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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ローマ中世、その12、サンタ・マリア・イン・コスメディン

アヴェンティーノの丘を一気に降りて、テヴェレ側沿いの道に下りてきました。目指すは、オープン直後の、サンタ・マリア・イン・コスメディン教会。たどりついたときはまだオープン前で、日本人らしき団体が、列を作っていました。それを横目で見ながら、教会の前にある古い神殿のある公園で一服。朝も早よからすでに観光して来ているので、妙な充実感を感じつつ。
何で、列かというと、ここは、あれですよ!「ローマの休日」で一躍有名になった真実の口のある教会ですよ!みんな、教会じゃなくて、真実の口に手を突っ込んだ写真が撮りたくて来ているわけです!
でもね、ここ、すごくいい教会なんですよ。
まずは、この美しい鐘楼。典型的なローマのロマネスク鐘楼ですが、ここのは背が高くてほっそりしていて、大変優美なんですよ。


まぁ、北のものに比べると、装飾過多って感じもあり、やっぱり本質的にはあまり好きではないんですが。でもここのは、確かにきれいでした、佇まいが。
建物は、今では、他の建物に取り囲まれちゃって、全容は分からない状態になっていますが、古いバジリカ式。雰囲気はかなりいいのですが、入り口付近に固まっている真実の口目当ての観光客で、正直せっかくの雰囲気が台無しです。
中は、小さいですが三つに分かれた身廊で、中央身廊から内陣部分は、囲われている古い形式。


この形式だと、後陣に近づけないし、すごい迷惑なんですが、でもこの囲いの部分に、わたしの大好きな古い時代の浮き彫りが施された大理石版が使われていることが多かったりするので、ううん、良し悪し。難しいところです。
この教会では、コスマーティのモザイクが使われていました。細かい模様がとても美しいです。床もコスマーティで、古さが感じられる渋いものでした。




後陣。遠くて、写真撮るのも大変。その上、照明設備がなくて、暗いのでした。残念!ここのフレスコ画が、きっと最も古い時代のものと思うんですけどねぇ。でも遠さと暗さで、全く分かりませんでした。
さらに、すごーくがっかりしたのが、8世紀の黄金のモザイク。どっかにあるはず、と狭い本堂を探しまくって、分からずに教会守の人に尋ねたら、そこ入ったらあるから、といわれ、入ったのがお土産屋。あのぉ、エピファニアのモザイクがあるということなんですけど…、と恐る恐る店の人に尋ねたら、あ、あれ、と指差されたのは、ごちゃごちゃと安っぽいお土産が積まれたテーブルの上にかかっているモザイクの切れ端。


どう見ても、まがい物にしか見えないわけです。こんな扱いないでしょ?すごくきれいなんですよ、でも、哀しい。土産物屋の壁飾り…。
ま、気を取り直して。
そしたら、なんと!そういう嫌な気持ちを吹っ飛ばす、かわいらしいわたし好みの物に出会えましたぁ!


いや~ん、かわいくないですか?!
もひとつ、えいっ!


写真の感じから、大体分かっちゃうかと思いますが、どこにあるものだと思いますか?多分、ここに来る観光客の、90%くらい、もしかして98%くらいは、気付きもしないでだろうな。っていうか、どうでもいいだろうし。でも、これ見つけたわたしははしゃいじゃいました。といっても一人で叫ぶわけにも行かないので、ニマニマしつつ、心の中で快哉を叫んでいたわけです。見つけた~!みたいな。
ふふふ。完全に病気です。
ということで、真実の口は、一切気にもせず、みることすらなく、この教会を後にしました。ローマを観光される皆さん、せっかくここまで訪れたら、真実の口で写真を撮るついででもいいので、教会もめでてくださいね。
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  1. 2010/01/28(木) 06:29:22|
  2. ローマの中世
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

No title

これはあれか。ミサとかの時でないと中まで入れないって訳かいヤダァ(゚д゚ )ネェ
ローマのロマネスクではここが一番落ち着きがありますね。モザイクとかコスマーティ等装飾としては他に見るべきはあるけれど。

corsaさん病状が進んでますよ。でもここのマンホールの蓋を見に来る観光客だってあまりたいした事はいえないよねぇ(´▽`);
  1. 2010/01/28(木) 01:51:00 |
  2. URL |
  3. クリス #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

私は、ここの前に行ったけど、見たかったのは、古代の神殿だったので、この教会には入らなかったんですよね。Corsaさんは、古代には興味なしですか。
このモザイクの扱われ方、ほんと、気になりますね。
  1. 2010/01/28(木) 15:24:00 |
  2. URL |
  3. ゆきーな #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

クリスさん
確かにかなり病状が…。でもかわいいでしょ、このレリーフ。ちょっと怪しいフォルムが、いかにも、で。
  1. 2010/01/28(木) 22:13:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

ゆきーなさん
古代も好きですけど、散々見たっていうのがありまして、今回の旅では、ひたすら中世を追っかけたんです。でも、この前の神殿、教会オープン前に、のんびりと眺めてました。かわいいですよね。
ローマにいると、古代は、黙っていてもよってくるというか、多くの教会の地下はローマ時代なので、中世まっしぐらといっても、結局、結構見てきたんですよ。
モザイク、許せないでしょ。なんでしょうね。教会関係者は何を考えているんでしょうね。
  1. 2010/01/28(木) 22:17:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

昔々に訪れたことがあります。
モザイクの切れ端、いいですね。普通「公現」にはこういった大天使ミカエル(怪物を退治する槍)が傍に控える情景描写はないのですが、珍しいですね。ずっと後の時代に誰かが描いたものの一部かもしれませんね。
スペインでは、「Italo-Bizantino」様式が10世紀の終わり頃から、カタルーニャ初期~盛期ロマネスク壁画に大きな影響を与えました。
文字通りこの絵のように、特徴的な青と緑色が荘厳な精神性を与えました。
  1. 2010/01/29(金) 11:19:00 |
  2. URL |
  3. 勝峰 昭 #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

先生~、そうですか。いらっしゃたんですね、真実の口のこの教会まで。わたしなど、お土産屋に飾られているという事実だけで、許せん、とか言って、引いてしまうのに、もぉ、しっかり細かくチェックいただいて、ありがとうございます。勉強します。引いている場合じゃないです。
こうなると、現地で、展示法に憤ってしまって、細部まで観察できなかったのが、痛恨です。
  1. 2010/01/30(土) 00:05:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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