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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

聖書は奥深いってことで。(サン・ブノワ・シュル・ロワール45 その2)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その92(ロワール)

サン・ブノワ・シュル・ロワールSaint-Benoit-sur-Loireのフルーリー修道院Abbaye-de-Fleury、続きです。

歴史ばかり見ていると退屈してくるので、今回はポーチの柱頭を見ていきたいと思います。
まず、ポーチの概要から。

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12本の柱があり、そのどれも似、堂々とした柱頭が載っけられていて、おろおろ必至の場所となります、笑。もうね、目移りしちゃって、何も考えずに撮影しちゃうから、わけが分からなくなるやつね、おなじみのやつ。

退屈だけど、一応解説をば。

「イントロダクション:
大聖堂の図像は、2 人の偉大な信仰の証人によって支配されています。ポーチの塔にいるガリア人の使徒聖マルティンと、聖域にいる修道院生活の立法者聖ベネディクトです。このように、塔の柱頭は、外側では教会とその福音宣教の働きの神秘を呼び起こし、内側では聖域の柱頭が神の家での生き方を教えています。これら 2 つの図像プログラムでは、キリストにおける救いの歴史が顕著に示されています。
これら 2 つのセットは、建物の歴史的柱頭全体を構成します。このように、彫刻と建築は相互に補完し合い、工事が始まる前から構想されていた計画を証明しています。読み取りの鍵となるのは、聖父主義の伝統に従って解釈され、ロマネスク彫刻の象徴に従って描かれた聖書です。それは私たちが建物の神学を発見することを可能にし、信仰の神秘について教育的で遊び心のある教えを提供します。
これらの歴史的な柱頭は、同じ時代の装飾写本で動物や花が物語を説明するイメージと混ざり合っているのと同じように、この教えをかき回し、飾り、強調する機能を持つ、豊富な植物や動物の彫刻の一部です。」

ポーチの中央部に、上述の点から、最も注目すべき二つの柱頭があります。その一つがこちら。

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サン・マルタンの柱頭です。図では、37の位置なので、本堂への入り口近くとなります。

「ローマ軍団員であり、まだ教育実習生だったマルティンは、ある非常に厳しい冬の日、駐屯地にいたアミアンで、助けを乞う貧しい男に出会った。すぐに、彼は自分が持っていた唯一の衣類である短いマントを彼に分け与えました。
次の夜、主が彼に現れました。その哀れな男は他ならぬイエスご自身でした。その後、マルティンはリグージュで隠者となり、その後トゥールの司教に選出され、ガリアの偉大な伝道者となりました。」

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「左側には、彫刻家が貧しい男にクラミスを分け与える場面を表現しています。
中央のマルティンは、トゥールのグレゴリウスが報告したケルン司教聖セヴェランの幻視によると、死の際に天使たちによって栄光のマンドルラの中で天に上げられる。天使たちは悪魔のような人物を足の下で押しつぶします。マーティンが着ている典礼衣装は、彼の司教職を思い出させます。」

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「右側では、ドラゴンが繁栄した天使の足元で地面の塵をなめています。これは、ガリアの使徒の祈りと説教を前にして異教と邪悪な力が無力であることを示しています。」

押しつぶしている様子を、クローズアップしてみました、笑。いwれなけりゃ、ちょっと分かりませんよねぇ。いや、言われても分からないな。本当にこれかな。
考えたら、仏教でも、鬼が押しつぶされてたりしますよね。押しつぶすっていうか踏みにじるみたいのって、悪をやっつける象徴的行為ということなんですね、きっと。正義が上に立つとかそういうシンボリックなことなのかしら。

サン・マルタンの向かい39にあるのが、エジプトへの逃避の場面です。

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幼子が、やけに馬面だなぁ、笑。

「マギたちがベツレヘムを訪れた後、主の天使が夢の中でヨセフに現れて告げました。”起きなさい。子供と母親を連れてエジプトへ逃亡するのです。私が警告するまでそこにいてください。ヘロデが自分を殺す子供を探すつもりだからです”。ジョセフは立ち上がった。 その夜、彼は子供と母親を連れてエジプトに撤退し、ヘロデが死ぬまでエジプトに留まりました。
実際、中央にはエジプトへ向かう山上のマリアと子供が見えます。
ジョセフは渦巻きの下で手綱をつかんで動物を導き、もう片方の手でヤシの葉を高く掲げます。」

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「一番右では、王の笏を肩に担ぎ、剣を振り上げたヘロデが、子供の死を命じています。
したがって、福音派の場面ではすべてが表現されていますが、それでも奇妙なものだけです
伝説のロバの代わりに立派な馬が登場しています。
マリアは、逃走中で苦しみながらも、王座に座るかのように、直立して威厳を持って玉座に座っています。
彼の足はスツールの上に置かれており、これも主権の象徴ですが、これは乗馬の間固定されています。
その子は、天上の後光、伸ばした右手、もう片方の手の地球儀、状況に見合わない豪華な衣服など、天界の王族のあらゆる外見を備えています。彼は立って、父親(構図の上部)に手を伸ばしており、母親の膝の上には座っていません。
伸ばした右手で彼は東を指し、馬は西に向かっています。
ジョセフは逃走中に勝利の象徴であるヤシの木を立てます。
柱頭の端に追いやられたヘロデの犯罪的な王権は悲惨に見えます。」

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「左側では、聖ミカエルが馬のお尻に肘をつき、柱に固定されたキリストの十字架を両手で怪物の口に突き刺してドラゴンを倒しています。十字架の根元は炎、つまり天の火の形をしています。それは滅びの言葉の剣です。」

