前回の一時帰国中に、かなりいい席で鑑賞したせいか、えらく気に入った歌舞伎見物。
また、現在の歌舞伎座が、もうすぐ建て替えということもあり、どうしてもその前に見たくて行ってきました。今回は三階の安い席ですけど、初春のおめでたい公演ですから、役者もいい人が多数出ています。
三階席は、舞台全体、特に花道が見えないという欠点がありますが、その代り、常連というか通の方が多くて、掛け声がすぐ近くから、いいタイミングで飛びます。成田屋!とかどすの入った声というのか、あれはいいですねぇ。ああいうのが出来るようになるまでには、どれだけ通わなくてはならないんでしょう。
演目は、上の写真の通り。
春調娘七草(橋之助、染五郎、福助)
梶原平三誉石切(幸四郎、他)
勧進帳(団十郎、勘三郎、梅玉、他)
松浦の太鼓(吉右衛門、歌六、他)
娘七草の美しい踊りや、歌舞伎十八番の勧進帳は、勿論楽しめるのですが、お芝居2本が、とても面白かったのです。特に松浦の太鼓という話は、忠臣蔵の外伝といった内容で、話としてとても面白いものでした。忠臣蔵の悲壮感はなく、最後も明るい締めくくりで、新春にふさわしい演目だったかも。
落語関連のコラムで、伝統芸能として昔のままでは生き延びることは出来ない、やはり現代化は必要である、歌舞伎のように、イヤホン・ガイドを聴きながら鑑賞するようではだめなのだ、というようなことを書いているものがあったのですが、わたしはイヤホン・ガイド、結構楽しんでいます。お芝居になると、台詞は割りと聞きやすいし、話としてはかなりついていけますが、たとえば勧進帳など、本当に昔のままの演目は、台詞すらよく聞き取れないのが現実。でも、それを現代語に分かりやすくいえばいいかといえば、そうではないだろうし、まずイヤホン・ガイドで入門するのは、悪くないと思います。
見ていくうちに、分かってくること、覚えてくるものがあると思うし、そうなってから初めて本当に楽しめるかもしれないとは思いますけれどね。イヤホン挿していると、生音がききにくいのは確かだし。
お芝居は、基本的にあまり得意じゃないんですが、歌舞伎は、好き。多分、古典落語にも通じる、予定調和的なところとか、形を完全に作りこむので、汗とか人間くささが消えて、生々しくない虚構性とか、とにかくなんと言っても衣装のすばらしさ、女形の美しさ、舞台の面白さ、そういうことです。
しかし!
ちょっと長くないですか。夜昼連日公演するのに、一公演が、それぞれ5時間近くって。そりゃ休憩が入りますけど、かなりの苦行ではあります。今の歌舞伎座は古いし、椅子は小さいし座り心地は悪いし、最後の方は、お尻が痛くなってしまいます。せめて3時間くらいでいいのではないかとおもいますけどね~。役者も大変ですよね。
さて、歌舞伎座の建物です。
あと109日でクローズ。さびしいですね~。
新しくビルになっても、正面はこういう姿を残すらしいですけど、うまく融合した形になるといいですね。劇場内が新しくなることはよいことですけど、あまりにすべてピカピカと現代的になっては困りますし。
いつか、花道のかぶりつきで見たいものだと思います。新しい歌舞伎座が出来てから、の話になるわけで、いつになるんでしょうね~。
3月いっぱいさよなら公演が続きますので、最近見てないなぁ、とか見たことないなぁ、という方は、是非一度足を運ばれることをお勧めします。やっぱり日本の文化ですし、見る価値絶対にあります。たとえ5時間の苦行でお尻が痛くなるにしても!
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- 2010/01/20(水) 06:17:53|
- 日本徒然
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