スポレートその2、いよいよウンブリアの旅の最後となります。
スポレートは、その町の周辺部に、ぽつんぽつんと見所があり、ガイドブックでは距離感がよく分からなかったのですが、いずれの教会も、徒歩でアクセス可能の場所にありました。
まずは、町の南側にあるサン・ピエトロです。町を抜けて、かなり激しく車の行きかう幹線道路(フラミニア街道。ローマ時代の幹線道路の一つで、紀元前3世紀に建設された、ローマから、アドリア海に抜ける道。ローマ時代も集落はあったのでしょうが、基本的に今でも緑地なので、ほとんど森の中の一本道という感じだったのでしょうねぇ)をひやひやしながら渡って、結構な石段を登った高台に聳え立っている、とても立派な教会です。
今ある教会はロマネスク時代12世紀の建造物ですが、早くも5世紀には、サン・ピエトロのレリックを収めるための、前身の教会があったそうです。ピエトロさんって、バチカンのピエトロさんなんでしょうかねぇ、やはり。ファサードにびっしりとレリーフがあって、壮観です。中身は、ピカピカきらきらになっちゃってて、面白くもなんともないのですが。
次は、南西の町外れにあるサン・パオロ(S.Paolo Inter Vineas)を訪ねます。
ここは残念ながら閉まっていました。修復中か何かで、もうずっと閉まっているそうです。
町から行くと、上り下りの激しい道なので、間違えると悲惨だなぁ、と思い、向こうから歩いてきた品のいいおばさんに、教会への道を尋ねました。おばさんは、「この道をまっすぐ行けばいいのよ。どこから来たの?へぇ、一人で、中世を、へぇ、すばらしいのね。あそこは見た?ここはどう?スポレートは見るものがいっぱいあるでしょ。素敵な町でしょ。でも地元の人はあまり関心がないのよね、あなたみたいな人が来てくれるのは、とてもうれしいわ!」とすごい勢いでしゃべられてしまいました。でもあくまで品がよく、彼女のお国自慢はほほえましくて、それがまた押し付けがましくないので、とても好感が持てました。観光客にとっての町のよさというのは、観光要素がどれだけあるかということと同じくらいに、その町の人々が、どれだけ町を愛しているかっていうようなそういうことで変わってくる気がします。このおばさんや、ホテルの感じのよい受付のために、スポレートの町の印象というのは、かなりよいものです。
さて今度は、北の郊外にあるサン・ポンツィアーノです。
ファサードは、サン・ピエトロにも通じるというか、派手目の装飾。鮮やかな色のモザイクのはめ込みがとても印象的です。残念ながら、ここもしまっていました。観光局では、隣の司祭館みたいなところに頼むとあけてくれる、ということだったのですが、呼び鈴を鳴らすと、今責任者がランチに出ているので、もうしばらくしてから来てほしい、ということでした。先の教会を見て、30分後くらいに戻ってきたら、たまたま関係者らしいおじさんがスーパーの袋のようなものを提げて、外から入ってきました。「教会?5時まであかないから、5時に来なさい。」「いやでも、さっきあそこで聞いたら、責任者がランチから戻ったらっていわれたんで…」とおどおど言うと、「いやいや、あかないから。」とにべもない対応で、意味もなくそんなとこにいないでね、という空気をみなぎらせているので、いやな気持ちになって、結局その場を去りました。
なんか虫の居所が悪かったのかしらないけど、教会関係者としてはありえない感じの悪さです。ぷんぷん。そこに行くには、結構な坂道を登る必要があるので、また戻る元気がなく、結局中は見ず仕舞い。ちくしょ~。
その先にあるのが、サン・サルバトーレ。
墓地の中にあり、とても変わった造りです。4世紀後半から5世紀にかけて建造された初期キリスト教のバジリカ様式が元になっていて、その後数多くの改築がなされたにもかかわらず、初期構造が残されているので、なんだかいろんなものが交じって、不思議な感じなんです。ローマっぽい円柱が壁にめり込んでいたり。妙に荘厳な印象です。
もう一つは、町外れ、というより、もう違う村というか。郊外の丘の上にあるMontelucoという地域のサン・ジュリアーノです。
このモンテルーコは、スポレートの人のハイキング場所という位置づけらしいです。集落があるわけでなく、この教会と、少しはなれて、モンテルーコのサンクチュアリと呼ばれる地域があります。そこにはサン・フランチェスコが祈った場所とか、澄んだ水のあふれる井戸とかあって、心の憩いの場所みたいな、そういう性質のものらしいです。
このサン・ジュリアーノは、元はやはり5世紀とかの古い建造物で、12世紀頃に今の姿になったそうです。残念ながら、ここもクローズでしたが、ファサードのレリーフなどかわいらしく、かなりの急坂かつ道なき道(歩いていく人は、多分ほとんどいないのでしょう…。あまりに道なき道なので、わたしも実際、歩き出して5分ほどで大後悔しました)を踏破したあとでは、それなりに満足感を得ることが出来ました。
スポレート自体は、結構大きな町ですが、一歩市街を離れると、見事に緑です。これらの教会の周りは、自然ばかり。この写真で、左の丘の上にぽっつり見えるのがモンテルーコのサン・ジュリアーノ、そしてちょうど写真の中心にあるのが、サン・ピエトロです(フラミニア街道が堂々と緑を縦断しています)。
さてもう一つ、スポレートで忘れてならないのは、この塔の橋(Ponte delle Torri)。
13~14世紀に建造され利用された水道橋だったらしいです。そしてスポレートとモンテルーコをつなぐ橋としての役目も持っていたということで、その橋の部分は、今でも現役です。高さ76メートル、幅230メートルで、下は深い谷。確か、自殺の名所としても有名だったはずです。実際に見ると納得。この橋の真ん中から飛び降りたら、まず助からないでしょうし、見つかりにくそうです。
いやいや、昔の人たちって、驚くものを作っちゃいますね。しかしこんな高いもの、どうやって、と思ってしまいます。そういえば、ウンブリアに地震があったときも、ここは影響を受けなかったようですね。
以上、駆け足のウンブリア・ツアーでした。いずれサイト(
ロマネスクのおと )に、じっくりとまとめる予定です。いつになることやら分かりませんが、乞御期待。
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- 2009/01/07(水) 07:21:12|
- ウンブリア・ロマネスク
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スポレートは行ってないのですが、前回の旅行のプランを企画している時に郊外の教会を含め見るところが散在した感じで、見学に時間が取られそうなので別の機会にした方が良さそうだと諦めたところなんですね。
これを見てなんか納得した感があります。悪くはないけど、無理して行かなくともいいかしら? 見せてくれない司祭さんの対応悪いよね。
- 2009/01/08(木) 03:29:00 |
- URL |
- クリス #79D/WHSg
- [ 編集 ]
そうですねぇ、町の作りが、全体に散漫な感じはあります。人々はいい感じだし、ご飯も安めでおいしいけども。ロマネスクの情緒というのは、他のウンブリアに比べると、少し低いのかも。周辺より、町中の教会の方がよいですね。わたしとしてこの町で最も好きだったのは、リッピのフレスコだったりしますからね~。
- 2009/01/08(木) 22:47:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]