2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その16(ベリー)
周辺に立ち寄りたい場所はいくつもあったのですが、そろそろ宿泊地に向かうこととして、初日最後は、この地域の大都会ブールジュとなります(駐車場はいくつかありますが、私が利用したのは、9 Rue de Seraucourtの無料駐車場)。

サンテティエンヌ大聖堂Cathedrale Saint-Etienne(9:30-12:30 / 14-18)。見た目立派な割に、笑、情報量が少ないサイト:
https://www.bourges-cathedrale.fr/decouvrir/la-cathedrale-de-bourges
ゴシックというのは知ってたけど、もうさ、びっくりしちゃうレベルだよね、こうなると。おろおろしちゃうっていうかね。
これ、世界遺産ということで、そのプレートが誇らしげに飾られていました。ということは、ゴシック建築を代表するもの、という位置付けになるんでしょうかね。
その、ゴシックの隙間みたいな感じで、ちょっとだけ、ロマネスクの遺構があるんです。私が目的としたのは、南側にある扉口の彫り物装飾です。
おそらく、ファサード側も回りましたが、ほとんど通過するだけ状態で、ほぼ直行で目的地へ。
ロマネスクとゴシックって、歴史的にはつながっている時代なのに、なぜゴシックがこれほど苦手なんだろうか、と自分でも不思議に思います。

ゴシック様式のポルティコの奥に、あるのが、その目的の扉です。
前回の記事で紹介した教会でも、よくもこんな一部分だけを残したよね、というような遺構でしたけれど、ここでも似たような様子です。
ロマネスクの遺構としては、この南側扉、内部にあるステンドグラスの一部、そしてクリプトとなるようです。ステンドグラスは、サイズの小さいロマネスク時代のものを、ゴシック時代の、より大きい開口部のために、再利用したということらしいので、分かるのですが、クリプタなどは、もっと大きなものを作りながらロマネスク時代のものを残したり、この南扉も、ポルティコまで手をかけて作りながら、扉周りは残したり。
そういう過去の遺構の残し方は、教会毎に異なるわけですが、全体の建築をここまで変えている、こういった巨大建築においては、その基準が、さらに不思議に思えるような気がします。

まぁこの扉の場合は、全体のイメージとして、かなりゴシック・テイストが入っている様子もあるので、違和感がなかったというのはあるのかもしれないです。
つまり、あまり私の好みではないかと。

タンパンの中央には、アーモンドの中のキリストが、四人の福音書家のシンボルに囲まれている図像。

かなり写実が強くて、福音書家の誰もが、まったくかわいくないです、笑。いや、基準はかわいいとかかわいくないとかであるわけではないのですが、こうやってクローズアップで見ると、やはりゴシックっぽいですよね?
手とかも、デフォルメがなくてきれいすぎで…。
アーキボルトは、内側に天使、そして外側は預言者ですかね、びっしりと並んで置かれていて、保存状態もすごく良いのですが、やはり一つもかわいくないんです…。

でも、預言者は結構扉をくぐる人を見てる様子が、すごいわ。
下の二人、アーキトボルトのトップで、完全にこっちに訴える様子だよね。こっち見ろよって様子がビンビンに…。

彩色の跡が明らかなので、往時は極彩色だったのかな。きっとそうですよね。そしたらさらに派手派手な力強さで、目力に負けて、入りたくない人もいたかもしれない…。ちょっと、やばっ、みたいなことしちゃった人とかね、怖いよ。
アーキトレーブには、十二使徒が、一人ずつ区切られて、お行儀よく並んでいて、これまた大変良く残っています。

どなたかの訪問記を見たんですが、北側にも扉があり、そちらはマリア・フューチャーの彫り物があったものの、1562年、宗教戦争の起こった際、プロテスタントによって、破壊された、とありました。その当時、この南側の扉は、近付くことが出来なかったために守られたということなんですが、閉ざされていたんですかね、ポルティコで。
北側、見てません…。ちゃんと調べていかないから、いつでも見逃し見残し多数です。

十二使徒の浮彫、背景や、区切りの柱などもすごく細かくて、びっくりします。
でも、すごいけど、でも…っていうやつ。

脇柱には預言者像がずらり。こうなると、完全に私の好みからは逸脱。

ヘレニズム的な、なんか仏教の木彫りのお像との共通性も感じるような。
それにしても、ここにも彩色の跡がうっすらとあるんで、ちょっとびっくりしました。全体が彩色されていたんだろうけど、なんかこのサイズのお像もすべて色付きとなると、想像が難しいっていうか、現代だったら、東南アジアの仏教寺院とか、そういうところにしかない文化ですよねぇ。
中世は、一般的に色彩が氾濫してなかっただろうし、衣服にしても、庶民の服は自然の素材で染めていたんだろうから、派手な色に対するあこがれだったり、特別感があって、ということなんだろうけど、日常に色が氾濫している現代では、やはり想像しにくいですね。

預言者たちの頭の上の方の柱頭にも、細やかな浮彫が施された柱頭があります。

装飾過多、っていうのも、どうしても引けてしまう点かもね。
どうでもよいことですが、ここで撮影していると、いきなり「どいてください」と言われて、びっくりしました。三脚を立てて撮影しているおばさんが、苦々しげにこっちを見てるんです。
ここは公共の場で、彼女にそんなことを言う権利はないのに、プンプン。何人だったかは記憶にないのですが、東洋人蔑視的な態度も含めて、フランス人に違いない、笑。なにも言わずににらみつけ、しばらく撮影を続行しました、もちろん。でも、彼女のイライラが、後ろで色を付けて立ち上っているほどの殺気みたいのを感じたので、早々に立ち退きはしましたが…。
ちなみに、ファサード側はこういう感じ。卒倒しそうに執拗な装飾です。

入場します。

壮大なゴチック建築。
この抜け感、外光、やはり衝撃だったろうな、と思います。好きじゃないけど、こういう方に技術が進んだのは、そりゃ当たり前だよね。暗闇だったんだからね。
ステンドグラスに関しては、確かに美しかったのですが、まさかロマネスク時代の古いものがあるなど知らなかったし、いずれにしても不勉強で、どういった違いがあるのかもよく分からないですから、たとえそうだと知っていたとしても、おそらく見分けがつかなかったのではないかと思います。

実は、クリプタ見学は、ガイドツアーとなっています。8ユーロで、宝物館とか色々回るようで、たずねた時間に丁度良いツアーがあったのですが、見学する内容を検討して、やめました。
この教会は、どう考えてもゴシック推しなわけですから、ツアーのほとんどを占めるのはゴシック、その上フランス語ときたら、相当の苦痛で、僅かな時間のロマネスク・クリプトのために我慢するのは、長い一日の終わりにはあまりにも辛い苦行だと思いました。
上に張った聖堂のサイトには、ロマネスクのクリプトの写真も掲載されていますので、ご興味があればどうぞ。
ブルージュの見所は、もう一つあり、実は私はそちらの方が楽しかったです。
続きます。
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テーマ:フランス - ジャンル:海外情報
- 2023/05/28(日) 18:03:50|
- サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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