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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ウンブリアその4-Sassovivoサッソヴィーヴォ修道院

ここは珍道中な旅でした(日本語あってるのかな)。今思い出しても、くくくっと笑ってしまいます。
前日に、フォリーニョの観光案内所で、「途中までバスで行き、そのあと、かなり厳しい坂道は徒歩で行くしかない、でもせいぜい20分くらいの道」だということでした。20分程度なら、普段ジョギングで鍛えていることだし、問題ない!と、翌日早起きして、フォリーニョ駅でバスのチケットを購入しました。
時間がちょっと早かったので、駅前でうろうろしていると、バスの運転手が寄り集まってタバコをふかしながら、おしゃべりしています。念の為と思い、「修道院に行きたいんだけど」と尋ねると、「ああ、それなら、○○番に乗って、分かれ道のところで下ろしてもらって、あとは歩くしかないよ。詳しくは乗ったバスの運転手に聞くといいよ」、と観光案内所と同じ情報だったので、安心して、バスの来るのを待ちました。
しばらくして、○○番のバスが来たので乗り込もうとすると「おお、君だね!」え?こんなところに知り合い?何?と戸惑った顔で運ちゃんを見ると、ニコニコして、「さっき同僚から聞いたよ。修道院に行きたいんでしょう。」あらあら、フォリーニョ、親切でフレンドリーな人もいるじゃん!と朝からうれしくなりました。
郊外に出てしばらく行ってから、「さ、ここでおりて、あとはこの道をどうとかこうとか…」と、他に乗客がいないせいもあるのか、とても熱心に説明してくれます。でもわたしは、どうも根が方向音痴のせいか、道順を外国語で聞いて理解するのが、実はとても苦手なのです。正直イタリア語はかなり堪能の部類に入ると思うのですが(十数年もいれば当然、という程度のレベルですが)、道順は、聞く片端から頭の中で日本語に翻訳しないと、頭に入らないのです。これは数字も同じで、何か脳のどっかがちゃんと反応してないんだと思うんです。
それはともかく、そのときは、運ちゃんが説明してくれながら、ちょっと余計なおしゃべりもして、だから即翻訳ができず、聞いている端から、あ、多分これは分かってない、と自覚しつつも、何度も確かめるのも失礼だったので、半端に分かった時点で別れました(でもなんか、ウンブリアのなまりもあるみたいで、道順以外でも、相手の話していることがよく分からないことは、このあとも各地で起こりました)。
さて、いざハイキングです。
お天気は上々、まだ朝早いので、空気もさわやか。とりあえずはまっすぐだよね、とるんるんと歩きます。歩きます。ん?途中で川があって、橋みたいのがあるところを道なりに左折して、とか言ってなかった(自信ないけど、確か…)?あ、ここ、それらしい…。と左折します。急坂。入り口にマリア像があるし、いかにもそれらしい!それもかなりの激しさ。確かに観光案内所の人が行ってた通りだ!と確信に満ちて歩きます。
しかし、急坂が終わると、緩やかなのぼり坂の普通の道になり、前方に村が。これは聞いてないなぁ…。道端で、何か作業をしているオヤジがいたので、確認。「修道院?歩いていくって?そりゃ無理だよ、こっからじゃ5キロくらいあるよ!」「は?5キロ?」
がーん、大げさですけど、一瞬目の前真っ暗という感じでした。だって観光案内所の人は、バス降りてから20分って言ってたんだよ、5キロなんて聞いてたら来ないよ!と見も知らぬオヤジに訴えるわたし。オヤジもまた親切にうん、うん、と聞いてくれます。5分もそんな会話をしていたでしょうか。向こうからプップーと軽快なクラクションとともにバスがやってきました。さっきの運ちゃんが、運転席から笑顔でわたしを見て、「やっぱり間違えてる~、わはは」(わたしの方向音痴、なぜかばればれ)と楽しそうに笑いながら、バスを停めました。
彼は、わたしを下ろしたあとで、少し先の村まで行って、そこから折り返し運転してフォリーニョに戻るところだったのです。お客さんも乗っているというのに、バスを停めたままで、オヤジとああでもないこうでもないと修道院への最短の道を協議して、最終的に、こうしていきなさい、と親切な指示をくれて、じゃあねぇ、と去っていきました。
オヤジがもう一度説明してくれて、今度はすぐに翻訳したので、かなり明確になりました。では行きます!帰りもこの村、Uppelloまで戻って、そこでバスに乗ります!ということで別れました。
そこから村の中心を通り抜けて、言われたように国道に出て、あとは上り坂をひたすら歩くのみです。5キロはないことを祈りながら。だんだん日差しも強くなり、汗が吹き出てきます。たまに車が通り抜けていきますが、本当にたまにで、歩く人など、勿論誰もいない道です。つい、乗せてくれよ~、せめて止まれよ~とか、逆恨み状態。両側とも緑でいっぱいのがらがらの道は、ドライブには最適ですが、歩くのは、ちょっと、辛い。

