ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その26
次に訪ねた教会も、住宅に埋もれるようにして建っているタイプで、レンガ積みが見事なたたずまいです。

カテリーナ教会Agia Aikaterini/Eyia Ekaterini
おそらく英語でカテリーナとなるのでしょうが、ギリシャ語だとエカテリーナなんですかね。ロシア語っぽい響きも感じますねぇ。東方なんだな、と。
教会の建物は、鉄柵に囲まれていたように記憶するのですが、一応扉の所にアクセスはできました。でも、建物本体への扉には、がっちりとしたいかにも鍵らしいカギが…。

扉にも、上下普通のカギは付いているようですが、さらに南京錠。何か過去にあったのかもしれないような頑丈な守りですね。どう見ても開いてないのに、念のため、とガチャガチャしたのは私です、笑。開くわけないよねぇ。でも、過去の経験から、一応試してみないと、と思ってしまうんですよねぇ。中世病あるあるかもしれません。
レンガ積みが美しい教会なので、中も見てみたかったですが、かなり不便な場所だったので、およそ再訪がかなうとは思いませんでした。でも、これまでの記事で書いたように、夕方に、勢いでもう一周してしまったので、無事再訪がかなったのです。
というわけで、写真は、日中のものと、夜間のものが混じります。
全体の姿は、自分では無理なので、本から拝借したものです。

とてもチャーミングですよね。
どこでも、こういう姿が眺められるスポットがあればよいのですけれど、それは難しいところで、接写しかできないのは残念です。
解説、行ってみます。
「中央のドームは、四つのトンネルヴォルトに支えられており、四角の中で十字を形作っている。四角いスペースは、12使徒教会のように、外側の回廊を形作り、四角部分の北、西、南側に走っている。それによって、本来小さな教会を、大きくしているのである。その回廊の四隅には、四つのドームが持ち上げられており、それらは、中央部のものより小ぶりである。
そのスタイルにより、この教会は、十二使徒教会と非常に似通ったものとなっている。」
これを理解するには、内部の様子が必要ですよね。以下となっています。

ギリシャ十字って、縦横の腕が同じ長さで、教会もしっかりギリシャ十字なんですねぇ。なんか四角って、長方形よりかわいいです。なんでも「かわいい」呼ばわりは、日本語の悪い癖かもしれないけれど、でも、かわいくないですか、フロアプランだというのに…。
上記でも言及されている十二使徒教会は、次回記事にしますけれど、場所も近いし、すべてが類似しているようなんです。実際に現場で見て、レンガ積みの美しさに関しては、まさに双璧をなすような素晴らしさ、ということは納得しますけれど、建物のスタイルとかまでは、気付けなかったです。どちらも、やはり全体像が見られないことが大きいかもね。
「その創建の時代についても、二つの教会は類似している。エカテリーナ教会は13世紀終わりと考えられている。一方十二使徒は、14世紀初頭。二つの教会は、また外側の装飾についても類似する。壁にタイル装飾。十二使徒の方が、いくらか装飾性が強い。」
タイルとあったのですが、少なくともこの教会では見られなかったです。

それにしても、このレンガ積みのディテール、すごくないですか。私は大好きです。職人さんの執念というのか、幾何学計算の粋みたいな感じっているか、これ、ただ漫然と積んでたら、多分ダメなやつですよねぇ。どうなんだろう。

再建部分も沢山あるのでしょうけれど、コンセプトが、やはり東方って感じします。レンガも、空間恐怖には有効な装飾となりますね。積んでるだけで、びっしり書き込んでる様子になりますもんね。それにしても、こののこぎり歯というか、ライオン歯というか、この帯装飾が、どうしてこんなに好きなんだろう…。
夜になると、ライトアップもされていたんですけど、ちょっとびっくりしますよ。

ちょっと遊園地的な楽しさまでありませんか。
うろこ窓みたいなところに、色が入っているとはねぇ。こういう感覚、独特です。
そして、のこぎり歯のところは陰影が出来て、さらに面白い印象になります。
上の小さな写真で、お気づきでしょうか。
例の、ごつい南京錠、外されていました。そして、内部はほんのり明るい様子ですよね。開いてるよ!と小躍りして、入ったんですよ。
そしたら、絶賛ミサ中…、真っ暗闇…。
早朝から始まるミサは、夕刻にもしっかり行われて、この町、信者比率高いし、なんかすごいな。一日何回やるんだろうか。
小躍りどころじゃないです。
狭いスペースに椅子が何客か置かれていて信者さん、数人でしたか。とにかく暗くて、ミサを執り行う方だけにスポットライトのような、それもピンライトのようなものが当たっているだけなので、周囲は逆に暗闇なんです。
そしてその方がお説教なのか、聖書を読まれているのか、朗々とした声で、雰囲気すごかったです。
入ったは良いけれど、何も見えんし動けん、というやばい状態になってしまって、固まってしばらく拝聴していたのですが、なんていうのか、持ってかれそうなくらいのすごい声で、このまま固まっちゃいそうだったので、慌てて、しかしそーっと出るしかありませんでした。
解説によれば、
「内部の壁表面には、壁画の一部が残っている。聖人の姿や福音その場面、特にキリストの奇跡など。ハンセン病患者、盲目の人、身体がマヒした人などを治す場面、カナの結婚、サマリアの女性など。」
ということらしいですが、残念ながら、何一つ確認できませんでした。
本の写真によれば、こういう感じらしいです。

我々が迷い込んだ時は、真ん中の四角い部分の、周囲に椅子が置かれていて、聖職者はこのイコノスタシスの前のあたりに説教壇みたいのを置いてお話していたと思います。
イコンもこんなにあったの、見えていたのかもだけど、厳粛な空気しか感じなかったな。
壁画は、14世紀初頭の頃のものらしく、前回のオルファノスとの共通点もあるしっかりした技術者の作品ということでした。

ここは、世界遺産になっているビザンチン遺構に加わっているのかどうか不明ですが、場所的にも訪れる観光客は少ないでしょうね。しかしレンガ装飾的には、見るべき教会の一つだと思います。中もね、ミサさえなければ、見てみたかったです。
ちなみにですが、アクセスは、かなり大変ですよ。

かなりの坂道登ったり下りたりの道になります。おそらく住んでいる人しか、クルマで走ることはできない迷路。
これは、ここらの住人の駐車場と思いますが、車止めついてますよね。
道を間違えようものなら、悔しさでキリキリするような。
でも、にゃんこ好きなら、にゃんこを追っかけてれば、結構歩けるかもね。

至る所、にゃんこだらけの地域です。
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- 2023/04/07(金) 16:19:45|
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