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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

プーリア・ロマネスク、その21

バーリ4
カテドラルの内部。
ここも、ほとんどロマネスクの名残が感じられない状態。でも、サン・ニコラよりは、オリジナルの構造がそのまま残っているんでしょうね。


右脇にある説教壇。


多分これは修復の賜物で、オリジナルのレリーフは相当部分が失われています。そして、内部にあるディテールで、ロマネスクの名残を残しているのは、その、失われなかったわずかな部分です。
それから、内陣前にある大理石レリーフ。これは、なんともわたし好みの古いものでした。



カテドラルもサン・ニコラ同様にクリプタがあり、通常のミサはそちらで行われているようですが、残念ながら、こちらのクリプタは、バロック時代のもので、ロマネスク派は、目をそむけるしかないような代物です。
でも!
カテドラルには、実は、さらに地下があるんです。
これは、最初に訪れたときはクローズ。朝9時から12時までしかオープンしていないような表示だったので、見ることは出来そうもない。残念だけど、仕方ないな、と思っていました。
それが、たまたま出発前の時間に訪れたとき、開いていたのです。

ここはすごいです。ここは、絶対に訪れるべき、と書いていないガイドブックを恨むような、そういう驚きの場所でした。
初期キリスト教時代の遺構が満載。


すばらしい床モザイク。


イタリアは、各地にすばらしいものがたくさんありますけど、これだけのものをもっている場所は、そうあるものではありません。でも、ここはすごい、って言う紹介は、ないんですよね。おそらく、かなり最近、修復を終えて、すばらしい遺構を簡単に鑑賞できるようになった施設と思うのですが、もっともっと、宣伝してよ~、と思いました。すばらしいです。でもあいているのは、午前中だけ。それも、一体そこに何があるのかは、全然説明がないんですよぉ。実際に、訪れて見ないことにはすばらしさが分からない。ああああ。すごくイタリアです。こういうの。間違ってます。

これが今回の旅の、本当に最後だったというのもあると思うし、暑かった中でよく歩いたし、このカテドラルでも、最初は見られなかったのに、最後の最後にたまたま、それも通常のオープン時間とは違っていたのにみられたとか、なんか思うところはいろいろあったんだと思うんですけど、この、すばらしい初期キリスト教時代のクリプタに、一人たたずんで、涙が出てきちゃったんです。


素朴な石積み。その下で一人、じっとそういう千年の時代に囲まれちゃった重み?なんか、自分でも信じられないくらいに、感情が高まって、ぶわ~っと。こんなのははじめての経験で、もしかして、何かいたのかもしれないですよねぇ。
自分でもどう対応していいのか分からないので、泣いていることを悟られないように、出口にある簡易お土産屋で、しっかりガイド本を買ったりしてごまかしましたが、本堂の説教壇の脇で、しばし、涙に暮れました。すごく気持ちよかったです。

というわけで、バーリにいかれて、そしてカテドラルに行かれる皆様には、ぜひとも、この地下の古い時代の遺構を鑑賞なされることをお願い申し上げます。っていうか、みてほしい~。
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  1. 2010/07/18(日) 05:40:37|
  2. プーリア・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:11
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コメント

No title

モザイクいいですね。なんで午前中しかだめなんだろう?
  1. 2010/07/17(土) 23:20:00 |
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  3. クリス #79D/WHSg
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No title

こんな風に執拗に追い求めるのが求道者なのですね。もっと早くに教えておいていただけばと悔いが残ります。
バーリで夜行列車を降りたら土砂降り。レンタカーを借りてさっさと町を脱出。その後レッチェに行くとバロックとローマ遺跡の山盛りで、ぼくはすっかり町見物の気力まで萎えてしまったのでした。
もっともこのときはロマネスクの何たるかも皆目分かってはおりませなんだ…また行けばいいんですね。
  1. 2010/07/18(日) 03:17:00 |
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  3. otebox #79D/WHSg
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No title

