fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

失われて残念な絵巻(サン・ジャック・デ・ゲレ41、その2)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その67(ロワール・エ・シェール)

サン・ジャック・デ・ゲレSaint-Jacques-des-Gueretsサン・ジャック教会Eglise
Saint-Jacquesです
(毎日9時から18時)。

france vari 887

続けてフレスコ画をみていきます。
後塵に向かって右手側壁の上の方です。

france vari 888

「サン・ニコラスの奇跡。聖なる司教は3人の少女を売春から救うために3人の少女の父親に3枚の金貨を贈った。小屋の下で、父親は眠っている娘の近くに座っており、それぞれが丁寧に表現されたひだの毛布を持っています。右の方で、マリアが場面を見守っています。」

父親の背景には、結構長い文が書かれているんですが、もちろん肉眼では気付けませんし、写真で見ても読めません。他すべて、顔は消えてしまっているのに、父親だけはうっすらと線画状態で表情が残っていることから、もしかすると、文も含めて、後代の加筆かもね。

その下となります。

france vari 889

「ラザロの復活。中央にあるストリギル(Sの形をした波モチーフで、主に石棺の装飾に使われたモチーフ。これは確かによくあります)で装飾された石棺は、ラザロの使用人の一人によって開けられ、座ったままのラザロはまだ包帯で囲まれています。キリストは彼に向かって手を差し伸べ、彼を生き返らせるよう招きます。右側で、ラザロの姉妹たちは、驚きに包まれています。左側では、二人の使徒が、場面を見守っています。」

france vari 890

生気のないラザロ、そして祈るような表情で枯れの頭を支える姉妹。ここはよく残っています。手が面白い。

france vari 891

ここのキリスト、光背の彩色から何から、よく残っています。

次は、右側壁の上部全体を占める記念碑的なシーンとされる大判の絵。

france vari 892

「煉獄に降臨するキリスト。右側に、キリストは壮大な姿で天使たちを従え、アダムとイブを煉獄から解放し、楽園へと導きます。」

france vari 893

「上には、天上の至福の中で並んで座る族長たち。」

france vari 894

「中央、煉獄、待ちと苦しみの場所。」

france vari 895

「下、地獄にて、有罪判決を受けた者は悪魔や茶色のまだらの毛並みをした獣によって拷問を受けます。」

france vari 896

この、ちょっと激しい場面の対面には、お誕生です。

france vari 897

「誕生。中央には編み籠に入った幼子イエスがロバと牛に見守られています。聖ヨゼフは右側に建っています。下には、マリアがよこたわっています。星と吊り下げられたランプは、シーンを隔離する小屋を伴います。」

色合いとか構図とか、対面のシーンを描いた人とは違う感じします。フレスコ画、12世紀と13世紀が混じっているから、当然職人さんもまちまちだろうし、これはちょっとなんていうか余白も多くて、面白い絵です。時代が下るのかな。下った上のヘタウマ系にも見えます。

血なまぐさいのは対面で、と思ったら、お誕生の上にもありました。

france vari 898

「幼児虐殺が上部を覆っています。子どもたちを捕まえる兵士たち、地面にひれ伏し、殺された子どもたちの近くで懇願し泣き叫ぶ女性たち。」

左側壁は、お誕生からの場面がずらりだったのかもしれませんよねぇ
手前の方はほとんど断片しか残っていないのは残念です。

その他も、ちゃんと撮影できなかったものがいくつかあります。また窓のところにもいくつか。これは時代が下るやつっぽいです。

france vari 899

「建物全体に規則的に配置された奉献の十字架がいくつかの場所で見られます。
軸方向の窓には、神の祝福の両側に、聖ジョルジュと聖オーギュスティンが描かれています(この教会は、聖オーギュスティンの規律に従ったサン・ジョルジュ・デ・ボワ修道院に属しています)。」

それにしても、これだけ内容が分かると、現場でももっと楽しいから、今が今、現地に行きたい!どこでもドア、切実に欲しいですねぇ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日々の生活をつづる別ブログです。
イタリアぼっち日記

ブログランキングに参加しています。よろしかったら、ポチっとお願いします。
にほんブログ村 美術ブログ 建築鑑賞・評論へ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村

インスタグラムに、これまでのロマネスク写真を徐々にアップしています。
Instagram, Notaromanica
スポンサーサイト



テーマ:art・芸術・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2023/09/17(日) 20:26:42|
  2. サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
  3. | コメント:2
<<加筆修正やり放題…?(リニエール・ド・トゥレーヌ37、その1) | ホーム | ここも壁画満載(サン・ジャック・デ・ゲレ41、その1)>>

コメント

壁画

ずいぶん薄いですね。私はこのあたり19年秋、(最後の海外旅行!)に行きました。旅路はるか、では フォトショップップをつかって鮮明にはしているので、元写真をチェックしてみたら 修正なしでももう少しくっきりしていました。数年で退色が進んでしまったのでしょうか? 残念です。剥がれているところもあって残念でしたが、 このキリスト像は好きでした。彫刻類はかなり見たので もういいか、という気がしていましたが 最後の旅でロワールで院あ章的な壁画をたくさん観られて思い残すとところはありません。
  1. 2023/09/18(月) 09:49:39 |
  2. URL |
  3. yk #C8Q1CD3g
  4. [ 編集 ]

Re: 壁画

ykさん
恥ずかしながら、私の撮影の問題だと思います、汗…。
当時をよく覚えておりませんが、写真から考えられるのは、開口部からやたら外光が差し込んでおり、光が乱反射してしまった様子ですね。暗闇に悩まされることが多いですが、ある程度の暗さなら、人口の光で何とかなったりする今日この頃、半端な、そして調節できない外光は、結構きついってことですよね。
旅路はるか、時々お邪魔したりしているのですが、ロワール書き終わったら、じっくりと拝見させてもらいます。
思い残すところなし、とは素晴らしいです。私も、そのようにしてイタリア生活を終わらせることが出来ますように、と祈るばかりですが、現実には、常に先々のお休みの計画でバタバタしています、笑。
  1. 2023/09/21(木) 19:58:45 |
  2. URL |
  3. Notaromanica #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する