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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

カラヴァッジョ



この週末、町をぶらぶらして、スカラ座広場に来たら、なんか行列があります。あ、カラヴァッジョの無料公開だ!と気付き、20メートルほどの行列に並んでみました。
どういう経緯かよく知らないのですが、いつもはローマにあるカラヴァッジョの絵が、ミラノ市庁舎であるPalazzo Marino(マリーノ宮)の一室で、約一ヶ月の間、公開されているのです。そういうのはわざわざ見に行こうとは思いませんでしたが、たまたま行き合わせたからには、せっかくだから、という気持ちになります。
行列は意外と早く進み、10分ほどで、建物の中に入り、さらにそこで15分ほど待ち、それから絵が展示されている部屋に入って、さらに10分くらいですかね。やっと、絵の側に行くことができました。
もともと辛気臭い教会絵画は苦手で、特にルネサンス以降のカンバス油絵は、もう全然だめ。最近ロマネスクに傾倒してからは、一切見てませんし、とにかく一枚の絵をしげしげと鑑賞したことなどなかったような気がします。
このカラヴァッジョ、部屋に入ってからは、遠めに、上部が見えますので、それはもうじっくりとみました。部屋は、教会よりは明るいけれども、普通の美術館よりは暗い照明です。なのに、絵には光が当たっている!
笑われるかもしれませんが、びっくりしました。どっからあたってるんだろう、と真剣に考え込んでしまいましたから。勿論、すぐテクニックでそう見えるのだとは分かりましたが、見ても見ても実際に灯りが差し込んでいるとしか思えないんですもんねぇ。
不謹慎ですが、思わず「うまい…。」とつぶやくわたしでした。おこがましいですが、もうそういう風にしか表現の仕様がないですよね、本当にうまいんですから。


カラヴァッジョは、イタリアでは最も敬愛されている画家の一人です。リラの時代には肖像がお札に使われていたくらいですから、大衆的な人気や知名度もあるということなのでしょうね。わたしは確か、ずいぶん昔ですが、彼を主人公にしたドイツ映画で知った口です。イタリア美術史なんてトンと興味がなかったもので、せいぜいルネサンス時代しか知らなかったんですよね。彼の破天荒な人生、そして異常なまでの天才性というのが、とても見事に描かれた映画で、カラヴァッジョっていいじゃんと思うようになり、あちこちで少しずつ、作品は目にしていると思います。ミラノのアンブロジアーノ美術館に、やはりリラのお札に使われていた果物籠がありますが、もう異常なうまさですね。
ついた先生たちは、別にフツーの絵を描く人々で、一体どうしてこういう闇と光の効果を生かした絵を描くようになったんでしょう。当時にあってはすごく斬新だったはずで、だからこそ、あちこちの貴族や王族に厚遇されたのでしょう。でもやっぱり、普通の人ではなかったということでしょうね。
すごいなぁ、と感心しながら、せっかく町中に出たので、ドゥオモとその前に立てられた巨大なクリスマス・ツリーを拝んでから、帰宅しました。眼福だった。たまには町に出ないとね!


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  1. 2008/12/10(水) 06:27:25|
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