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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ウンブリアその8-サン・ピエトロ・イン・ヴァッレ

さぁ!朝から田舎に行きます。ここでも思いっきり、一人珍道中。そんなのばっかりな旅ですねぇ。
テルニからバスで、サン・ピエトロ・イン・ヴァッレというかつての修道院へ。ここは、ガイドブックで写真を見て以来、今回絶対行きたい場所のひとつだったのですが、車がないとちょっと難しそうな感じだったので、ほとんどあきらめていたのです。でも、便数は極端に少ないとは言え、山の麓まで行くバスがありました。修道院は山を少し登ったところにあるので、バスを幹線道路で降りたあとは、徒歩で登る必要があります。サッソヴィーヴォ同様のロケーションですが、あちらよりはずいぶんと距離は短いし、迷うのは難しそうな感じです。
テルニ発のバスは、修道院の最寄のはずのフェレンティッロよりもずいぶん先のSchegginoという村行きです。乗り込んだのは、わたしと他約一名。運転手に、「フェレンティッロ、行きますよね?」と確かめながら、一番前の席に座りました。
テルニを出てすぐ、マルモレの滝の脇を通りましたが、早朝のためか、まだ水量はちょろちょろでした(人工的に水量調節していて、常に水がどばどば出ているわけではないらしい)。
そして、実に美しい風景が、ずっ~と続き、ドライブに超お勧めの土地です。次々と丘の上にしがみついたような町村が姿を現し、その間は美しい緑が広がり、ただうっとりするような眺めです。昔の、ヨーロッパの風景におぼこ(?)だった頃だったら、ばしゃばしゃと写真を取り捲っていたことでしょうが、さすがに最近のわたしはちょっと冷静で、心の中で美しさをかみしめながら、ただ車窓風景を楽しみました。
テルニにずいぶん近いところで他の乗客は降り、残るはわたし一人。そして、バスは快調に走ります。
ちょっと大きな町を通り抜けながら、「あれ?この風景は、どっかで見たような?ここどこだろう?フェレンティッロって聞いたよね?運転手、忘れてないよね?こんな路線バスに乗る観光客の行き先は、あの修道院しかないよね?」とドキドキしてきました。そこでガイドブックを引っ張り出して、周辺地図をチェックしだした矢先、車窓に、Macenanoの表示が!
マチェナーノは、テルニからみると、フェレンティッロの次の町。ということは、やっぱりさっきの大きな町がフェレンティッロじゃん!どっかでみた風景って、ガイドブックの写真じゃん!
運転手さんに「今、マチェナーノってあったけど、わたしフェレンティッロで降りなきゃいけなかったんだけど~。」と話しかけると、「あ、そうだった?どこ行くの?」「修道院ですけど…。」「そうかぁ。それだったらマチェナーノの入り口でおりればいいけど、でももう通り過ぎちゃったなぁ(といいながらも、どんどん走る)。」「うう…。」「そしたら、このまま終点のスケッジーノという町までいって、そこからテルニまで折り返し運転だから、そこまで行こう!帰りに降りていけばいいでしょ。まだ早いし。」と提案されました。
実際、時間が早くて、順調に行ったところで、修道院はまだ開いてない時間だったので、ま、仕方ない、とまた車窓を楽しむ人となりました。そこからは山道で、ますます緑が濃くて、美しく、運転手さんとぽつぽつとおしゃべりしながら、こんなドライブをするチャンスもらって、かえってラッキーだったのかもしれません。
そして終点スケッジーノ。これが、川向こうの斜面に張り付いた小さなかわいらしい町です。


こんなことがなければ、おそらく一生来ることもない土地。折り返すまで5分くらいあるというので、バスを降りて、写真を撮ったり、山の麗しい空気を胸いっぱいに吸って、リゾート気分になりました。
そして、テルニに向かって出発。今度は、運転手さんとも顔見知りの地元民のおばさんが乗ってきて、わたしも時々おしゃべりに混ざりながらの、楽しい旅です。それで気付いたのですが、バスはおニューで、その日が初運転だったのです。おばさんが、「これが例の新車ね!いいじゃな~い!」運転手、満足そうです。そうか、きっとこのせいで、彼は普通以上に運転に集中して、乗客のことなんか目に入ってなかったのかもね。
そして、やっとこさマチェナーノに戻ってきました。ここからひたすら登っていけば、修道院だから、という場所で停めてくれました。
マチェナーノは、小さな小さな村。かなり急な斜面に張り付いて石造りの家が建て込んでいます。一体何をやっている人が住んでいるのか、どの家もこぎれいで、道も美しいのが、ちょっと驚きでした。


