中世の会では、ガイドツアーに加えて、講演会も行っています。前回は、予定があったので行けなかったのですが、今回はテーマがバルバロッサでもあり、がんばって行ってきました。
講演の前に、30分ほど、中世がらみのビデオ上映会もあるようなのですが、それは特に興味がなかったので、講演会の時間を目指して、それでも一応かなり早めに会場に着きました。郊外の大型書店内にあるコンファレンス・ルームですが、そもそもそんな場所に大型書店があるのにびっくり。そして、扉を開けて、またびっくり。
だって、かなり大きな部屋なんですが、お客さんびっしりだったんです。椅子は見事に埋まっていて、すでに立ち見が数人います。椅子席は、100以上あったと思います。
ビデオが終わったあとらしく、関係者が壇上でしゃべっていました。うわー、立ち見はちょっときついなぁ、どうしようかなぁ、と思いつつも、しばらくたっていたところ、係員の女性が、あそこの隅っこに一つソファがありますから、よろしかったらどうぞ、とささやいてくれました。おお、なんと細やかなサービス!ただなのに!感激して、ありがたく席をゲットです。
すでに講演会の時間が過ぎているのに、まだ壇上の人たちがしゃべっています。どうやら、講演をする大学教授がまだ到着してなかったようでした。10分ほど遅れて到着、早速バルバロッサのお話が始まります。
通称バルバロッサ(赤ひげ)王、神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ1世。一時はとめどなく勢力を拡大しますが、北イタリアのロンバルディア同盟に敗れてから、落ち目となり、最後は聖地に向かう旅の途上、南イタリアで客死します。それでも、当時としては大往生70歳まで生きたすごい人です。皇帝在位が1152年から90年と、まさにロマネスクの時代に生きた人なので、興味があります。
お話は、彼の一生を、当時のドイツ地域の状況とか(ザクセンやババリア公国との関係)、都市国家の成立の話などを絡めたもので、面白かったのですが、でももうちょっと何か切り口を持った、突っ込んだ内容を期待していたので、ふーん、という感じ。
面白かったのは、講演後の質疑応答です。
すでに予定時間を過ぎているし、日本だったら、終わりははしょって、では時間もありませんので、とささっと切り上げると思うんですが、そこはやはりイタリアというか、とってもアバウト。司会者が、時間もないけど、ちょっとだけ質疑応答の時間もとりましょう(先生は、そうね、次の列車に乗ればいいから、とかボソッとつぶやいていました。そもそも自分が遅刻したんだし)、質問ある方!と呼びかけると、ドドドっと手が上がったのでした。ええ~、何を聞くの?そんなに?
で、マイクを持つと、「えっと、質問じゃないんですが、都市国家の成立について、わたしはこう考えているんですよ」などと、いきなり自説を語りだすやつとかいて、うわ~、すげ~、オタクだぁ、と感心しました。そうなんです、おそらくそこに集まっていた多くが、歴史オタク。歴史ファン、ですけど、かなりの比率でオタクがいると思いました。
イタリア人って、オタク傾向、結構強いような気がします。のめりこんではまる。そうでない人は、何も関心がない、みたいな、両極端。はまっている人たちは、本もすごく読んでいるし、こういう催しにもとても熱心に参加するんですね。
いや全く感心しました。
午前中はガイドツアーで、いったん帰宅してランチをして、また出て行ったので、結構疲れていた上に、会場はぽかぽか暖かくて、かなり眠かったのですが、何とかお話は聞けて、質疑応答で面白くて目が覚めました。次回のテーマはマルコ・ポーロ。歴史オタク観察に、また行ってしまいそうです。
Author:Notaromanica
ミラノ在住で、ロマネスクが大好きで、主にイタリア、フランス、スペインを回っています。