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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

最後はピクトグラム…(ビザンチン博物館)

ビザンチンと猫にどっぷり、テッサロニキ弾丸ツアー(2019年11月)、その28(最終回)

本来なら、最初の方にまとめるべきことかもしれませんが、最後になって言及します。無計画人間だからね~、基本が。だからイタリアなんかに来て、30年も暮らしちゃうんだよな、笑。

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何かといえば、これ、ビザンチン・ウォールです。
壁そのものの正確な起源は不明ながら、現存する壁の多くは、中世起源ということらしいです。町を取り囲む壁なので、町はずれに、色々な形で残っています。

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すでに住宅地と一体化しているようなところもありました。

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解説をちゃんと読もうとしたんだけど、歴史の話が長くなるので、正直面倒だなというのが勝ちまして、割愛することにしました。ただ、現地では、本当にあちこちに残されていて、結構面白い風景になっていたりするため、撮影はしていたので、ここに簡単に言及しとこうと思います。

で、今回は、テッサロニキにある二つの重要な博物館めぐりです。
予想外に、一日で、目的の教会をコンプリート出来てしまったので、帰る日は余裕があり、博物館まで訪問できてしまったんですよね。

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ビザンチン文化博物館Museum of Byzanthine Cultureです。

入場料高かったら迷ったかもしれないんですが、なんと、訪ねた日は無料ということで、とてもお得気分になって、すんなり入場。
教会にも、ほとんどお金を落としてないのに、なんという閉まり具合か、我ながらあきれますけど、笑。

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無料というのに、訪問者は少なく、ゆったりと見学できました。まぁ、こういう博物館って、住んでいる人はそうそう来るものでもなさそうだしな。

テッサロニキやその周辺のものも含めたビザンチン文化にかかわる遺構が、多数展示されています。

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5世紀頃のバジリカの床を飾っていたモザイクだったり。
壁画だったり。

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すごくでかい、いかにもビザンチン的浮彫装飾の柱頭が、こういう風に置いてあって、すごくリアルに構造を認識できました。

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柱頭って、こんな感じなのね。そりゃ、浮彫するんだし、よく柱頭だけ盗まれるなんて話もあるし、柱頭が独立したアイテムだってことは分かってるんだけど、なんか柱とアーチとつながって一体化した様子になっているから、独立したものとしてとらえにくいところあるよね。たまに、聖水盤載せたり建材的に使われているケースもあるけど、逆置きってあまり見ないような。
でさ、こうやって見ると、円柱にすぽっとはめて、アーチを支える役目があるわけだから、柱との一体化は必至なわけで、このサイズ決めも大変な職人技なんだ、と実感したんですよ。
そういうのって、完成形を見ても、なかなか気持ちが行かないところじゃないでしょうか。

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これは、4/5世紀ごろのお墓の装飾だったと思います。
お墓って、古代から中世まで、装飾すごいよね。もちろん身分のある人限定だろうけど。そう考えると、現代は、地位や金があっても、お墓って大したことなかったりするのかもねぇ。

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そして、時代が下って12世紀の壁画。
こうなると、この数年南イタリアで回っている洞窟教会のビザンチン壁画を彷彿とする感じになる。

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これは、12世紀にしたら、かなりヘタな…、笑。
ライオンと戦ってる感じだと、サムソンとかになるけど長髪じゃないし、なんかすべてにおいてダメな様子?

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これもおなじみ感あるけど、何だろうね。可愛さは薄いし、オリエント的な雰囲気もありの、リアクションどうしたらいいのか…。いや、リアクションいらんかも知らんが。

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上のとこのワシは、10世紀とあったけど、確かにプリミティブということなのかな。それにしても、このグラサンちょい悪系は…、笑。超浅浮彫っていうのも、地元の見習い作、的なやつにしか思えない…。執拗なまでの職人仕事ビザンチン人はどこに…。
確かに緻密で空間恐怖的なビザンチンとは違うものもあるってことで、面白いので、載せておきます。

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なんだかおおらかだよねぇ。職人ではなくて、アーティストが一筆書き的にすいっと描いたものを、そのまま彫ったみたいな。
10世紀くらいってこういう感じだったのかな。

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おなじみっぽい彫り物もあります。
そして、13世紀ごろからは、イコンの世界になってきて。

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これはこれでおなじみ感ですね、もはや、笑。

美術館博物館で、きちんと保存していくのは、非常に大切なことなんですけど、教会美術って、やはり現場で見てなんぼ、みたいな気持ちが強くて、博物館で見るのって気持ちが入りにくいところがありますなぁ。現地に置かれて朽ちてしまいました、というのは残念なことかもしれないけれど、かといって、博物館でピカピカ、現地でレプリカきらきら、というのも、なんか違和感あったり。難しいところです。

ところで、この博物館、実は一番気に入ったのは、これだったかも。言い過ぎか、笑。

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廊下に赤い棚があってね、その前にこれ。消火器のピクトグラムですよね。
かわいい!と感動したら、受付では、同じモザイクのピクトグラムで、館内説明がありました。

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なかなかしゃれてますよね。

ちなみに、テッサロニキには、もう一つ重要な博物館がありまして、ここビザンチン博物館とも近かったので、無料の勢いで行ってみました。考古学博物館Archaeological Museumというのですが、そちらは、まぁいわゆるギリシャ彫刻とかモザイクとか、視点が考古学のため、割愛します。我々の見学も、本当にさーっと駆け足だったしね。

というわけで、二泊二日の日程としては、驚くばかりというよりあきれるような密度の濃い旅でした。見慣れた中世とは違う風景が広がっていたからか、3年超過ぎているのですが、その時々の眺めが結構鮮明で、それもまた、自分的には嬉しいことでもありました。
この間に、世界はあり方を変えて、そしてまた、以前の状況を取り戻しつつあると思うと、感慨無量です。といったことを、まだまだ古い修行旅の整理が待っているために、今後も同じようなことを言ってしまいそうですが…。

いずれにしても、ビザンチンは、もうちょい深めてみたい、ということが認識できた旅でした。次回を楽しみに。
長々とお付き合い、ありがとうございました。

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テーマ:art・芸術・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2023/04/11(火) 17:54:37|
  2. ビザンチン
  3. | コメント:0
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