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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

250もあるとは(サンテニャン41 その1)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その73(ロワール・エ・シェール)

次は、前回に比べると段違いに大きな町となり、事前に駐車場を調べといて、ナイス、オレ!でした。そこそこの規模の町で、駐車場が分からないと、マジ悲劇だから~。グーグルのストリートビューさまさまだけどもさぁ。
ほんと、度々言ってしまって、今どきの人にはウルセーかもだけど、ナビもない、グーグルマップもない昔に、紙の地図だけであちこち行っていた人たち(含む自分)、マジ、すごすぎるよね。

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サンテニャン・シュル・シェールSaint-Aignan-sur-Cherのサンテニャン教会Eglise Saint-Aignanです(駐車場は、メリーのある広場、Place du President Wilson)。

教会は、かなり街中にあり、全体像を撮影するのは不可能、といったロケーションでして、外観についてはろくな撮影ができませんでしたが、ここは、ディテールがすごいです。

まずね、いつもの余談ですけど、一応駐車場から徒歩で向かう際に、ほんの5分くらいで着くはずなんだけど、アナログ時代を経験している名残なのかなんなのか、スマホで地図を見ていても、つい人に聞く癖があります。ってか、そっちの方が信用できるっていうアナログ人間なんですな、おそらく、いまだに。
で、訪ねたおばちゃん、とても親切でした。
道を聞いて、スマホ情報と違いなく、ここを行けばいいということが分かって、安心して急ぎ足で向かったわけですが、教会内部で、そのおばちゃんとバッタリ再会。あらあら、どう?素敵でしょう?クリプトは見た?とどこまでも親切。親切なおばちゃんの親切さは本物だよね。
でね、おばちゃんといえば、教会内でも親切おばちゃん、いた。

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こんな写真はいけないのかもしれないけど、驚いて撮っちゃったんだけど、内陣の床をね、ごしごしと掃除しているおばちゃんがいたんだよね。きっと、教会のケアをしている婦人会みたいな組織があると思うんだけどさ、そういうところのおばちゃんでしょう。それにしても、こうやってはいつくばってお掃除って、すごいよねぇ。
教会入り口に、有料パンフレットがあると書いてあったのだけど、本堂内部には売店らしきものもないので、ちょっと聞いてみた。そしたら、嬉しげに、それならこっちこっち、と教会の外に連れ出されて、向かいの建物にベルを鳴らして入り、まるで倉庫のようなところで埋もれていたおやじに引き渡されたんだよねぇ、笑。おいおい、なんだよ、これ?って感じだったんだけど、ちゃんと冊子があって、それも英語版まであって、その上たったの5ユーロという良心的な価格だったから、もちろん喜んで購入して、それが四年たった今、役立っている、とまぁそういう話なんだけどもさ。

でも、英語版はおそらく失敗だった。
英語でも、自分で読んでなんとなく訳すより、自動翻訳にかけた方が簡単と思ったんだけど、自動翻訳の場合は、おそらくフランス語からイタリア語の方が自然な翻訳ができるっていうか。英語にしている時点で、すでにフランス語が変な単語とかフレーズになっている様子もあって、ところどころ、すごく分かりにくいし、建築や美術の専門用語のフランス語原語が分からないのが意外と不便。
現地では、英語あってすごい、有難いと思ったけど、とんだ勘違いだったとさ。

というわけで、前振り長いですが、現地で仕入れた冊子の解説をもとに、ディテールを見ていきたいと思います。

「サンテニャン教会はフランスで最も優れたロマネスク様式の教会の 1 つと常に考えられており、シェール渓谷に関する限りではブールジュ大聖堂に次いで 2 番目です。
土手道と橋を経由してそこへの訪問を開始すると、小さな開口部と優雅な小さな柱でできた繊細なレース編みの (翼廊) 交差点にある堂々とした塔を鑑賞することができます。
熱心な中世愛好家だけが興味を持ちそうな詳細にはこだわらずに、まず外観、つまり玄関ポーチを覆う非常に広大な塔から訪問を始めるべきです。」

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「この小冊子に掲載された図面からわかるように、それは最後に建設されました。 巨大な控え壁に囲まれた堂々としたこの建物は、トゥールのサン マルタン教会のレプリカであり、現代のものであると考えられています(注;ポーチは12世紀のものだけど、上部の鐘楼部分が、現代に付け足された部分ということらしいです)。それは防衛のために建てられました。 トゥールのものと同様に、参事会用の部屋としても使用されていた可能性があります。 シャトーと同様に、包囲された場合の避難場所として使用できます。」

