ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その17
アギオス・ディミトリオス聖堂Agios Dimitrios/Basilica of St Demetrius、続きです。
全壊、クリプタ・ツアーの半端なところで切ってしまいましたが、泉のある場所。
「教会の中庭にあった泉水のある床面に多く見つけられた装飾物は、おそらく、ビザンチン教会に特有の、祭壇に置かれた四角いチボリオを飾っていたものとされる。」

そのあたり一帯、結構様々な彫り物系の装飾が展示されていたんですが、そういうことだったんだね。
これなど、まさにチボリオの図版と合致する浮彫。

他にも、ビザンチン・テイスト色濃いものが多数。


これなどは、より中世テイストですね。ポカンとした様子のアヒルっぽいの、かわいすぎ…。縁取りは、ロンゴバルドとかケルトっぽい組紐。

11世紀頃とされる装飾もあるようなので、それもあながちはずれってこともないのかもね。とにかく長い時代にわたる多くのものが、長い間、土の下に埋もれて生き延びた場所だから、何があっても不思議じゃないのです。

いきなり、やけにすごくしっかりした装飾があったりね。
こういうのはびっくりしますが、これは、アイテムとしては、結構憶えておくべきアイテムの一部。
すごく地味な図版も下にあげておきますけれど、これ、説教壇だと思います。その、図で示された部分の装飾が上のものとなるわけです。

これ、なんで覚えておいた方がよいかというと、ビザンチン系の教会には、おそらくほぼ確実にあるアイテムだからなんです。
昨年12月にローマを訪ねたとき、ローマも、知らない方も多いかと思うんですけれど、ビザンチンの遺構が結構多いのですよね。遺構というよりも影響があったという感じになるのかもしれないけれど。
そういった教会では、本堂の中央、内陣寄りに、大きな部分をイコノスタシスで囲って、聖職者専用のスペースを作っていたりするんですけれど、その囲い壁の一部を持ち上げて、こういった説教壇を作るのがスタンダードな感じなんですよね。
ローマでは、真実の口で有名なサン・コスメディンとか、クリプタがすごいサン・クレメンテ、高台にあって気持ちの良いサンタ・サビーナなど、多くの教会で、そういった構造を見ることが出来ますけれど、説教壇は、全部にはないかな。
12月に初めて訪ねた、フォロ・ロマーノ内にあるサンタ・マリア・アンティクア教会の遺構で、そこはイコノスタシスすら、跡しか残っていないんですが、この説教壇の説明があったんですよね。それまでも、他で目にしているはずなのに、最初ピンと来なくて、よくよく考えたら、あれか!となったんです。
ビザンチン系なら、こういう構造がある、と覚えておくと、実物がちゃんとなくても、大変想像しやすくなります。
ちなみに、装飾部分は、粉々に散らばっていたものを集めて、丹念に組みなおして再建したもののようです。お疲れ様です~。

見学した順番でしかアップのしようがないので、順不同でごめんなさい。
これは、前回の記事で触れた、古い時代の小さな教会の後陣部分のようです。この奥まった部分の向こう側が、かまくらみたいな、漆喰塗の不思議な構造物になっているようですね。
多分、これ。

見学しているときは、とにかく見残しがあってはならんと、緊張して、あちこちに目を配って闇雲に歩いていて、全体の状況とか位置関係や、あるものの時代だったり詳細が分からないですからねぇ。順不同だし、アワアワしているのが明らかだし、この、内側からと外側からという構造も、現場では全く気付いてなかったと思います。
これは、出口にも近い小さな独立したスペースの壁に掲げられていて、印象的で、よく覚えています。

説明を読むんだけど、どうも内容はよく分からなくて、でも一所懸命読もうとしたからかな、記憶に強いです。
幸い、解説があり、そういうことなんだ、と今更納得できました。
「聖デメトリアスを真ん中にして表された三人のポートレートのモザイクは、この教会の損失と再建に関連していると信じられている。これら三つのフィギュアの下には、モザイクで碑文が記され、教会の損失と再建について書かれている。
1917年の火災の後、その碑文は、壁から外され、今は、考古学コレクションの一つとしてクリプタに展示されている。碑文に示されたLeoは、地域の有力者に間違いなく、教会の再建に尽力したのであろう。」

元々は、本堂の身廊を区切るアーチ壁の上の方に置かれていたモザイク装飾だったとおもいます。
ということで、写真も合わせて、近年まれにみる地味な記事となってしまいましたが、これでクリプタ見学終了です。

ちなみにこれだけ見所あって、広いクリプタ、無料です。太っ腹ですよね。
次回はもうちょっとビザンチン的キラキラで行けるかと思います、笑。
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テーマ:歴史 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2023/02/28(火) 18:42:35|
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