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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ウンブリアその7-テルニTerni

テルニには申し訳ないのですが、ここに来た一番の目的は、近郊にあるロマネスクの修道院への拠点とすることでした。ですから最も重要なことは、そこへの行き方を知ることで、テルニそのものの観光は二の次(すみましぇ~ん)。
さて、情報収集のためには観光案内所に行くのが一番。で、ガイドブックの情報を頼りに、町中にある案内所を目指しました。
しかし、その住所には、それらしいものは見当たりません。もう一つ地方の観光案内所みたいのが記されているので、ではそちらへ、と方向を変えます。その近くには、ロマネスクの小さな教会があるはずなので、まずそちらを見学することにしました。



小さな教会サン・サルバトーレ。感じのよい外観ですが、当然、という佇まいでしまっていました。でもなぜか、扉前に郵便物が置かれていたので、死んだ教会というわけではないようです。
それにしても、この教会は、町外れなのかそこそこ町中といっていいのか、よく分からないロケーションで、この町のつくりは理解しにくいです。

観光案内所に向かう前に、もう一つ気になる教会があるので、そこにも行ってみました。


サンタロー教会。サンタローってなんか日本語的で変ですが、イタリア語で表記すれば、Sant'Alo'となります。とてもかわいらしい小ささで、住宅地の中に埋もれたようにあります。今はギリシャ正教会だかなんだかの本部に使われていて、日曜日のミサのときだけオープンする旨、扉に記されていました。でも、中には12世紀のフレスコ画や柱頭彫刻があるらしいので、あきらめきれず、教会に隣接した建物のベルを鳴らしてみました。というのも、そちらは住居という感じではありますが、扉にロマネスクっぽいレリーフがはめ込まれていたりして、歴史的建造物なのは間違いないし、教会関係者または鍵の保管者がいるかもしれないじゃん!と勝手に思ったのです(この建物は13世紀のもので、かつてマルタ騎士団に所有されていたものらしいです)。
そしたら上から声が降ってきました。見上げると、これまた素敵な石のバルコニーに、品のよいおばあさんがいらっしゃって、いぶかしそうにこちらを見ているのでした。すみませんが、隣の教会の鍵を保管なさってはいないでしょうか、と尋ねると、残念ながらもってないわ、誰が持っているのかしらねぇ。教会の裏に関連の学生寮があるから、そこで聞いてみたらどうでしょうか、ととてもやさしく対応してくれました。このように美しい家に住んでいる人は、やはり物腰も美しくなるのだろうか、と妙に感心しつつ、お礼を言って、今度はその寮のベルを鳴らします。
ビンボーそうな若者が出てきて、教会?知らないな。鍵?ないよ、そんなもの。ここには学生しかいないし、そんなの誰も知らない、とにべもない答え。醜い寮に住んでいると、物腰も醜く…、いやいや、まぁ仕方ないことですね。さすがにあきらめました。

そして、観光ついでだ!とカテドラルに行きます。


外側はすっかり後代のもので、わずか扉の周りの装飾に、上のような中世をしのばせる彫刻が残されています(12世紀のもの)。ベネチアで見たライオンを思い出します。確かトルチェッロの教会で見た、すごく古いレリーフ。5世紀起源の建物の上に今の教会が建てられているので、地下にも11世紀頃の古いクリプタがあります。で、入場。
ロマネスク好きには目を背けたくなるような(は、言い過ぎ?)16世紀のきらきらした装飾です。写真を撮る気にもなりません。さて、クリプタへはどこから降りればいいのかな?とうろうろしていたら、掃除をしていたおじさんがいたので、尋ねてみました。ちょっと待て、あけるから、と掃除用具を片付けに行きがけたとき、観光客がフラッシュをたいて写真を撮りました。オヤジ、いきなり「写真はだめ!」とすごい勢いで怒鳴りました。どき~。「全く近頃の観光客は、写真を撮っていいかどうか尋ねもせずに、ぶつぶつ」と文句を言いながら、戻ってきました。そして、地下へと続く階段の柵を開けてくれ、一緒に下りて、灯りをつけるともに、ガイドをしてくれました。とても親切な人で、また教会に愛着を強く持っている人でした。クリプタはとても素敵で、ああ、写真が撮りたい…、と心の中では渇望していましたが、つい先ほどの光景の直後では、とても口に出す勇気はなく、その分、しっかりと説明を聞いて、じっくりと見てきました。
行かれる方は、外観があまりにあたらしいので、入らずに帰ってしまう人もいるかもしれませんが、是非入場して、オヤジにクリプタを案内してもらってください。

