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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

なんとお美しい…。(ロトンダ その2)

ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その13

聖ジョージのロトンダRotunda of St.George、続きです(博物館となっており、有料、3ユーロ。トイレあり。)

入場します。

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キタ~!
って感じで、いきなり興奮しました。ちょっと上の写真では、分かりにくいかと思いますが、入場口からモザイクがきらきらとしているんです。

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前回の記事にも掲載したプランですが、ここは円形スタイル。このスタイルって、全体の様子を写真に収めるのが、非常に難しいですね。その上、ここではモザイクという大好物なアイテムがあるために、もうただディテールを、落ち着きなく撮影しまくる、という、いつまでたっても浮足立った行動をしてしまう悪い癖、というか、もうこれって性癖だから、どうしようもないですね。興奮して、システマティックな撮影の順番とか考えることもなく、あっちに目を向け興奮、こっちに目を向け興奮…。アホですな、笑。

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たまたま、いや、もしかして常設で置かれているものかもしれませんが、ラベンナのモザイクのレプリカの展示コーナーがありました。
ラベンナのもモザイクを考えると、このロトンダも、ほぼ内部前面モザイクがあったのではないかと考えられますね。
ラベンナでも、オリジナル前部が残っている場所は少ないですが、それでも、小型の洗礼堂などはほぼ残っている状態で、実際に全面モザイクですから、ここがそうであっても不思議はなさそうです。
ただ、実際には、残っているのはほんの一部なんですよね、残念ながら。
アーチの間のトンネルヴォルト、そして、ドームの一部。
だから、ここへきて、逆にラベンナのモザイクのすごさへの感動を覚えてしまったというところです。オスマントルコに襲われなかったのは大きいでしょうね。

さて、そのトンネルヴォルト部分ですが、トップの写真のように、大変装飾的なモチーフが使われています。

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幾何学的なモチーフの中に、鳥や花、果物かごなどが鮮やかな、そして大変細かいテッセラで表されています。これはいかにもビザンチンのモザイクですよね。キリストや聖母子など、人物を表すモザイクも美しいものですが、こういったモチーフを、まさに装飾的に、まるで絨毯のように壁に飾るというのが、私は大好物なんですよ。

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イタリア半島では、シチリアやローマに、多くのモザイクが見られます。それらも、技術レベルは高いもので、実際にビザンチンの職人さんがかかわっているものだと思われますけれど、こういった装飾に特化した部分が限りなく少なくなってしまっているんです。せいぜい、メインの絵、例えばキリストや聖母子などを取り囲む縁取り部分に素敵な帯装飾があったりするくらいになっちゃうんです。
それでも、モザイクの美しさは格別なんですが、やはりこういった装飾に特化してこそ…、という好みがあります。

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鳥というのは、よく使われますけれど、花や宝石と同様に美しいもの、というくくりだったんでしょうかね。東方やアフリカから持ってきた極彩色の鳥を愛でる習慣とかあったのかな?ちょっと考えたことなかったですが、ちょっとありそうな気もしますね。南方の鳥の色彩は、確かに花や宝石と通じる感覚がありそうですし。

ちなみに、トンネルヴォルトのモザイクは、こういう感じです。

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トンネルヴォルトが、ドームの支え部分となっていて、そこに装飾的なモザイクが、そしてそこから内部につながる壁には、また別のモザイクが、という様子だったと思うんですよね。実際の姿、まぶしくて見られないくらいキラキラと輝く内壁だったのではないでしょうか。

以下、解説を載せておきます。残念ながら、解説で言及しているリュネッタのモザイクは、どれだか不明…。
「南東のヴォルトは、八角形と円形フォームの中に鳥や果物が交互に。そして縁取りは、花の入ったツボや果物かごを並べたパネルからなる。
南側は、まるで絨毯の印象で、銀の背景に中央部に金の布を置いて、花、鳥、星そして果物かご。西側は、幾何学モチーフ。しかしながら、その円形には、鳥や果物かご。リュネッタの上のアーチ部分も同様な内容。ただ、そこではより柔らかい色のテッセラが使われている。無名のローカルモザイク職人の腕と知識が垣間見える。リュネッタには、光が直接当たるだろう、だから、間接的な光しか当たらないヴォルトにはより鮮やかな色を使い、そのバランスを計算したのである。」

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前述したように、ドームにも一部残っていますが、残念ながら、一番肝心な中心部が剥落しています。

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これ、ほんとに残念と思います。見れば見るほど思います。
というのも、もちろん修復の賜物、ということもあるのでしょうが、残っている部分が、すごくヴィヴィッドで美しいのですよ。

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ね、すごいですよね。隙がないっていうのか、なんかパーフェクトに美しい。その上また、天使がさぁ。

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美しいのよ!
イケメンとかいう軽い言葉では失礼なほど美しいの…!!!

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この、いわゆる憂いを含んだような表情、やられちゃうやつでしょう~!
美しいにもほどがあるって。
これ、全身あったら、どれだけ印象的だったか…。残念でたまらなく、なるでしょう?

ちなみに、中央部には、おそらく天使に支えられた円の中にいるキリスト、という図像があったであろうとされています。近年、モザイクの掃除がされた際に、何でも頭部の一部があったとか。

今は、天使が三人しかいませんが、もう一人の天使部分は剥落してしまったようです。天使は、星、果物のなった木々の枝、多色の虹という三層の天を支えています。

まだまだ美しい人々がいらっしゃるので、続きます。

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テーマ:art・芸術・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2023/02/22(水) 12:21:51|
  2. ビザンチン
  3. | コメント:0
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