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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

エトルリア遺跡、マルツァボットその4

マルツァボットに戻ります。
遺跡のハイライト二つ。アクロポリスとネクロポリス。
アクロポリスは、高いところ、という意味なんだそうですね。初めて知りました。文字通り、このマルツァボットで最も高い位置にありますけれど、そういう物理的な高さにくわえて、神殿の置かれる至高の場所ということでもあるのでしょう。


4,5の様々な神殿がひしめいて建てられていたようですが(多分奉納先が違うとかそういうこと)、ここもまた、町同様に、基礎の石組みしか残っていません。残念ですが、神殿も家屋と同じで、柱は木製だったのだそうです。ギリシャから、石積みの柱を立てる技術が、なぜ来なかったんですかねぇ。生活用品とか美術品などモノの交流は盛んでも、人の交流は、あまりなかったということなのでしょうか。
または、材木が豊富だったとか、そういう理由があるのでしょうか。

ちなみに、今はアクロポリス全体、残っている土台を覆わんばかりに樹木が繁茂して森になってしまっていますが、神殿が実際に建っていた当時は、木などなくて、はるか遠くからも神殿を見ることが出来たようです。シチリア、アグリジェントの神殿の谷を想像すれば近いのかもしれません。
そういうヴィジョンを作ることで、侵略者への抑止力にもなっていたとか。


これは今回のガイドさん。本物の考古学者です。

ここへのアクセスはユニークでした。


もともと、町との間が谷になっていたようなのですが、今はその谷の部分が道路になっています。で、アクセスのために、このような陸橋がかけられています。結構深い谷ですよ。そして、この橋で途中の高さからアクセスするのに、アクロポリスへの道はかなりの急坂です。
当時、町からアクロポリスへ行くのは、近いとは言え大変だったのでは。
そしてこれだけの高低差ですから、町から見ると、まさにアテネのアクロポリスのような感じで(規模はすごく小さいとは言え)、気高い雰囲気を発していたのでしょうねぇ。

さて、今度はこのアクロポリスと町を挟んで反対側にあるネクロポリス、死者の町、つまり墓場に向かいます。


ガイドさんは、重要なのはアクロポリスで、ネクロポリスははしょってもいいんだけど、とおっしゃっていたのですが、ぱっと見た目、素人には、こっちの方がインパクトがあります。
といっても、これ、オリジナルがこうなっていたわけじゃないらしいです。
四角いのが石棺なんですけど、掘り起こされて、実は適当に並べられているので、多分オリジナルは、上に載っている丸石が見えるだけで、それ以外は何もないはずなんです。



1800年代に発掘が行われて、当時の美的感覚で、かっこいいとか美しいとか思われるような秩序で、並べられたものとか。なんかわかるような感じもしますね。廃墟を人工的に作り出すイギリス式庭園のような発想です、多分。
でも、確かになんかかっこいいんですよね。考古学者は、けっ、って感じらしいですけど。

石棺の上に置かれている卵上のものは、墓の印。やはり再生とかそういう意味があるのでしょうね。
この風景を見たとき、真っ先に思い出したのが、ダリの卵の家。フィゲーラスの劇場美術館にも大きな卵が載っているし、ポールリガの家にも同じような印象的な卵がありますね。あ、こういうところからアイディアを得たんだな~、と。

マルツァボット、以上です。
エトルリアにかなり興味が湧いてきたので、今後も機会があれば、遺跡めぐりしてみたいと思います。

なお、あとから思い出しながら書いたメモを頼りに書いていますんで、思い違いとか間違った理解もあるかもしれません。何か変なことがあったら、ご指摘いただければ幸い!
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  1. 2010/05/26(水) 05:22:45|
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コメント

No title

はじめまして。CORSAさん。ランダムブログでおじゃましました。
イタリアにお住まいなんですね!羨ましい。さっとみたところ、気になる建造物があったのでコメントさせて頂くことにしました。マルツァボットの至聖所跡!!同じようなものが、日本の四国、徳島県の山の中にあるんですよ!私は、古代史研究等もしてるんですが、ペトログラフなんかにも興味があります。アクロポリス。不思議な場所ですね。Gnocco fritto。これは日本人にウケそうなお菓子ですね。基本的にイタリア料理は日本人は大好きですから・・。また遊びによさせて頂いていいですか?時間があれば、私のところにも遊びにいらしてくださいね!ありがとうございました。
  1. 2010/08/08(日) 00:57:00 |
  2. URL |
  3. ピコさん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

イコピコのひとりごとさん
訪問ありがとうございます。
古代史研究をされているのですね。ブログ、今後の記事に期待します!四国は、巡礼の土地でもあり、神様がたくさんいらっしゃるようで、興味あるのですが、行ったことないんですよねぇ。
わたしは中世なので、古代史的に興味のある記事はなかなかかけないと思いますが、良かったらまた遊びにいらしてくださいね。
  1. 2010/08/08(日) 20:56:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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