さて、当初の話に戻ります。観光案内所。このカテドラルの近くにあることになっているので、ガイドブックの地図を頼りにたどりつきました。しかし、やはりありません。通りすがりの人に尋ねると、うーん、ないね。住所は?確かにここだな。うーん。としばし悩んだあと、あ、ここには、やはり市の運営する施設があって、それは他の場所に移転したんだよ、おそらく観光案内所も一緒に移転したんじゃないか?とその住所を教えてくれました。親切です。
汗をだらだらかきながら、その住所にたどりつくと、確かに立派な建物です。レセプションがあったので、尋ねてみると、「誰がそんなこと言ったの、ここじゃないよ。観光案内所は、ずいぶん前から駅の方の○○とおりだよ。緑の門を入って云々」。親切なんです、やっぱり。でもびみょ~に説明に誤りがあったりするんですねぇ。
もうやめようかな、とちょっと弱気になりつつ、でも修道院に行くため!と気を取り直して指示された場所に行き、緑の門を入ると、「あ、ここじゃなくて、出て左に曲がって云々。」はいはい、左に曲がって…、看板も出てないけど、ここ?と半信半疑で扉を押すと、確かにそこは観光案内所なのでした!やれやれ。
入るなり「お願いだから、案内の看板だしてよ~!」と叫んだわたしです。案内所のお兄ちゃんは一瞬きょとんとしたものの、すぐ、ああ、ごめんね~、ほんとここわかりにくいよね~。と笑いながら、状況を分かってくれたようでした。その後観光のことを置いといて、テルニの町の観光に対する姿勢について、延々と意見を述べ立てるわたし…。こういうとこ、すっかりイタリア人とゆーか、昔々のおとなしい人見知りの自分を知っているだけに、びっくりしちゃいますね。
お兄ちゃんは、かなり親切で、持っている情報をすべて放出してくれ、修道院への行き方もばっちりです。苦労はしたけど、結果的に見るべきものすべて見て(というか、上の三つだけですが)、情報も収集して、めでたしめでたしです。

ちなみに、テルニには、ローマの劇場跡があったり、近郊に水量豊富で迫力のあるマルモレの滝というのがあり、それはかなり有名です。バスで近郊に行くと、ちょうど滝の脇を通りますので、一瞬ながら拝むことができたのですが、確かになかなかのものでした。
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  1. 2008/11/10(月) 06:48:51|
  2. ウンブリア・ロマネスク
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  4. | コメント:2
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コメント

No title

撮りたくて撮れない写真の下り、笑えます。ですがやっぱ、ぼくも撮れないわな、そういう場合、と思います。写真の少ないの許せます。
そこらじゅうを歩き回って、土地の人たちとやりとりできる―軽やかなフットワークと言葉の力―あこがれです。そんなのがわたしの望みだから。
  1. 2008/11/10(月) 14:58:00 |
  2. URL |
  3. otebox #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

わたしが言葉に不自由しないのはイタリアだけですから…。10年以上も住んでりゃ当然ですしね。フランス語ができれば、行動半径がぐ~っと広がるんですけどね~。どうもフラ語とは相性がよくないような感じです。
  1. 2008/11/10(月) 22:36:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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