(こんな道が延々と続きます。)

いい加減歩いて、坂道もきつくなる一方だし、ああ、どうしよう、と思ったあたりで、折りよく向こうから犬の散歩の人が歩いてきました。正直、こんな田舎の何もない国道を、東洋人の女が一人で汗だくになってゼエゼエしながら歩いている光景というのは、かなり異様だと思うのですが、さすが無反応無感動のフォリーニョ地域の人だけあって(フォリーニョの項参照のこと)、道を尋ねても平然としています。それでも、もう少しだからがんばれ、と言ってくれたのは、やはりわたしの姿が相当見苦しかったのではなかろうか。
彼の言うとおり、そこからはほんのちょっとの距離でした。緑の合間に、ちらりと修道院の姿が見えて、ああ、うれしい、と感無量。



今も修復工事をしていましたが、この修道院で最も重要とされている回廊は、おそらくつい最近工事が終わったばかりのようで、白く輝いていました。ほっそりとした二連の小さい柱がずらりと並び、庭側には、モザイクがはめ込まれていたりとても装飾的で美しいキオストロです。



付属の教会はとても小さいものですが、今修復している修道院の居住部分は結構立派な大きさなので、それなりに多くの修道士が暮らしていたのかと思われます。
あの工事、もしかしたらホテルにでも改装する工事だったかもしれません。

疲れましたが、開いててよかった!そして回廊の工事が終わっていてよかった!ついてます。道は思いっきり間違えましたが、おかげでUppelloなんて、おそらく一生行くこともない村にも出会えたことだし。
帰りはのんびりと歩いて、そのUppelloに戻りました。バス停のある村唯一の広場には、じいさんたちが集まって、ひっそりとおしゃべりしています。わたしも一角に座って、スケッチをしていました。そしてバスが来て、そして例の運ちゃんが元気いっぱい降りてきて、お、修道院はどうだった?と二度目の再会で、もうお友達のような感覚で楽しくおしゃべりしながら、フォリーニョに戻りましたとさ。
めでたしめでたし。
(ロマネスクの薀蓄は、HPに譲ることに決めました。いつまとめられるかは分かりませんが…。)
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  1. 2008/10/21(火) 05:25:34|
  2. ウンブリア・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

すご~い遠足じゃありませんかw
これでは、ウンブリアの人たちを悪くは言えませんね~
でも、ホテルになるとしたら驚きだな。

綺麗な回廊ですね。
  1. 2008/10/27(月) 01:28:00 |
  2. URL |
  3. クリス #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

クリスさん
お帰りなさい!
遠足って言うか、ただ歩いてきましたって感じで。
ホテルね、サン・ピエトロ・イン・ヴァレみたいな、スペインのパラドール系って感じもしますよ。最近はやりだし。2,3年後、危ないですよ。
  1. 2008/10/27(月) 22:41:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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