2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その75(ロワール・エ・シェール)
サンテニャン・シュル・シェールSaint-Aignan-sur-Cherのサンテニャン教会Eglise Saint-Aignan、続きです。地下聖堂から上の教会に戻ります。その1で内陣の装飾を記録したのに、行ったり来たり、ちょっと変則になってしまいましたが、改めて本堂の装飾的アイテムを見ていきたいと思います。
250もの柱頭があるということで、実際に現地ではしっかりと鑑賞しましたが、すべての撮影はできていないようです。仕方ないですよね。柱頭の全方向に浮彫があるなどの場合も、必ずしも一つ一つについて、丹念に撮影するような繊細さがないものですから、撮り逃しは本当に多いです。それに加えて、システマティックに行動できないものだから、順番が入り乱れているのも、あとで整理するのが厳しくなる要因です。毎度…涙。
装飾的なモチーフから、新旧聖書のエピソードまで、内容は様々、そして、オリジナルやコピー、再建が入り混じっておりますが、解説をメインに、探せた範囲で並べてみたいと思います(オリジナルやコピーが入り混じっており、間違えもあるかと思いますが、ご容赦ください)。
これだけの数ですから、当然一人の石工さんの仕事であるわけはなく、また時代的にも結構幅広いこともあり、全体のイメージとしてすごく好きとは言い難いのですが、時々妙に愛らしいものがあったり、とにかくこれだけあれば、何かしらウォーと思うものは、だれしもあるのじゃないかと、そういう意味では、万人向けの装飾アイテム満載教会ですね。
では、解説を見ながら。
「メインの扉口に戻り、教会内にある 250 の柱頭に注目しながら、右側の通路に沿って見て行きます。それらの中には、元のモデルから修復家によってコピーされたもの、元の場所から移されたもの、さらには単に削ってきれいにしただけで、他の場所で見つかったモデルからさらに再彫刻されたものもあります。
これら柱頭の相対的な制作時期に関して、今日まで考古学者の意見を二分している議論には立ち入らず、私たちはその多様性と、私たちが感謝する匿名の石工たちの技量と想像力に注目を集めることに集中したいと思います。
多くは、多かれ少なかれ様式化された性質の、葉っぱが織り交ぜられた、スクロール、渦巻状、ヤシの葉、葉、果物などの装飾的なデザインを単に特徴としているだけです。その美しさには解説の必要はありません。」

「旧約及び新約聖書のエピソードを表すものもあります。
さらに、信者の想像力を刺激し、罪への嫌悪感と罰への恐怖を植え付けることを目的としたものもあります。
身廊の最初の柱間のアーチを支える左側の最初の柱には葉状の巻物があり、炎を吐き、同時に捕食者に襲われる巨大な動物が描かれています。
右側の通路の最初のアーチの下に、裸の男、拍車の先端におんどり、そして水差しと数枚の皿を持った宿屋の主人が見えます。これらは、贅沢、プライド、暴食という 3 つの大罪を描写することを目的としています。左側ではイエスが嵐を静めています。」

「身廊の 2 番目の柱間のアーチの下、右側に 2 頭のライオンが見えます。そのうちの 1 頭は 2 つの体を持ち、さらに 2 頭を飲み込んでいます。」
これ、相当面白いデザイン。あまり見たことないなって思います。斬新かつ独創的、パチパチパチ。
「礼拝堂に面した柱間の右側の柱には磔刑。」

これ、筋肉隆々で、およそキリストのイメージじゃないんだけども。大胸筋が目立ちすぎだし、二頭筋?腕も…。磔刑ではなくてボディビル状態ですよね。
「礼拝堂を出た後、翼廊の通路の後陣の方向にある次の柱頭には、ツィターを持ったダビデ王が描かれています。 その角は 2 つのライオンの頭を形成します。」

「隣の柱間のアーチの下で、左側には果物をついばむ鳥が見え、右側には盾と剣を持った兵士がドラゴンを攻撃しているのが見えます。」

「後陣の半円の最初のアーチの下、左側で、聖ミカエルが 2 人の天使に囲まれ、渦巻きを吐き出す悪魔のような顔でドラゴンを屠ります。」

これは、おそらくオリジナルが内陣にあるやつだと思うんだけども。

こうやって重複したりするから、解説も分かりにくくて。まぁ、自分の撮影の問題と、読解力の問題もあるんだけどさ。
「半円形の最初のアーチが開いた柱には、オリジナル (さらに奥に位置) に基づいた柱頭があり、2 頭のヤギが背中をむさぼり食うライオンに気付かずに正面から戦っている、自己破壊的な頑固さの象徴である。」

「前世紀に修復された聖所の最後の柱の上には、アブラハムの犠牲の別の側面があり、群衆の中に息子の身代わりとなる雄羊が描かれています。」

「後陣の最初の放射礼拝堂の右側に聖母子が見えます。」

「同じ礼拝堂のアーチの下、右側には二頭の野獣が長い首を絡ませている。」

「左側は、7 つの恐ろしい頭を持つ伝説のヒドラです。」

これは、恐ろしい怪物のはずが、なんて、かわいいのか。いや、ちょっと蛇っぽい様子もあらわなニョロっとしたスジスジは苦手ではあるんだが、整然と並んでペロリンちょとしている様子、これはちょっと恐ろしくは見えないよねぇ、笑。
「聖域の 5 列目の後ろで、人魚がイルカの口が大きく開いています。」

この人魚もさぁ、女性的ではない筋肉的な胸の方々。それも、二股というより完全に二本足的な、笑。イルカには見えづらい魚の口をぐいぐいしている様子も、一転をにらんでいる様子も、人魚というより戦う何かになっているような…。
いるか、歯並びすごいからぐっとつかんだら痛いわけで、でも、ものともしてない鉄人的な…。

「中央礼拝堂の右側では、動物が捕食者に襲われています。」
お気づきかもですが、風柱頭などの装飾的なモチーフが、結構古典的で、凝っていますね。やはりそれなりの技巧を持った経験豊富な石工さんがかかわっていたということでしょう。
もう少し載せたいので、もう一回だけ続きます。
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テーマ:art・芸術・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2023/10/01(日) 20:42:16|
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