うわぁ、涙がでるほどの感動って。
私も、この地下は見た記憶がないです。前は、入れなかったんでしょうかね。次回行くときは、要チェックですね。
  1. 2010/07/18(日) 10:55:00 |
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  3. ゆきーな #79D/WHSg
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No title

クリスさん
ね、モザイク、すばらしいでしょう。午前中と、あと、Crociera(クルーズ)の人のためには開くようです。バーリは場所柄、きっとクルーズが立ち寄るんでしょうけど、そんなに観光資源ないですしね。わたしが行ったときは、午後だったんで、わたしの前に、もしかしたらクルーズの団体さんが来ていたのかもしれません。つくづくラッキーでした。
  1. 2010/07/18(日) 20:30:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

otebox さん
車の旅って、どうしても目的的になりますよね。自分の足だと、寄り道がしやすいところはあるかも。レッチェは萎えますよ。ロマネスクも何も関係なかった昔でも、なえてましたもん、わたし。
バーリそのものは特にお勧めするものではないのですが、でも、昔と違って治安も良いし、田舎の都会(?)としては、決して嫌いではなかったです。とは言え、レンタカーの旅だったら、わたしもパスしてます。
求道者って。しつこいだけですね。
  1. 2010/07/18(日) 20:34:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

ゆきーなさん
ここの佇まいそのものだけに感動したわけではないんですけれど、でも、このクリプタは、うわモノからは想像もしていなかったんで、うれしかったのは確か。ただ、本当につかれきっていたので、なんか身も心も上ずっているような状態でしたからねぇ。ちょっとしたことで、ぶるぶる来ちゃう状態だったんでしょうね。
もし行かれることがあれば、冷静に見学してきて、また報告お願いしますね~。
  1. 2010/07/18(日) 20:37:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

すばらしいモザイクですね。私も機会があったらぜひいってみたいです。ガイドブックも客観的なようで、主観的なので、なかなか難しいですよね。なので、いつも2冊読んでますが、日本人向けと欧州人むけで内容が結構違うのが興味深いです。
  1. 2010/07/21(水) 22:02:00 |
  2. URL |
  3. Londoncomcom1 #79D/WHSg
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No title

Londoncomcom1さん
そうですよね、ガイドブックって、それぞれ。イタリアに関しては、ツーリングクラブの緑本を愛用していますが、ロマネスクの細かいことになると、やはり出ていないところもあったりして、絶対じゃないんですよね。本当の情報は、結局地元にしかありません。
それでも、こちらのガイドブックは、日本よりは充実していると思いますが、いかがですか。
  1. 2010/07/22(木) 21:32:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

「日本よりは充実していると」との心ですが、欧州発行の欧州のガイドブックは、日本の欧州に関するガイドブックより充実ししている?それとも、欧州発行の地元(欧州)に関するガイドブックは、日本発行の地元(日本)に関するガイドブックより充実している?という意味のどちらでしょうか?すいません。。。細かくて。。。
  1. 2010/07/23(金) 01:23:00 |
  2. URL |
  3. Londoncomcom1 #79D/WHSg
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No title

Londoncomcom1さん
いえいえ。
欧州発行の欧州に関するガイドブック、ということです。日本のガイドブックは、写真とか見た目重視のムック系が多くて、文字情報が少ない気がします。行き方とかホテルやレストラン情報をなるべく多く掲載する実用型(ロンリープラネット系)、またはひたすら歴史や美術など観光に役立つ情報を掲載するオタク型(わたしの愛用するイタリア・ツーリング・クラブ系)などに比べると、日本のガイドはすべてが半端な感じで(外国についても国内についても)。ただその分お値段は安いかも。
  1. 2010/07/23(金) 23:07:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

確かにそう思います。日本のガイドブックは写真が多いですよね。見やすい分、情報量は少なめですよね。それに対して、欧州系のは文字数多いのでいいですね。これは結局、目的の違いから生じるのかと日本から長距離きたら、やっぱりメジャーを抑えるのがいいようなきがしますし、地元な欧州なら細かいと。といっても、よくわからんです(笑。
  1. 2010/07/27(火) 00:53:00 |
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  3. Londoncomcom1 #79D/WHSg
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