アッシジ、ペルージャと、すでによく知っている土地を離れて、初めて、全く未知の土地です。朝早くにアッシジを出たので、街に着いたのは、早朝といってもよい時間帯。前日、ガイドブックを見て、駅前のホテルを予約しておいたところ、バスが止まった駅前からなんと徒歩30秒のまさに駅前ホテルでした。それがさえないのなんのって(そのわりに安くなかったし)。
なんとなく憮然としつつ、かばんを置いて、早速町に出ます。
ここに泊まるのは、この町が目当てというよりも、周辺に訪れたい土地がいくつかあるため、拠点としてなのです。とは言え、ここにも見るべき場所が二つばかりあります。
まずはこちら、サンタ・マリア・インフラポルタス教会。町の西側の端っこにあります。
教会前は小さな広場になっていますが、教会は、なんか忘れ去られた存在になりつつあるような、ちょっとほったらかされ状態で、荒廃進んでいるというか、近づくにつれ、全体の寂れた空気が漂ってきました。向かって左側は工事していたものの、でもファサードは結構美しく修復されているし、ナルテックスになっているファサード下部を支えている円柱に乗っけられた柱頭も、お掃除されているし、かわいらしいです。
全体アッシジと同じ石を使っているのか、ピンクと白のしましまで、柔らかい雰囲気です。でもポルタイユが、ぼろぼろで、そして完全クローズされてはや何十年立つのかな、という雰囲気の壊れ方で、多分それがとっても荒廃ムードをかもし出しているのです。
ドアの隙間から、ちらりとでも中の様子が見えないかな、とおもって、いろいろ試していたら、通りがかりの地元の人が「そこは閉まっているよ!」分かってます…。「開けてもらえる可能性はないんでしょうかね?」「もうずっとしまっているし、中はごちゃごちゃのはずで、多分無理でしょう。それより、あっちにあいている、もっときれいな新しい教会があるから、それを見に行ったらいいじゃないか!」う、う~ん。親切で言ってくれているのは、分かるのですが、答えようがありません。
これって、でもわりと言われることかも。”(そんな壊れて古臭いものより)もっときれいで新しい教会”。多分それって、そのロマネスク教会が、大切にされていないってことかもしれません。大切にされている場合は、地元の人たちは自慢しますもんね。それがこの荒廃ムードをかもし出しているのかなぁ。
現在進行中の工事や、入れない内部は、おそらく10年前の地震の名残。アッシジのサン・フランチェスコはあっという間に修復されましたけど、実は、地震後10年たっても、まだまだ後遺症に悩んでいる土地はたくさんあるのですよね。知名度がないのもあるし、多分集まった寄付金が他に使われたりとかの不正もあるだろうし。実際、この町は、あちこち普請中の建物が多くて、全体に埃っぽくて、どうもそれも、町の印象を今ひとつ悪くしていた気がします。
そしてカテドラル。
こちらは町の中心にありますが、この周りも工事中多し。ただ、Duomoを眺められる好位置にあるバールは気に入りました。いつまででものんびり座ってられるし(なかなか注文取りに来ない)、その上さすが田舎、安い!朝も晩も結構な時間を過ごしました。
特に夜は圧巻でした。
9月の最終週に、クライマックスを迎えるクインターナという祭りがあります。そのクライマックス(日本で言うところの流鏑馬みたいな競技が地区対抗で行われる)に向けて、毎晩のように何かイベントがあるという時期でした。夕食を済ませて、このお気に入りのバールに一杯飲みに行って、ライトアップされたDuomoを眺めたり、行きかう地元の人々を眺めていると、突然に太鼓の演奏が始まりました。どうやら本番に向けてのプローバの日だったらしいのです。7,8人が、普段着なのは残念でしたが、かわいらしい肩下げの太鼓を思いっきり演奏。背の高い建物に囲まれた場所ですから、すごい音響効果で、身体にぶるぶるときます。すごく感動しました。ホテルに帰る道でも、今度は多分違う地区の太鼓部隊がまたどこどこやっています。あっちでもこっちでもどこどこやっていて、そのたびにどうしても立ち止まって聞いてしまうので、帰るのにえらい時間がかかりました。
それにしても、不思議だったのは、町の人々の反応、というか、無反応。演奏が終わっても、すーと何事もなかったようにそれまでの会話に帰るみたいな反応で、拍手なし、声援なし。思わず立ち上がって拍手と身体が反射しそうだったわたしは、そのシーンとした空気を感じてしまって、え?いけないの?と固まってしまいました。道端では、思わず拍手してブラーボと声援を送ってしまったのですが、他の人々はシーン、奇異な目で見られている気がしました。演奏者の方も、一人ぐらいはもごもごとありがとうみたいなことを言ってたかもしれませんが、なんか無視。何じゃこいつ?ってムードがあふれてしまいました。
太鼓演奏のおかげで、フォリーニョもいい町じゃん、とわたし内部の評価がやっと少し上がったのですが、この異常な無反応で、フォリーニョの人は変、と強く思わされ、上がった以上にググっと下がりました。フォリーニョ人、どうして反応しないのか?理由を聞いてみたい。そりゃ、いくら毎年同じ光景同じ太鼓かもしれないけれど、パーカッションの怒涛のような演奏って、本能的に身体に来ると思うんですけどね~。
ああ、ロマネスクに全く触れてないですね。
ま、フォリーニョはそういう町だということです。
このあと近郊に出かけますが、いい人にも会いましたよ。あ、でも彼はモンテファルコの人だといってたな。やっぱりフォリーニョはだめか?いや、悪いわけじゃないけど、無反応はなぁ…。
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- 2008/10/09(木) 05:15:57|
- ウンブリア・ロマネスク
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| コメント:5
ロマネスクじゃなくてもいいんです。どこにでもある変哲もない町角で、一人思索にふけるというのがいいじゃないですか。凄いものに共鳴しちゃったら、corsaさんじゃなくとも浮いてしまいそうです。
それにしても解せないなあ。関西人の私には許せまへんわ。ずっと昔、カンポ広場で周囲の幾人もからどやされたり抱きつかれたりしたパーリオの乗りは、シエナの人だけのものなんでしょうか。
- 2008/10/09(木) 14:30:00 |
- URL |
- otebox #79D/WHSg
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あ、シエナのパリオの熱狂は、はっきり言って異常です。あの町には1年ちょっと滞在して、私自身、パリオにはかなり毒されました。
でもフォリーニョの無関心は、これまた異常な気がします。関東人のわたしにしても、あののりの悪さ、というよりノリのなさは解せません。
- 2008/10/09(木) 22:06:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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シャイなんだろうね。フォリーニョは時間の関係で素通りしちゃったけれど、そんなに悪い印象はないよ。明日から行ってきます~。メールありがとう!
- 2008/10/14(火) 01:59:00 |
- URL |
- クリス #79D/WHSg
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そういえば昔、モンテファルコのコンベントに泊まったことがあります。シングル男性は泊まれなかったのですが、フォリーニョのユースで知り合ったイタリア人カップルに便乗させてもらって、オマケで滞在できました。懐かしい思い出です。
- 2010/07/27(火) 12:50:00 |
- URL |
- たかし #79D/WHSg
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モンテファルコは、このとき素通り。コンベントに泊まるって、イタリアらしいですよね。わたしも、宿がなくて、修道院とか教会のやっている宿泊所には、結構お世話になったことがあります。懐かしいな。
- 2010/07/27(火) 20:56:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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