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「現在教会を覆っている鐘楼については、前世紀に遡り、30 年をかけて全体の重要な修復作業を行う必要がありました。鐘を設置することのみを目的として建てられ、交差点にあったかつての鐘楼のレプリカとして設計されました。
非常に明確なデザインの 3 つの尖ったアーチがポーチに通じています。 教会の扉だけが、いかなる装飾も施されておらず、鋭いエッジを備えた典型的なロマネスク様式の半円アーチを残しています。」

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「ポーチに着く前に、かつて”ベリー様式の扉”と呼ばれていた南のドアを鑑賞することができます。このドアはまさに装飾の傑作です。花も動物も、かつての美しさを見事に復元されました。修復家の一人によると、この建物は 12 世紀半ばの最も純粋な装飾スタイルで作られたそうです。」

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「エントランスタワーの1階には、ポーチの上に位置するホールが広がります。それは、アンジュヴァン・ゴシック様式のいくつかの教会の同じ後陣で使用される方法で、4 つの彫像の 4 つの角度のそれぞれに丸いモールディングを備えたリブ・ヴォールトを備えています。」
聖ペテロ、福音書を携えた聖ヨハネ、香水の小瓶を持ったマグダラのマリア、そしてマリア・サロメを認識することができます。 それは復活に関する一連の場面です。
オルガンがこの部屋に設置されているため、アクセスは許可されていません。」

5ユーロというお得感のあるお値段で入手した冊子は、さすがに簡易で、解説それぞれに写真が掲載されていないので、どこがどうなのかがよく分からないのでした。そして、例によって私は、手あたり次第、出会い頭に撮影しまくるタイプで、どこをどう撮影しているかは不明なので、笑、ディテールを解説と合わせて完全に理解しているのかどうか、我ながら不明なわけで…。そんな中、アクセスは許可されていない、とか書かれると、つまり、それは私もアクセスできてないってことよね?と思うしかないんだけど、もはや見学時、どういう様子だったか、覚えてないという二重苦三重苦状態で書いています。

そういう意味でも、詳細すぎる解説があるのも、ちょっと何度も書きすぎですが、辛いものがあります…。もっと早くに読んでいればねぇ、もうちょっと納得できる部分もあったかもだけど。

いずれにしても、この教会は内部のディテールが見どころと思うので、解説にも従って、本堂に入場していきましょう。

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「身廊の中央に沿ってトランセプトに向かって進むと、「クリプト」とともに教会の最も古い部分である内陣と聖域の全体的な眺めを得ることができます。
同じ博学な解説者たちからも賞賛されているこの建築観は、彼らの目には「...その極度の威厳と、その力強さと調和の影響によってすぐに印象に残り、その上にある塔と同様に、ロマネスク芸術の最も顕著な成功の一つである。」 。
塔の下の交差点には、参事会が教会の創設者とみなした地元の土地の家族と世襲の支部長たちと共有する屋台が今でも並んでおり、2列のアーチを備えた4つの壮大な半円形のアーチが設けられています。 側柱のある十字形の柱の上に石が置かれています。それはペンデンティブで支えられたキューポラで覆われています。 通路の壁から開いたステンドグラスの窓から光が差し込みます。 窓は 14 世紀に拡大され、当初のスタイルは失われています。北側の窓の下には、サン=テニャン公ポール・ド・ボーヴィリエの未亡人アンリエット・コルベールの紋章が描かれた葬送画の痕跡が認められる。
宗教建築の傑作としても引用されるこの聖域は、まず正方形の湾によって内陣を延長し、次に翼廊と同様のアーチによって区切られた半円を描きます。
この半円形は 6 本の頑丈な丸い柱で構成されており、110 年前に改修され、同じく修復された柱頭が冠されています。」

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「それらは、内陣から見ると、左から右へ、以下となる。
- ドラゴンを殺すサン・ミカエル

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- 人の頭の中にまとめられたドラゴン
- 二頭の雌ライオンを引き離すダニエルだが、その腕にライオンの顎を抱えている
- 狩猟するいて座

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- 雄鶏につつかれる人間の頭を持つ2頭の龍
- アブラハムの犠牲

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これらの柱頭のうち 4 つはオリジナルをコピーしたものであり、後で説明します。」

自分が見学した流れとはちょっと違うので、解説に沿った写真を見つけるのも、結構難しいものですが、とにかくこの教会、柱頭総数250ということで、今更驚きました。確かに沢山あるんですけど、250とは、ちょっと驚愕する数字ですよね。

続きます。


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テーマ:art・芸術・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2023/09/29(金) 22:08:19|
  2. サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
  3. | コメント:0
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