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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ベネチアの安藤忠雄

といっても、別に安藤さんに会ったとか、安藤さんがベネチアにいたとか、そういう話じゃなくて。
実は昨年、ベネチアにある二つの古い建物が、再生されて、現代美術館としてオープンしました。それらを再生したのが、安藤忠雄だったんです。で、その一つ、プンタ・デッラ・ドガーナは、昨年、アートのビエンナーレに行ったときに訪問して、村上隆の変なフィギュアなども拝んできたのですが、もう一つ、パラッツォ・グラッシは、時間がなくてお預けになっていました。
今回、建築ビエンナーレで、会場以外の展示を求めてうろうろしていたところ、目的の会場はなかなか見つからなかったのですが、偶然パラッツォ・グラッシに出会ってしまったのでした。


おお、こんなところにあったんだ!
急遽予定変更。時間はあまりなかったのですが、ここまで来て見ないで帰るわけにもいかない!幸い常設展だけなので、見学にはさほど時間はかからないだろう、と思いつつ、チケット売り場で、一応、スタンダードでどのくらいかかるか確認して、入場(ちなみに、1時間くらい、といわれました)。いやだな~、時間のない日本人が、駆けずり回る図。でも、こういう場合、仕方ないよねえ。

ここ、外観は、1800年代ですかね?とてもありがちなクラシックな建物です。邸宅仕様で、外からでは美術館にも見えません。唯一の印は、小さなプレートと、プンタ・デッラ・ドガーナに置かれた少年の彫刻の垂れ幕ですね。
そして、中も、そのままあるものを生かしてって言う再生です。
写真禁止だったので、残念ですが、吹き抜けになっている部分に屋根を付けて、そこが唯一現代美術御用達の、大きな空間になっていて、その他は回廊状の部屋が続いているので、そんなにスペースは大きくありません。
吹き抜けには、地上階に、チェス版のような電飾床が、音楽にあわせて色を変えたり図形を作ったりという作品がどっかりと置かれていて、それが、上階から見下ろせるし、地上階では、その上を歩けるし、という趣向でした。ここでもまた、子供が楽しんでいるのが印象的でした。
その他、村上隆がここにもあり、ゲロゲロ…。フィギュアもどうかと思うけれど、まるで下手な広告のようなべた塗りの稚拙な絵のよさは、時間がたっても決して分かる日は来ないだろうなという作品です。

これは、美術館前の広場に展示してあった作品。


単に古いビュイックが、プラスティック装飾されているというだけの作品なんですが、ベネチアに車って、すっごいミスマッチですよね。

この美術館、実はアカデミア美術館にも近く、おそらく地域に美術学校もあるんじゃないでしょうか。ギャラリーや画材屋がひしめいていて、こんな素敵な顔料を並べたショウウィンドウも。ああ、時間のないのが憎い!と思いながら通り過ぎました。



ビエンナーレ見学に行く朝、大運河を行く高速水上バスに乗りましたが、大好きなペギー・グッゲンハイム美術館の前を通過。次回は、また訪ねたいものです。


運河に面した部分の彫刻は、定期的に入れ替えるのですね。今は、建築ビエンナーレにもマッチした現代作品が。

そして、これが昨年訪ねたプンタ・デッラ・ドガーナ、安藤さんの再生した、もう一つの建物。


建物の先端に置かれた少年が見えるかな、と目を凝らしていたら。


なんと。少年の彫像、ガラスのケースに覆われています。え~?すごく変。誰かにいたずらでもされたんでしょうかねぇ?これじゃインパクトゼロって言うか、だめでしょ。なんかがっかり。開館してたった一年でこういう変化は、ちょっとね。

ちなみに、パラッツォ・グラッシとプンタ・デッラ・ドガーナは、共通入場券だとお得感がありますが、別々だと、え、高い、という値段ですので、是非セットで見学することをお勧めします。現代美術好きであれば、一度は訪ねてもいいかと思います。ロケーションの特殊さがね、やはり印象的。
実はね、パラッツォ・グラッシ、一番インパクトのあったのが、運河に向かって開くようになっているガラス窓の、レバーだったりします。キンキラキンで、すごくバロックした、天使とか飛んじゃっている装飾的なレバーで、こんなもの、今では絶対どこでも見つからないっていう代物。まさに建物のオリジナルのものを、再生したのか、またはそのまま使っているんでしょうね。階段の手すりなんかもそういうタイプの鋳鉄で、超好みでした。
そういう現代美術館っていうのも、なかなかいいもんですよ。
わたしは別に安藤忠雄さんのファンって言うわけでもないんですが、この二つの建物の再生については、結構よかったんじゃないかと思えました。
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  1. 2010/10/22(金) 04:50:19|
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コメント

No title

一昨年乃木坂にあるギャラリー間で安藤氏が進行しているプロジェクトで、
ベネチアのプロジェクトを写真で拝見しました。もう出来上がっているんですね。
国内だと再生プロジェクトで国際こども図書館がありますけど、うまく表面はそのままで再生されていますよね。あー!ベネチア行ってみたーい!!
  1. 2010/10/25(月) 03:54:00 |
  2. URL |
  3. さちぞう #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

安藤さん文化功労賞受賞されましたね。
ここでとりあげられてタイムリーだったかも。
おめでとうございます。
  1. 2010/10/26(火) 23:40:00 |
  2. URL |
  3. クリス #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

さちこさん
安藤さん、再生プロジェクトを結構やっているんですね。私はベネチアの二つで、あ、そういうこともやっているんだ、と驚いたんです。建築って、考えたらそういうのもありなんですよね。
いつもバロックに改装されたロマネスク教会にプンプンしているのに、再生に気付かないって。
再生は、しかし、自分色を出すのがすごく難しいので、人によってはやりたくない仕事かもしれませんね。
  1. 2010/10/28(木) 19:31:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

クリスさん
そうなんだ。文化功労賞とか、そういうタイプでもなさそうですけど、そうなんですね。それだけの仕事は、してますよね、やはり。
  1. 2010/10/28(木) 19:32:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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