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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

微笑みのマリア様(ローリエ15)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その137(オーヴェルニュ、カンタル)

この辺り、前回考察したように、実に小さな村ばかりなんですが、どこにもちゃんと教会があって、それが今でもそれなりに整備されていて大切にされている感にあふれています。
その山奥ぶり、村の規模のミクロ具合が興味深くて、どうしても地図を確認したくなってしまい、確認したら、やはりあきれるミクロぶり、そして山奥ぶりです、笑。
こんな土地、仲間と一緒だから、楽しく遠足が出来ましたけど、一人ではなかなか突撃しにくい場所だと思われ、つくづく誘っていただいてありがたかったことよ、と今更友人に感謝してしまいます。

さて、今回は、こちらです。

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ローリエLaurieのノートル・ダム教会Eglise Notre-Dameです。

たたずまいは、どこも似たり寄ったり、笑。この規模の村にしては、それなりに立派で、地元産の石づくりっぽくて、家並みに溶け込んでいるやつです。
後陣に塔があって、入り口は側壁に開けられているというのも、大体似通ったスタイルのようです。
そして、どこでも二階があって、どこでも寛容なことに、自由にアクセスさせてくださいます。

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小さい教会でもあり、内部の全体の様子を撮影するのも難しく、以下、解説がちょっと分かりにくい可能性もあるのですが、上の写真で、ちょっと分かるかな。
下が平面図となります。二つ身廊という、ちょっと変わった様式になっているんですよ。

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番号は、柱頭の解説がついているので、そのためのものです。

解説によれば、
「詩的な名前を持つローリー村は、約 1,000 メートルの高さからシアンヌ渓谷を見下ろしています。ローリーのすぐ近くにガロ・ローマ時代のネクロポリがあるため、人間の定住は確かに非常に初期であり、いずれにせよ活発であったことが想像されます。」
ということです。名称は、ローリエと聞いたように思うのですが、グーグルマップでは、シンプルに”ロリ”とあり、翻訳ではローリーと出てきて、混乱しますね。

ローリーとなると、私の中ではカラコンのギタリストだから、笑、詩的というより、おちゃめでポップでかつガチ関西イメージだわ、って、それは偏りすぎだよね。それにしても、フランス的には、詩的な響きなのかなってとこ、興味深いです。

さて、教会の構造に関しては、以下のようにあります。
「教会は、2 つの平行な側廊を持つ身廊が、 1 つの真っすぐな壁で終わるという形をしていますが、この配置がオリジナルであると思われるため、このケースはさらに珍しいものです。私たちは、単一の身廊を持つ最初の教会が 12 世紀に建てられ、その後、おそらく同じ世紀か、その直後に、スペースの理由から追加の身廊が追加されたと考えています。確かに、両側に見られるのと同じロマネスク様式ですが、柱と控え壁の対称性は尊重されていません。したがって、おそらくカルヴィニャックのように 2 段階の建設になる可能性がありますが、これはそれほど驚くべきことではありません。中世の建設現場は永続的なものが多かったからです。
ただし、1800 年頃に崩壊した最初の身廊がほぼ完全に修復されたことを考慮する必要があります。当時は南の内陣と北の身廊だけが残っており、再建は無秩序な方法で行われ、建物に対する現在の我々のビジョンを混乱させている可能性があります。いずれにせよ、この「2 つの」並行した教会はカンタルで唯一のケースです。
その後、他の作業も行われました。19世紀後半、土に埋もれていた北壁が切り開かれた。内部の同じ壁で、柱頭を隠していた一種の型枠が剥がされ、この機会を利用して 2 番目の身廊全体をペイントしました。
私たちの意見では、境界部分の壁は部分的にしか再建されておらず、最初の身廊側にあり、その壁を常に区切っている脇のアーチ型建造物は、古いものに違いありません。いずれにしても、柱とそれを支える柱頭は完全にロマネスク様式です。一方、南の壁は再建されたものですが、元の柱と柱頭が再利用されているため、全体的な印象は非常にオリジナル同様です。
内陣は、その柱、柱頭、側面のアーケードを含めて、手が触れられていません。
全体的に、教会は慎重に建てられており、建築上の装飾は主に彫刻を引き立てています。
二重柱で区切られた 2 つの柱間が身廊を形成します。2 番目の身廊も同様に分割されており、より狭く、左側は柱頭のある円柱の上に、右側はおそらく古代の控え壁である付け柱の上に、区切りアーチ壁があります。
主な内陣である南内陣は、身廊と明確に区​​別されていません。2 つのアーケードが、両端は欄間の上に、中央は柱の上にあり、側壁を飾ります。東壁を占める祭壇画のため、南側に開けられた一柱間が、中央円柱が失われたことを示しています。
2 番目の身廊はよりシンプルで、円柱が 二本あるだけです。」

