恒例の木曜アートの日、再開です。
第一弾は、ずっと楽しみにしていた草間弥生さんの展覧会です。Giardini Pubbliciという市立公園のすぐ脇にあるPACという、こじんまりとしてとてもかわいらしい現代アート専門の美術館。小さいながらも、雰囲気がよくて、とても好きな美術館です。以前は、勤務する会社がすぐ側にあったので、よく行ったものですが、今は会社がすっかり遠くなってしまって、この場所そのものに近づくこともめったになくなってしまいました。
草間弥生さんは、実はイタリアで知りました。初めてベネチアのビエンナーレに行ったときに、日本館でみたのが、最初の出会いだったと思います。今日展覧会で、草間さんが日本代表になったのは1993年とありましたので、まさにそのとき。作品の具体的な形などは覚えていないのですが、ピンクと白の水玉とかとにかく強烈な水玉の作品が出ていたように思います。布モノだったかも。それで、彼女の存在が一気に刻印されたんです。
でもそれ以来、特に目にすることもなく今日にいたり、ミラノで初めての展覧会が、久しぶりの邂逅となりました。
よいです。本当によいですねぇ。
会場が狭いので、作品は、十点にも満たないのですが、インパクト、プレゼンス、とにかく強烈で、そのくらいの量でちょうどよろしいという感じです。どれもこれも面白い。そして、多くの作品が、つい最近作られたものであるという事実に、また驚かされます。芸術家のパワーというものはすごいもんですね。今お幾つか知りませんが、かなりのお年と思われます。それにして、このエネルギー。脱帽です。
これは、有名なかぼちゃさん。大小二つ。とてもきれいなんです。おお~きなお家に住んでたら、一個置いてみたいものです。実際、小の方は、個人蔵ですよ。うらやましいなぁ。
かわいらしいと同時に、本当に美しくて、完璧なフォルム。色彩。これ、今ビエンナーレに置いても、決して古くないし、ちょっといいですよね。
そして、これ。これは美しかったですね~。
人があまり来ない夜の時間に行って、よかった。というか、この美術館は、いつも人が少ないので、こういう展示にはぴったりかな。日本じゃ、こういうのを見るのは大変だと思います。
3メートル四方くらいの建物になっていて、内面が、壁も天井もガラス張り。床部分は、真ん中の足場以外水が張ってあります。そして、天井から下げられた無数の小さなLEDの灯りが、点滅したり、波のように強弱が変化したりすると、その建物内すべてにその灯りが写って、限りなく増殖するんです。せいぜい3メートル四方の部屋が、無限大に広がります。浮遊感。
誰も来ないので、一人で思いっきり堪能しました。これまたすばらしいことですよね。ここは、一人で浮遊したい空間です。
その外、美術館の外壁も、白地に赤の水玉になっていたり、最近の作品、食肉植物のような毒々しい、でも彼女にかかるととてもかわいらしい作品なんですけど、そういう花が二つ、外に置かれていました。太っ腹。ただですよ、そこの鑑賞は。
すごい人です。なんか、本当に水玉が見えちゃったそうですよね。昔、自閉症の人の書いた本を読んだとき、小さいとき、自分の周りにはいつも水玉が飛んでいたという記述がありましたから、実際、そういう病気だったりするのかもしれませんけど。でもそれを表せるのがゲージツでしょうし。
堪能です。のっけからこういうのみちゃうと、あと、困るな~。2月に、彼女の映画の上映会があるようなので、無料だし、行ってしまうかもしれません。かぼちゃ、何度見ても好きだと思うし。
ところで、面白かったのが、チケット。
イタリアでは、入場料は、正規料金と、割引料金が必ずあり、割引は、いろんなタイプのもので受けられます。たとえばわたしは、市内交通の年間定期券所有者のクラブ・カードと、大手書店のメンバーズ・クラブ・カードで、ときどき割引を利用することが出来ます。その外、コープのメンバーとか、ツーリング・クラブとか、協賛企業の社員とか、実にいろいろあって、チケット売り場には、細かく記述されています。
で、今日も、チケットを買う前に、その記述を見たのですが、残念ながら割引適用はなさそう。では、チケット一枚、と頼むと、「何かないの?何かのメンバーじゃないの?」いえ、あの、市内交通の定期券とぉ、書店のカードと…。「あ、いいや、それで。じゃ。割引一枚ね。」
え?いいの?「いいよ、いいよ。じゃ、4ユーロね。」と、別にこっちがお願いしたわけでもないのに、なんか割引適用。イタリアらしいですね。って言うか、変。
正規は6ユーロですが、満足度を考えると、それでも安いくらいなのに、4ユーロで、もっと嬉しいのでした。
こんな些細なことで、アートの日、ますます気合が入りそうです。
とにかく草間弥生、面白いので、ミラノ在の方、是非行ってみてください。2月一杯やってます。PACです。
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- 2010/01/29(金) 06:11:14|
- アートの旅
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| コメント:2
彌生ちゃんの展覧会がミラノで開催されているんですか、いいなぁ。
ハラミュージアムアークで鏡ばりの中に黄色のドットかぼちゃがいっぱいっていうのは見たんだけど…。
鎌倉の近代美術館でやってた内藤礼の展覧会もボワーっとした優しい明かりを使っていて、幻想的でした。
彌生ちゃんの作品、どんな感じなのか興味深々です。日本でもやってくれないかしら…。
- 2010/01/29(金) 05:00:00 |
- URL |
- さちぞう #79D/WHSg
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弥生ちゃんなのかな。かわいいですよぉ、とにかく。確かに弥生ちゃん、かも。漢字、新しいのしか変換しないでスミマセン、さっちゃん。
結構ねぇ、ただのキャンバスの絵、なんかも気に入っちゃって。なんていうか、こう、わたしはこれだから!という決めの感じがいいんですねぇ。なんていうか、一昔前の時代を生きた人々の現代ゲージツって、それだけでわたしは感ずるところがあったりするわけです。一昔?いや、もちょっと前だろう、さすがに。
- 2010/01/30(土) 00:09:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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