ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その12
今回は、前回訪ねたパンデレイモン聖堂から至近だけど、成り立ちも歴史もまったく異なる聖堂を訪ねます。
言ってみたら、テッサロニキの古い時代の歴史を体現した建物の一つで、歴史的にも芸術的にも、必ず訪ねるべき建造物の一つだと思います。

聖ジョージのロトンダRotunda of St.Georgeです(博物館となっており、有料、3ユーロ。トイレあり。)
円形の建物で、結構大きいです。ローマの、サント・ステファノとか、サンタ・アニェーゼとか、そういった規模感ですかね。円形のスタイルというのは、ギリシャではここしかないそうです。

テッサロニキの他の聖堂とは全く違うベースで建っているので、地図なども参照します。
場所的には、市街の東側方面にあり、テッサロニキ一番の目抜き通りであるEgnatia通り、これはもちろん古代ローマ時代に作られた道なわけですが、そこに、今も立派な状態で残っているガレリウスの凱旋門があり、その奥まった場所にロトンダがあるというたたずまいになっています。
凱旋門については、別途記事にしますけれど、その名の通り、皇帝ガレリウスの時代、皇帝がペルシャ人に勝利したことを記念して紀元前305年に建造された門です。

上の写真の右端にあるレンガが、凱旋門の端っこになるんですけれど、そこからロトンダまでの道、今は公園のように整備されている様子ですが、凱旋門の時代から、すでにまっすぐ伸びるロトンダへの道という形で整備されていたそうです。
というのも、このロトンダ、凱旋門同様、ガレリウスによって、紀元前300年ごろに建てられた宮殿の一部であったことが、考古学研究で明らかにされているんです。
「ある説では、霊廟に向けられたものとされるが、その目的で使われたことはなかった。他の説では、ゼウスまたはほかの神や、ガレリウスその人に捧げられた神殿であるとしている。後者の理論に、より信頼性があるとされているが、なぜならゼウスは、ディオクレティアヌス及びガレリウスの二人にとって、守護聖人であったため。」と、解説にはありました。
つまり、異教の神殿として、スタートした宗教施設だったということです。
博物館として、建物と、その周囲も鉄柵で囲ってありますが、多くの建造物があったらしい遺構が見られます。

そのそれぞれに関して、何がどうあったかは不明ですが、基部も多く残されているし、一体どうなってたの、という好奇心に取りつかれます。ある意味、フォロみたいな、すごいコンプレックスだったんじゃないか、という様子もあります。だって、レンガの神殿や建物、そしてこういった大理石っぽい柱の並び。遺構は、現在それほど大きな地域に保存されているわけじゃないですが、これだけ見ても、本当はもっと広範囲に遺構があるのでは、と想像に難くないです。

建材の数もすごいです。

もうお手上げ状態で、敷地の片隅に積み上げられていた石材。おそらく掘れば掘るだけ、何らか出て来ちゃうってやつなんでしょうよね。

長い年月にわたって、宗教施設であっただけに、様々な時代の建材が混じっている様子です。
一角に水場のような場所があって、これはイスラム時代、手や足を清める場所ではなかったかと思ったんですが、再利用されている柱と柱頭がありました。

この繊細なレース状の柱頭は、ビザンチンぽいです。イスラムにとって異教だから、さかさまに置いたのかもしれないし、たまたまそこにあったのをそのまま使ったのかもしれないし。
歴史的には、紀元400年ごろ、初期キリスト教教会になり、その後16世紀ごろにモスクに転用されたというものです。
そういった転用の際に、色々と手が入り、オリジナルのスタイルは変容してきているとのこと。
キリスト教教会に転用された際は、主に、以下の変更がなされたそうです。
「1.東側部分が広げられ、後陣スタイルになるように延長された。この変更により、円筒形の壁が壊され、建物の安定したバランスが壊され、その結果、おそらく地震により、東側にあるドームの一部に損壊がもたらされた。内部のモザイクも含めた損壊。おそらく11世紀ごろのことだが、聖所は再建され、外側は、二つの支えで強化された。」

「2.新しい壁が、オリジナルの壁から8メートルの距離で、周囲に建設された。仕切り部分がそれに向かって開放され、オリジナルの円形壁は、中央部の円形身廊をそれを取り巻く天井の低い側廊から区切るものとなった。結果として、建物は、一種の円形に側廊があるバジリカスタイルとなった。」

「3.メインの入り口は、後陣と反対側にある西側の屋根に向かうためのらせん階段近くにあった南側から移された。
4.建物内部は、モザイクによって装飾された。
5.西側に、ナルテックスが付け足された。」
外壁は、レンガだけで、その積み上げは緻密で隙がないですが、時代的にはビザンチンではなくてレンガの装飾性はありませんし、とにかく愛想のないものです。ここは入場してこそ。幸い、博物館になっているので、めったなことがない限り、入場できるのは、有難いことです。
でもね、もしかすると、猫好きだったら、3ユーロ払って、そこここで遊んでいるにゃんずを愛でるだけで、結構満足しちゃうかも、というくらい、たっくさんの猫がいます。

下の子は、門番さんの飼い猫みたいでした。

遺跡ににゃんこってすっごく合うよね。

イタリアは、いつの頃からか、野良猫排除始まって、ほとんどいなくなっちゃったんだよね。昔住んでいたアパートの周囲には何匹もいて、当時は避妊手術を施す政策だったと思うけど、ある時突然、全員いなくなったから、風向きが変わったんだろうと思う。
ノラちゃんとの共生は、難しいところもあると思うし、無責任なことは言えないけれど、でも、テッサロニキのノラにゃんこの存在感は、猫好きからしたら楽しかったのよねぇ。

でも、そうじゃない人もいるし、やはり汚れるし、難しいものはありますよねぇ。
おっと、脱線しました。続きます。
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テーマ:建築 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2023/02/20(月) 12:29:01|
- ビザンチン
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