルとなる。パナギア・ハルケオン聖堂は、現在は外側構造が動かされてしまったため、独立構造となっている。」

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上が、正面向かって右側、つまり南側側面となります。後陣部分だけ、天井が残っていて、小さな鐘が下げられています。
見学の際は、例によって解説をきちんと読んだりしていないのですが、建物の壁に、付け柱が見られ、アーチのもとになっていたような様子があったし、足元も、外側と内側、みたいな区切りがあったので、この部分は本来構造物があったのだろうと想像はできましたが、側廊のようになっていたとまでは思いませんでした。やはり、ビザンチン建築のいろはが分かってないですから、想像にも限界があります。

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で、こっちが北側側面で、やはり突き当りは後陣。
こちらには、外にさらされているのに、フレスコ画が残っていて、びっくりしました。

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相当痛みは激しいですけれど、一部識別可能な状態です。例によって、暗い色調…。
左側部分のフレスコだと思いますが、本の写真では、こういう様子です。

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聖ジェームス。ギリシャ十字の模様のお召し物が、なんか、浴衣に見えちゃって…。聖なる浴衣…、ぷっ。
そして、聖母子。

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引っかき傷がありますから、この上に、別のフレスコ画があったのでしょうね。それで、一部でも、僅かでも、保存されたのかもしれませんが、いずれにしても、外に放置ですから、まぁこんなものでしょう。
本来、美術館ピースなんでしょうけれど、これはこれでありかなって思う自分もいます。もちろん美術館博物館に展示して、良い状態を保つ選択肢はあってよいと思いますが、個人的には、中世美術は教会と一体化しているので、朽ちていくなら朽ちていくのは仕方ないのでは、という気持ちもどうしてもあるのですよね。
こうして、朽ちていながらも見ることが出来るなら、なおさら、現地で出会うことに喜びを感じます。
そういう意味で、私は、カタルーニャで一時期実施された、大規模なフレスコ画の博物館移築は、受け入れられない気持ちの方が強いのです。

さて、こちらの壁、手前の方にかわいらしいギャラリーがありました。

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管理人さんの遊び心かな。変に精巧なスポーツカーと、かわいいふりして、かなりかわいくないビニールっぽい動物の組み合わせが妙なんですけど、なごみました。

さらに、プランに沿った解説をちょっと載せると。
「教会は、中心部で十字が交わる四角いタイプの構造で、ナルテックスと周歩廊を持つ。周歩廊は、東側で二つの礼拝堂で終わりとなっている。その州歩廊は、今世紀の初めに破壊されたが、本堂は無事だった。しかしながら、周歩廊の外側面が、ブラインド・アーチ構造によって分割されていたこと、そして、北側と南側の真ん中に二つのドームがあったこと、加えて北西及び南西の角に、さらに二つのドームがあったことが分かっている。
ナルテックスの中央部もまた、ドームによっておおわれていた。一方、両脇はヴォルトでおおわれていた。」
となります。
建物の規模は小さいですが、ドームが沢山のっけられていたんですね。

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ドームのレベルが重なったりして、なかなか全体像を把握するのが難しいですが、上のは、分かりやすいかな。しかし、これに加えて手前側の角にそれぞれドームがあったとすると、地上のレベルから全体構造を把握するのは不可能になりそうです。

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内部の様子は、こうなります。

「身廊の上に置かれた八面のドームは、円柱と柱頭の上にのっけられており、それらの基部は、より古い時代の建物からの再利用。」
「中央のドームは、四つのトンネルヴォルトに支えられ、十字を形作り、内側では、四本の円柱、外側では建物の外壁の上に乗っかる様子となっている。角では、球体のペンデンティブが形作られている。」

この、トンネル・ヴォルトに乗っかるドームという構造、どこでも似たり寄ったりで、そういうことなんですね。サイズは小さいけれど、ドームに高さがあるので、非常に天井高に感じられます。

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ここでもまた、執拗にきっちりと積み上げられたレンガの様子が、粘着質な感じで、笑、オリエントっぽいかもねぇ、と思わされます。

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柱頭は、立派なアーカンサスモチーフで、四本とも彫り方が異なり、もしかすると再利用かもしれないと思います。

この教会の肝は、やはりレンガですね。とにかくやたら外壁ばかり撮影してしまったんですが、見飽きないです。石とは違う面白さがあります。

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テーマ:art・芸術・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2023/02/19(日) 12:26:56|
  2. ビザンチン
  3. | コメント:0
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