村の人たちに結構出会いましたが、ニコニコして穏やかな空気でした。外人がこんなところに!という緊張感はゼロ。この村を通り抜けて修道院に行く人は、そう多くないと思うし、この村を目指す観光客もいなそうなんですけどね。
全部が急坂の村を通り抜けて、あとは平坦な田舎道をのんびりと歩いていくと、先の方の谷に、やっと目指す修道院の姿が。サン・ピエトロ・イン・ヴァッレ(谷にあるピエトロ教会)とは、まさにぴったりの名前ですね。ぽっかりと広がった谷にちょこんと埋もれた感じです。


実はここ、かつての僧房部分が、今はちょいと豪華なホテルになっています。で、そっち側は入れません。ホテルというのは本来、公共の性質もあるはずなのに、入り口に、"宿泊客以外の入場、お断り"とあり、感じ悪いです。教会が開く10時までまだ時間があり、退屈なので、バールでもあればカフェの一杯も飲みたいものだ、とお断り承知で入り込み、レセプションの女性にバールの有無を尋ねると、悪いけど、お客様にしか開放してないの、とにべもないお答え。はあ、そうですか、とすごすご教会の前に行き、のんびりと一服することにしました。
ちなみに、ホテルとしては、そんなに高いわけではないので、車で動いている方には、宿泊するのもありかと思いました。
教会は、ロマネスクのフレスコにおおわれていて、保存状態もなかなかよろしいです。でもわたしが最も引かれたのは、このロンゴバルドの浮き彫り。宇宙人みたいなフィギュア、幾何学模様、このヘタウマの感じがたまらなくわたし好みです。


写真撮影禁止、と大きく書いてあるのですが、鍵を開けに来た管理人の若者は、教会前の広場の、ファサードからかなり離れたところに置かれた椅子に腰掛けて、のんびり新聞など読んでいます。わたしの後から見学に来た二人連れもあっという間に立ち去ってしまい、誰の目もない場所では、撮影の誘惑に勝てませんでした。へへ、勿論フラッシュなしで、ドキドキしながら、盗み撮り状態にすばやく撮りましたけど。そして、帰りに、一部写真が挿入されているガイドブックを、撮影料と思って購入しましたけど。これほしいんだけど~!と管理人に声をかけたけど、う~ん、代金はその辺に置いといて~、と側に来ようともしませんでした。
帰りは、車道を下りました。どうせ近い時間にバスはないので、フェレンティッロまで歩くつもりでした。幹線道路で、車がかなりのスピードで飛ばしていくので、ハイキングするのに楽しい道ではありません。で、歩き出して10分ほどで大後悔です。本当だったらマチェナーノに戻る方が早いのですが、次のバスはフェレンティッロ発となっていたので、仕方ありません。結局最後の方はかなりの急ぎ足で35分間歩き続けて、ぎりぎりでバスの時間に間に合いました。35分間を急ぎ足ですから、3キロくらいあったんじゃないでしょうかねぇ。もう全身汗みずく、身体はくたくたでした。
最終的には、教会を見に行ったんだか、車道を3キロ歩くという冒険に行ったんだか、どっちよ?って感じ。でもこのがんばりのおかげで、このあとに余裕ができたのがよかったですけどね。
この時点では、まだ知るよしもないのですが、このまま午後もまた、さらに過酷なロマネスク探訪が継続してしまうのです。
そして、これだけ運動したのに、旅から戻ったら体重が2キロほど増えていたんですけど、謎ですねぇ。
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  1. 2008/11/17(月) 06:20:00|
  2. ウンブリア・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

もう後戻り(契約の方)はなしねって、後戻り(サン・ピエトロ)して出かけたのね。ネタに絡ませるような話題になりましたね(笑)

私に、車で行って泊れと・・・

それだけの運動して体重が増えたのなら、基本体重が下回っているせい。つまり、痩せ過ぎと解釈しましょうね^^;
  1. 2008/11/17(月) 06:26:00 |
  2. URL |
  3. クリス #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

Bravo!この4枚の写真どれもいいですね。わたしは早速グーグルアースしてみました。宇宙からでは高低の感覚がいまいち掴めませんが、山間の村々はわかりました。うまい具合に今日は参観の代休で、いちんちボーっとしてすごしました。グラッチェ。
後は、行きつけのクアハウスでマッサージでもしてフィニッシュとするか。
  1. 2008/11/17(月) 09:22:00 |
  2. URL |
  3. otebox #79D/WHSg
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