2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その66(ロワール・エ・シェール)
この日は、比較的時間に余裕があると思って回っていたのですが、さながらフレスコ三昧で、やっぱり押せ押せになっていました。今回もまた、素晴らしいフレスコ画に出会える教会です。

サン・ジャック・デ・ゲレSaint-Jacques-des-Gueretsサン・ジャック教会Eglise Saint-Jacquesです(毎日9時から18時)。
ちょっと驚くのは、ここ、実に小さな村なんですね。

改めて地図で確認すると、川向うにもうちょっと大きな町があるので、その町のはずれかと思ったんですが、ちゃんと独立した村で、教会の近くにメリーもあるようでした。とても小さな村の墓地にある教会です。
そういったたたずまいだし、見ての通りの地味な様子だし、訪ねたのは、確かに開いているはずの時間内ではあるものの、開いていたことにちょっと意外感も持ち、有難い気持ちになりました。だって、ほんとにすごい田舎なんですよ。ポツンぽつんと住宅が立ち並んでいるだけの。
小さい村だからこそ、というのもあるかもしれないですけどね。墓地も、清潔感漂い、美しく管理されている様子でしたし。
教会が捧げられているのはサン・ジャック、つまりサンチャゴさんです。ということは、川向うではなくて、ここに巡礼路があったということになるのかな。
今回も、現地でいただいたフライヤーの解説を読んでいきます。
「13世紀に創建されたシンプルな教会は、サン・ジョルジュ・デ・ボワ修道院に属するもの。壁画は、12から13世紀になされたもので、1890/91に発見されました。場面のバラエティーさ、そしてその豊かな色彩は、この地域でも、最も重要な作品の一つとなっています。ラピス・ラズリが、単独でも、また他の色との混合でも、赤や黄土色によって強調された青、エメラルド色、緑そして紫などの色を際立たせています。」
建築は、後代に手が入ったものなので、それに関しては割愛。ここではフレスコ画が目的となりますので、開いているときに訪ねなければ意味がありません。
中も、もはやフレスコ画だけのためにあるような、超絶シンプルな様子となっています。

いやもう、感動、いや、感謝ですかね。
よくぞ残ってくれたものよ、と。
信者さんが教会を訪れるのとはまた違う、でも一種の信仰心というのか、愛他精神というのか、この趣味をやっていると、とても大きな何かに感謝する純粋な気持ちみたいなものを持つことが出来るのですよねぇ。その土地の歴史、人々の営みや生活、そういったすべての結果、千年からのものが残るということですから、”有難い!”と文字通り思うんです。
ウクライナに限らず、現代になっても戦争戦闘は絶えませんし、同時に避けることのできない天災もあります。昨今も、モロッコやリビアで、多くの命とともに、これまで生きながらえてきた多くの歴史遺産も失われたことと想像します。そういうことと思い合わせると、こうして訪ねて、出会えることが出来る喜びというのは、そういうものすべてを背景にしているということになるので、時々はっとさせられるんですよね。ちょっと大げさかな、笑。
おっと、余計な私見でした。
細長い一つだけの身廊で、余計な構造物は一切ないという潔さです。
さて、今回もきちんと撮影できているのか不安ですが、笑、解説とともに見ていきたいと思います。
私の撮影は、例によって思うままの順番超無視なので、後陣側から手間に向けてなされている解説に沿って、写真を探してみますね。
まずは、正面の右側です。

「アーモンドの中の荘厳のキリストは、四人の福音書家のシンボルに囲まれている。多彩な色彩の衣装には、小さな模様が緻密に刺繍された生地が裏地に施されています。」

ちょっとぼけてる写真ですが、衣の様子、拡大すると、確かに細かい装飾性が分かりますよね。
それにしても、正面に窓が開けられていて、その両脇に均等な大きさで絵が描かれていて、ちょっと不思議な様子です。と言って、窓はこの絵が描かれたときにはすでに開いていたのでしょう。
もしかして、今は木製で吹かれている天井部分、もっと壁があったのかなぁと思ったり、いや、荘厳のキリストが置かれているということは、そんなはずもないかと思ったり。解説にはないですが、さらに古い時代に建物があった可能性もゼロではないのかもね。

「その下の方には、最後の晩餐。キリストとその使徒たちが、一堂に、テーブルを囲んで腰掛けています。テーブルの上には、パン、魚、皿、ピッチャー、そしてボールが明確に描かれています。」
大きなカギをこれ見よがしに担いで自己主張に余念のないピエトロさんが見所でしょうか、笑。
荘厳のキリストの向かって左。

「磔刑。キリストは、両端が広がった形の十字架(Pattee)の上に描かれており、一部はエメラルド、一部は黒で、獣脂の雫のエメラルドで装飾されています。マリアとヨハネが両側にいます。上部には、空には雲が広がって、太陽と月が隠されています。」

太陽と月は擬人化されていて、とても素敵。そして、各所に使われている青の色がとても良いですね。

磔刑ではありますが、マリアとヨハネの配置は、ビザンチンのデイシスの影響があるでしょうか。
かなり傷んでいるのですが、ここでのマリア、とても素敵。

ちょっとヒト的というか、合わせた手と、そして瞳がなくなっているんですけど表情が悲しみにあふれている様子で、改めて良い絵だと思います。
下の、天使の衣も美しい青です。

「下の方には、死者の復活。ひだの多い青いマントを着ている天使が付き添っています。」

「上の方に、12世紀のものですが、天国の様子が描かれ、サン・ペテロが選ばれた二人を護衛しています。」

「下の方に、聖ジャックの殉教。3 人の登場人物 (ヘロデ王、死刑執行人、殉教者) が、致命的な行為の瞬間性に対する恐怖に捕らわれているかのように見える大きなシーン。一人の天使の頭部が、王の頭の右側に見えます。それは、かつてなされていた絵の名残のアイテムとなっています。」
建物については不明ですが、フレスコ画は、これ以前にもあったということですね。それはどういうものだったでしょうね。
ところで下世話なこと言いますが、脚線美ですよね、笑。
ヘロデ王なんかマントをはねのけて、ほっそりした長いふくらはぎをこれ見よがしに見せてます。死刑執行人も、黒のレギンスに覆われた素敵なおみ足。なぜ、男性の脚線美推しはなくなってしまったのでしょう。
ということで、写真が多くなったので、続きます。
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テーマ:art・芸術・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2023/09/16(土) 20:21:18|
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