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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

いよいよ、のフレスコ画(シャルヴォイ・ミロン18 その1)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その13(ベリー)

ベリーという地域は、沢山のフレスコ画があることで有名で、この時の旅では主な目的をそこに置いていましたが、ここまで、おお、これが…という出会いはありませんでした。といっても、まだ初日ですが…。
しかし、ここへきて、とうとう、「おお」ということになりました。

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シャリヴォイ・ミロンChalivoy-Milonのサン・エロワ教会Eglise Saint-Eloiです(通常オープンしているが、管理している方がおり、どうやらご近所にお住いの様子で、電話番号も掲げられいます。駐車は、教会脇に可能)。

この後陣側はかなり装飾的ですから、これが目に入れば、期待マックスになると思うんですが、最初にアクセスする道路側の、特にファサード寄りは、かなり地味なんですよ。なので、事前メモで、注目ポイントの一つとして、フレスコ、と記してはいましたが、特に気に留めるでもなく、さらりと入場して、ガツン!でした。

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遠いんですけれど、遠目にも、フレスコ画が認められますし、すごさが分かるんです。というか、現場では、もっと天井も低くて、かなり間近に見たような印象があって、今、写真を見返していて、こんなに天井の高いことに驚愕しています。
低く思えたということは、それだけ絵画が迫ってきたということになるんでしょうかね。

外側を見ると、後陣側と、ファサード側、ちょうど二分されている様子で、後陣側は古いけれど、ファサード側半分は、後付けの構造かとも見えます。

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トップの写真が南側、こちらが北側となるんですが、奥の方、つまりファサード側には、装飾もないし、後陣とは全く違いますよね。
でも、図面を見ると、全体が12世紀となっていました。

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黒に白線が12世紀です。ということは、ファサード側も、ところどころに後代の手が入ってはいるとはいえ、基本構造は12世紀なんですね。でも、表面的に、色々手が入って、当時とは様相が変わっているのかもしれないけれども。
中央の右側にある丸い構造は鐘楼で、これは13世紀にねじ込まれたようです。

見たとおり、非常にシンプルな一身廊で、唯一の身廊の幅が結構狭めな上に、内陣部分はさらに狭いというのが特徴的です。そのため、外から見ても、なんだか前と後ろで分断されているようなイメージにもなっているんでしょうね。

で、図面で言うと、内陣と後陣部分にびっしりとフレスコ画があるわけなんですが、これは19世紀に発見されたばかりなんだそうです。
そういうのって、その事実だけでもうれしくなってしまいますが、実は、ここにはフレスコ画があるはずだけど、工事費用がないから何もできない、という教会は、今でも結構あるのですよね。
そういえば、つい先日も、ポンペイで、何かが発掘されたのどうの、ということがあったようですが、2000年前のものの発掘もいまだにあるわけですから、1000年前のものの発見も、まだこれからあるのでしょうし、未来のお楽しみというのがあってもよいんだろうと思います。

おっと、いつもの脱線、失礼しました。

フレスコは、12世紀の第二四半期のものとされ、聖書の22のエピソードで、キリストの生涯が描かれているとか。

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イメージとして、茶というかベージュ系なんですが、これは絵画職人さんの好みによる色合いとされているようで、現地の解説によれば、「画家は、土を好んだようで、黄土や暗褐色の黄土が、金属製の酸化物と混ぜられ、青や緑が作られた」ということで、ベースに黄土が使われていることで、全体にそういった色合いになっているのかと。そこから作られた他の色も、優しい風合いになっているんですかね。

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優しい色合いのタイツを履いた、美脚、笑。
傷みありますけど、フレスコ画の範囲がすごいので、全体の迫力はすごいです。

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キリストの奇跡ですかね。
絵画には、ビザンチン要素が感じられるとありますが、確かに、顔の表情とか、ビザンチンぽいです。

ビザンチンは、イタリアではあって当然ですが、フランスやスペインへの影響って、やはり職人さんの行き来の賜物ということになるんでしょうか。
教会だけを点として見ているとうっかりしちゃうのですが、歴史観点から行くと、イタリアの教会とフランスの教会の立場が同じなわけがなく、ビザンチンから遠い地での影響って、ふと気になります。

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といって、何をもってビザンチンの影響と言えるのか、確として分かっているわけではないいい加減な私ですが、こういった隈取系の顔とか、執拗に装飾的な図像を見ると、そうかな、と思ってしまいます。

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後陣には、アーモンドの中のキリストです。
黄土がメインと言うことで、新品当初も、決してどぎつい色合いではなかったこともうかがわれ、好感度の高いフレスコ画。デザインというか、全体の配置や装飾的な帯の様子も好みだなぁ。

後陣部分は、色が比較的よく残っていて、内容も認識しやすいですね。青のバリエも素晴らしい。

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天井の絵よりも、動きのあるような、臨場感のあるような。エピソードと、図像学的な静的な内容との違いですかね。でも、もしかすると、職人さんも異なり、使った絵の具も違うのかもしれないですよね。

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リンゴのほっぺだったり、ほっそりと長い指だったり、何より装飾的な衣装は、やはりビザンチンぽい気がしてしまいます。

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開口部にある絵は、特にそういった要素強めだったような。天国を象徴する赤いお花が咲き乱れていたりして、私の乏しい経験から、とてもビザンチン的なイメージでした。

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続きます。


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テーマ:art・芸術・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2023/05/20(土) 10:47:22|
  2. サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
  3. | コメント:0
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