この柱頭に関しては、背景にある意図が、大変細かく解説されていて、なかなか面白いのですが、それは美術ではなくて宗教的な内容となるので、ここでは割愛します。しかしそういったものを読むと、なるほど、聖書というのは奥深いものなのだろうなぁとしみじみと感じさせられます。
今は、図像の内容を理解するために、斜め読みするだけの聖書ではありますが、いつかじっくり読んでみたいものだとは思うのですよ。いつか…。

ここでは、解説の中から、神の手の部分だけ、あげておきます。現場ではなかなかそんな細かいところまで見ることはできないですからねぇ。

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「右上の神の手 - 3 本の指が伸び、他の 2 本の指が折りたたまれている - は、天と地の創造者である神の最も一般的な表現です。
誰も彼を見たことがないですが、手が形を作り命令するので、彼は手によって表されます。
同様に、中央では、マリアの腕に抱かれた子供が父の手を平行に伸ばしています。この対称性は、最初の創造と、キリストによって達成された堕落した人類の再創造との関係を思い出させます。」

ちなみに馬面の幼子については、ちゃんと解説がありました、笑。
「彼は子供の大きさを持っていますが、大人の顔をしています。彼はすでに祝福のキリストです。」

とまぁ、柱頭一個でも、すごいボリュームの解説があったりして、これでは先へ進めませんので、あとはさらりと行きましょう。

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「中央部は恵みと神の加護の側面です。
30に置かれた、共有された魂。
塔の外側の右側では、天使と悪魔が小さな人物を腕に抱えています。彼は天使に左腕を委ね、天使は頭に手を置いて彼の保護を示します。 反対側では、曲がった右腕は悪魔の誘惑に抵抗していることを示しています。
厳粛な顔を持つ天使の美しさは天上の完璧さを呼び起こしますが、悪魔の裸体、荒々しい外観、羽や炎で覆われた顔と腰は、堕落した生き物としての彼の状態を強調しています。中世の彫刻家は、人間の魂を小さな子供の形で表現することがよくありました。したがって、私たちはここに霊的な戦い、つまり天使によって表される善と悪魔によって表される悪とに分かれた魂の完璧な例証を持っているように思えます。」

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「内側の左側では同じシーンが繰り返されますが、戦いの結果がわかります。魂は神の天使の方を向き、意図的に良いものを選びます。左腕だけが悪魔の手に残っており、この世界では霊的な戦いが絶えないことを示しています。」

子供が出てくると、幼児虐殺しか思い浮かばない私は、この、「魂を子供で表す」という技術を覚えておくとよさそうに思いました。なるほどね。

北側の柱頭は、「塔の中心がイエス・キリストにおける救いとそこへのアクセスを与える善行を呼び起こすとすれば、周縁部は逆に世界との妥協、さらには悪との妥協を表します。このようにして、建物の北側、つまり寒さ、暗闇、サタンの北側で、ケルト風の柱頭に象徴的に表されたプライド、貪欲、怒り、嘘、そして西側、判断、占星術、占い、仕立て屋、怠惰、曲芸師などによってあらわされる。」

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首がぐるぐるしているのは、魅惑的な蛇(嘘)と怒り。右端尾角には、貪欲を表す守銭奴。

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誇らしげなスピーチ。えらそうな、とかそういうことかな?

サン・マルタンのある同じ柱頭の別の面にある、別の図像。

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「明らかに子羊の結婚式を表しています。
このシーンは、その完璧な対称性が印象的です。高域と中央で、重層的に、ペアが絡み合っています。花嫁は王冠をかぶり、花婿はひげを生やし、短い髪をしています。上では、アカンサスの 7 枚の葉のうちの 1 枚が二人の愛を証明しています。新郎新婦の横を他の2組のカップルが取り囲んでいます。腕を組んで踊っているようです。彼らは結婚式のゲストであり、小羊の証人です。これらの輝かしい結婚式は、最終的に食事、婚宴、つまり聖体を示唆しており、向かい合った鳥の柱頭で象徴的に表現されています。「小羊の婚礼の晩餐」は、神とその民との間の古くて新しい永遠の契約を最終的に完全に実現するものです。ダンスは救われる喜び、この繁栄に参加する喜びを表現します。」

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「低域では、角のある人物の周りで 4 頭のライオンが 2 つの対向するグループに分かれています。両腕を広げ、右手に短剣を持ち、左手でライオンの前足を掴んでいます。その光景は、襲いかかる邪悪な動物と格闘する殺人犯の男を彷彿とさせる。」
「したがって、この構図は、キリストとその教会が愛によって達成され、実現された勝利によって高音域で支配される悪の勢力を象徴的に呼び起こすことになります。」

自分の撮影した写真と、解説を読み込んでまとめてみましたが、ちょっとこれ以上は無理なんで、ポーチはこの辺で。ここは、有名なだけあって、訪ねる価値大ですし、ロマネスクやっている人は、行くに決まっていますので、どうぞ行って、実際に見てくださいね。現場では、なかなか冷静に一つ一つを丹念に見たり撮影したり、なんてことができにくいほどの迫力だって、きっと分かります。
後ね、覚えてないけど、解説も色々あったと思うんです。もっと、写真掲載も多くて、柱頭の説明に特化した本を買えばよかった、とか後悔も…。かなり吟味して選んだと思うんですけれど、歴史とか、図像の細かい話が多すぎて、読むのが苦しいです。でも、すごく面白そうな話が載っているので、読まずには…。辛い…、笑。家でも修行かよって。語学も勉強も苦手なのにねぇ…。

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テーマ:art・芸術・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2023/11/21(火) 22:19:23|
  2. サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
  3. | コメント:0
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