カテドラル、内部に入ります。
目指すはクリプタです。ほかは、どこもここも後代の手が入っていますが、クリプタは、カテドラル創建当時、11世紀とか12世紀の姿をそのままとどめているんです。
しかし、笑っちゃいました。結構苦労したんですよね、ここの観光。
サン・ジョバンニ・デッリ・エレミティ教会を見た後、他の観光をしていた友人と落ち合い、町の中心部に戻るつもりでしたが、友人が「ちょっとカテドラルに寄りたい」と言います。彼女は、私が観光していた時間に、すでにカテドラルに行ったのですが、クリプタに入ろうとしたら、「照明がつかなくなった」という理由で、チケットを買ったというのに宝物室のあといきなり追い出されたのだそうです。で、お昼まではあいているから、もう一度後で来たら、そのチケットで入れてやるから、と言われたそうなんです。
私はクリプタには興味があったものの、時間的に無理そうだったので、他を優先したのですが、まだ間に合います。では、と訪ねたところ、今度はなんと、カテドラルそのものがクローズになっています。???
まだ十分すぎる時間があるのに変だな~、と思っていたら、クリスマス・ツリーが運び込まれて、カテドラル前の広場に設置されようとしています。もしかして、このため?
仕方ないので、他の観光をして、さらにちょっと時間があったので戻ったら、今度は何事もなかったかのようにあいているんです。
で、クローズまで20分弱しかないけれど、あわててクリプタに向かいました。
チケット売り場では、「今頃きやがって」的ないやな顔を露骨にされたけれど、かまっちゃいられません。
本堂の片隅にある小さな扉をくぐり、宝物室を急ぎ足で通りすぎます。奥のほうで、プレゼピオの飾りつけ中。その前にあるダサい階段をくぐります。
いやはや、びっくりしました!いいでしょぉ、これ?
いきなりこんなにロマネスクに出会えるなんて、想像外だったので、息を呑みました。
ここは優先順位低いし、見なくてもいい、なんて思っていたのですが、大間違い。すっごくいい感じでした。
ただ、ここは祈りの場所というよりも、もともと墓所みたい。アーチの間には、各時代、さまざまな意匠の石棺が置かれていて、それもまた面白いんですよ。
これなんかはノルマン時代の石棺。ふたの端っこの方に、蛇の尻尾をしたドラゴンが二匹、浮き彫りされています。ドラゴンって言っても、ぜんぜんかわいらしいんです。一匹はウサギちゃん、もう一匹は犬の顔してるんですから。
一方、こちらなどはかなり細かい彫り物がびっしり。
ローマ、初期キリスト教時代の石棺で、トレント公会議にも出席したという16世紀の著名な大司教様が眠っていらっしゃるようです。12人の人物が彫られているので、十二使途と考えられているようです。
こちらは、ちょっとわかりにくいのですが、黄金の混じった素敵なモザイク装飾がなされています。
まるで、石棺博物館。これは面白いです。石棺をこんなにじっくり見たことはなかったし、そもそもこれまで、こんなに多様な装飾の石棺を一堂に見る機会はなかったですね。石棺というとローマのものしかないように思っていたのですが、中世にも作っていたんですねぇ。
そして、それを何百年と時を越えて使いまわしちゃうところが、なんか石文化っていうか。
20分くらいしかないのに、とにかく目いっぱい楽しみました。クローズされちゃうと怖いんで、ばたばたと出ましたけど、係員は、やっぱりいや~な顔をしていました。きっと早くランチに帰りたかったんでしょうねぇ。
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- 2010/12/29(水) 06:39:41|
- シチリアの中世
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| コメント:2
大聖堂クリプタ素晴らしいです。二番目の写真、フォントネーなどシトー派の教会のよう。アーチ列がいいですねえ。石棺にドラゴンの彫刻というのも 初めてみました。大聖堂、自由時間にいこうとしながら後代の手が入っているとパスしたのが悔まれます。外側から見た後陣も いかにもノルマンで素晴らしい。どれも 写真集には出ていないもので感激しました。
- 2010/12/29(水) 00:40:00 |
- URL |
- yk #79D/WHSg
- [ 編集 ]
yk さん
そんな風に言っていただくと、あ、行ってよかった、と思います。私自身、優先順位かなり低くつけていたので、このクリプタは、すっごく得した気分なんですよ。
最近、サイトの過去ページを拝見させていただいています。面白い!ロマネスク関係の記事はもちろん、料理のお写真がすばらしいので、感心してしまいました。
- 2010/12/29(水) 22:04:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]