実は、構造については、内壁などもかなり修復されている様子だったり、ほとんど撮影してなくて、上の解説を読んで、ちょっと後悔しました。珍しい構造なのに、なんかピンと来てなかった感じです。
珍しく、お像に食いついちゃったりしてたからね、いつもと調子が違ったのは確かです。

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教会創建の12世紀またはそのちょっと後の13世紀初頭に作られたであろうとされる聖母子が安置されていて、おそらくこの教会のイチオシアイテムだったみたいなんですよ。
とても大切な様子で、こんな高い場所に、ケースに収められていて。そりゃそうですよね。まぁ、田舎の村なので、普段変な人なんかいないだろうし、いたらすぐに見つかるだろうから、乱暴狼藉的な事件は起こりにくいとは思うけれど、それでも、常にリスクはあるわけで。こういう世の中で、オリジナルのお像が、ケース内であっても安置されているというのはすごいことだと思います。
こんな様子だから、その重要性が分かっていなかったとしても、おお、となるわけで、私も例外ではなく、まんまと「おう!」となってしまって、やたらお像を撮影してしまったわけです、笑。
根がミーハーで成り立っている女ですからね。

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なんでもこのマリアさま、うっすらとほほ笑んでいるということで、他に例をみない聖母という位置付けで、さらに重要だったり愛されたりしている存在みたいです。うーん、ほほ笑んでいるのかな。そういわれれば、かすかに口角が上がっているかもね?
そして、聖母子のお像で、うっすらでもなんでも、ほほ笑んでいる、と見える表情のマリア様は、見たことないかもね。

それにしても、よく美しく保存されて。こういうのを拝見すると、ロマネスクは奇跡だよなぁと思ってしまいます。ローマはね、基本、石の巨大建造物だから、そんなに思わないんだけど、中世以降というのは、木造も含めて繊細なものが多くなる中、そして、戦乱だったり世の中の不安が多い時期を超えていることなんかを考えるとね。特にこういったお像があるって、ほぼ奇跡。盗難も多いからね。

この他、この教会も小さいのに、しっかりと柱頭装飾はあって、やっぱりちょっと面白いです。
解説にあった説明に、自分の順不同に撮影した柱頭をマッチさせてみます。

1. 植物を吐き出すマスク。そう遠くないMoledesモレデス、そしてDiennesディエンヌなどを彷彿とします。実際、口は極端に開いており、歯がはっきりと見えます。

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2. 茎は単一の線から始まり、葉とブドウの房で終わります。構成は、利用可能なスペースをすべて占有しようとします。

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3.植物

4.アトランティス、あるいはむしろ曲芸師は、曲がった足でしっかりと座り、頭を仰向けに投げだしています。彼らは片手で枝にしがみついています。もう一方では、スペースの中心を占める水平の棒を持ちます。この棒や枝からは、果物か単純な葉っぱであるに違いない、不明瞭なアイテムが出ています。この柱頭には意味があるかもしれませんが、まったく難解です。

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5.様式化された葉。

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6. 再び様式化された葉。

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7. 6つの層の上にある小さな葉。 下の方に、白ユリの花。

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8. 球で区切られ、角を支える大きな頭部。 一人は目を閉じ、もう一人は目を開けています(画家の幻想?)。

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9. マロニエの葉 (?) で区切られた、より小さい、やはり角に置かれた頭部。

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植物のは、いくつかは間違ってマッチングしてるかも、笑。例によって、撮影はめちゃくちゃなんで、勘です、笑。

左身廊の方に、彩色があるみたいですが、正直、あまり品の良い彩色じゃないっていうか、やめてほしいよね。彩色がなかったら、きっともっとかわいいんじゃないかと思いますが、これは、毒々しすぎる。

近隣の教会と似通ったものがあるけれど、でも、目をつぶった人と目を開けた人の柱頭なんかは、オリジナリティもあって、エニグマティックなモチーフで面白いと思います。
何度も言うようでなんだけど、本当にね、こんな山奥でね、誰が彫ったんだろうか。中央で活躍するほどの腕はなさそうだけど、それなりに知識と技術を持った流しの石工が、あちこちで請け負ったんでしょうかね。
どの教会でも、割と数があるし、やるとなったら、結構な時間がかかりそうだから、旅がらすで食べていたのかな。
どうしても、そういう余計なことを考えちゃう、そういう土地です。

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