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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ウンブリアその11-ナルニ

周辺をあちこち歩いた挙句、やっとナルニです。
新市街の安宿(外観は”なんじゃこれ?”って感じですが、部屋はこぎれいなビジネス・ホテルでしたけど)に宿泊した翌朝、限りなくしょぼい朝ご飯のあと、すぐ旧市街に向かいます。受付の人が親切にも、旧市街行きのバスが出る鉄道駅まで、車で送ってくれました。前夜着くなり、「駅から1キロって聞いてたけど、多分もっと遠いし、それに歩くには不向きな道でまいった」と訴えたのを覚えていたのでしょう。時々ですが、オバサン化+イタリア人化が激しく出てしまって、なんだか思ったことをすぐ口にしてしまいます。多分疲れて、頭が働いてないときだと思うんですが。
しかしせっかく送ってもらっても、旧市街に行くバスは、1時間近く先。そう、日曜日ですから、そんな近場を結ぶバスすら、そういうタイムテーブルで運行しているのです。昨日、無理やりがんばって、いけるところに全部行って、大正解です。
無人駅だし、駅前のバールもしまっているし、自動販売機で、翌日のスポレート行きの片道切符を買ったあとは、何もやることがありません。せいぜい勉強しときましょ、とガイドブックを読んで、時間をつぶしました。

さて、無事旧市街について、荷物をホテルに放ったあと、いよいよ観光です。まずメインストリートをぶらぶらしていて出会ったのが、Santa Maria Impensole教会。


狭い道に面して、立派な円柱を構えたナルテックスを持ち、中は典型的なロマネスクの小さな教会です。柱頭彫刻がかわいらしく、その石っぽさが、とてもわたし好み。特に何があるわけでもないので、こういう小さな教会は、観光客が来ても、皆一通りさらっと眺めて、さっさと出て行ってしまうので、多くの時間独り占めできるのがうれしいですね。で、この一日、通るたびにとりあえず入って、かわいらしい柱頭を眺めながら、くつろいでしまうわたしでした。
道を先に進むと、左側に立派な教会があります。San Domenico教会。


残念ながら、全体が大規模な修復工事中で、アクセス不可能です。鐘楼の工事は終わったばかりのようでしたが、まだファサードも、内部も完全に工事中。12世紀にカテドラルとして建設された教会で、後代の手が結構入っているようですが、ロマネスクの名残が十分感じられる様子なので、じっくりと見られないのは残念でした。
このサン・ドメニコの裏側に、”ナルニの地下”があります。ガイドブックを読んでいてチェックしていた観光ポイント。地下通路とか地下水路とか地下都市を観光ポイントにしている場所は結構あるのですが、どうも地下っていわれると、なんか神秘な気がして、すぐ、行こう行こう!と踊らされてしまいます…。
ここでは、地下に12世紀の教会跡や、異端審判所、そして、異端とみなされた人々に使用された牢獄があります。宣伝とオーガナイズ(ガイド・ツアー)がすごいわりには、ちぇ、これだけかよ、というのが、正直なところでした。写真も撮らせてくれないし!
最後の方には、お決まりの拷問用具の展示。ヨーロッパの人たちって拷問の展示が好きですよね。中世の大抵の町には、拷問博物館ってあるし。怖いものみたさ?それとも信仰を促す目的?理解不能です。
さて、ロマネスク的にはメインは、現在のドゥオモ。


町の入り口にあり、外見は地味ですが、中は堂々立派なものです。
もともと中世初期に墓地のあった場所に、12世紀ごろ建てられたそうです。だからそういう施設が周辺にあって、うち一つが後代に教会に取り込まれています。右側身廊の中ほどにある小礼拝堂のような場所がそれ。モザイクやレリーフで細々と飾られていて、かわいらしい場所です。
そうそう、ここでも、床を飾るコジモ風のモザイクがとても気に入りました。
さて、ドゥオモ内部をうろうろしていたら、かわいらしい聖母子の絵のついたパンフレットが置いてありました。


あら、どこにあるんだろう、と掃除をしていたオヤジに尋ねると、それはこの教会ではなく、新市街と旧市街の間にあるMadonna del Ponteという教会にあるんだよ、ということです。11世紀のフレスコ画で、もともと岩窟の中に安置されて、そこが礼拝堂になっていたその場所に、今の教会が建てられたとか。何かの記念で特別ミサがあるので、パンフレットがあったみたいでした。歩いていける場所かと尋ねると、「いやぁ、歩くのは無理でしょ。駅行きのバスに乗って、ローマ橋のあるところで降りればいいよ」ということでした。
ナルニの外を流れるネラ川にかかる、アウグストゥス時代のローマ橋があるのです。バスからちょっと見えるのですが、それが端っこから3分の1くらいのところでぼっきりと壊れていて、とても芸術的な風景になっている場所です。廃墟好きにはたまらないかも。
でも、バスは、今日はほとんど走ってないので無理。
その後疲れたのでいったんホテルに戻って、荷物を部屋に入れたのですが、ホテルの人によれば、ぶらぶら散歩で行けるよ、とまた修行(?)を促すような発言をされてしまいました。また歩けというのね…。
かわいらしい聖母子のフレスコ画も見たいし、ぼっきり芸術的なローマ橋廃墟も間近から見たいし、結局休憩もそこそこに、またホテルを飛び出すわたしなのです。
町外れまで行って、町を取り囲む壁を抜けたら、すごい急坂です。うへぇ、これを帰りは登ってくるわけ?やっぱり修行だ!やだなぁ、と思いつつ急ぎ足で歩いたら、意外とあっという間に川まで降りることができました。壊れた橋の周りには、その橋の残骸の石材がごろごろしていて、なんとも不思議な光景でした。なんせ橋は高さ30メートル、もともとの長さは160メートルもあったという壮大な建築ですから、迫力があります。残念ながら、あまりいい写真がとれませんでした。というのも、緑あふれる場所で、行きに通ったときは釣りをしている人なんかも数人いたのですが、帰りには誰もいないし、ちょっと怖くなって、のんびり写真を撮っている余裕がなかったからなのです。日暮れが近づいていましたし。


岩窟の聖母子のある教会では、ミサの最中でした。どうやら始まって間もないようで、20分ほど待っても終わる気配なし。どうも特別ミサって感じで、ミサが終わっても、写真など取れそうもない雰囲気がありありです。結局30分ほど待った挙句あきらめました。幸い、入り口の扉は開けられていて、正面に岩窟がそのまま残された内陣があり、聖母子も、照明があてられていたので、一応拝むことはできました。パルマのそばで見た、やはり古い聖母子に、ちょっと感じが似ている気がしたので、古いものかと思ったのですけど、教会の入り口の説明によれば、11世紀ということはないようでした。
その他ナルニの観光としては、町の高い方に城砦跡があって、そこでは漫画展覧会が開催されていたので、有名なイタリアの漫画オタクたちに対する多少の興味はあったのですが、時間切れ。というか、体力切れ。こんな小さい町に丸1日いたら、時間余っちゃうなぁ、と考えていたのは杞憂もいいところでした。
夜はホテルのレストランで、とてもおいしくて、またサービスもよい夕食をいただき大満足。ここでもウンブリア名産の手打ちパスタをいただき、赤ワインぐびぐび。ご飯はどこでも本当においしいのですが、ナルニでは、特においしくいただいた感じがします。
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  1. 2008/12/04(木) 02:13:50|
  2. ウンブリア・ロマネスク
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