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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

不動産 - 近所の人のこと

工事を始める前に、せめてお隣と上下の家には、挨拶しておこうと思い、手土産を持ってアパートを訪ねました。そのとき在宅していたのは階上のご夫婦のみでしたが、とてもよい感じの人たちで、内装の件を伝えると、うちはこんな感じなのよ、と赤の他人の外人のわたしを、気にすることもなくお宅に上げてくれたのでした。
もう三十数年住み、おそらくその建物では最古参のご夫婦。これから長く住むわけですから、隣人は重要で、とりあえず大変穏やかでよい人たちだったので、まずは安堵。
その二日後、電気技術者とのアポがあり、ランチ時間にアパートに行った際、階下の家を訪ねてみました。話し声がするようだったので呼び鈴を鳴らしても反応なし。2度ほど鳴らすと「どなた?」「あ、あの~、階上のものですけど…」「今忙しいので、後にしてくれるっ!」…。ウワ~、これはやばそうな感じ。声は中年のオバサン、かなりとがっていて、「くれるっ!」の最後の「っ!」に、かなりいやな気持ちにさせられました。
そしてさらに二日後、売主から電話が入り、実は階下の人が、工事のために自分の家の壁にひびが入ったと言っているんで、大至急連絡してくれ、ということでした(いまだに売主が絡んでくるのは、まだ正式な契約が発効していないからです)。え、階下の人?あのとんがった「っ!」の人ですか、といや~な気持ちになりました。やっぱりこんなに大規模な内装工事が必要な家を買ったのは失敗だったに違いない、お金も予期しない勢いで追加でかかっていくし、ああ、と軽く後悔の波に襲われます。
でもそんなことで嘆いていても仕方ないので、早速電話をしました。
「あ、あの~、上のもんですが、さっきMr.○○から電話で聞いたんですが、ひびが入ったとか…」「あ!そうなのよ、そう、ひびがすごいのよ。昨日、ちょっと外出して戻ったら、もう入っていて、漆喰の粉とか落ちていて」と、機関銃トークが、やっぱりとんがった声で、始まりました。ここは下手に出ないと、と思っていたものの、いつまでもやまない訴えに、やむなく話をさえぎり、「分かったので、今すぐ業者に電話して事情を説明して、対応策をすぐに折り返しますんで」と無理やり終了。はぁぁ、疲れた。後悔が毛布のようにどっさりと身体を包みます。
気を取り直して、業者に電話。すると彼はこの週末は用事でミラノにいないと。自分がいないから、週末は工事もないので、ひどくなることはないだろうと。そしてそういうことは古い建物の工事の場合、よくあることで、まさに日常茶飯事だから、驚くにはあたらない。今後、注意するようにするし、あとから勿論修理するので、その人にも心配ないように、また週末明けに早速訪ねるし、そう伝えろという指示でした。なぁんだ、日常茶飯事!後悔の毛布が、シーツくらいの軽さになりました。
すぐ電話をかけなおして話を伝え、わたしも挨拶方々お伺いすることになり。結局翌日の早朝ならいいわよ、ということで、8時にアポを撮りました。週末の朝7時起きは辛いけれど、これから長いお付き合いになるはずの人ですから、最初から悪い印象は与えたくありません。早めに起きて、手土産を持って、5分以上前には建物前に待機。8時ぴったりに呼び鈴を鳴らしました。
ドアを開けてくれたのは、完璧に化粧した派手な顔のオバサン。年の頃は、五十代前半というところでしょうか。もしかしたら後半にさしかかっているかも。「あらあら、どうも、いらっしゃい、入って頂戴、ほらほら、あそこ、ね、あそこのひびなのよ」朝8時、いきなり機関銃トーク炸裂です。


ウワー、これは思ったより割れている…。とりあえず写真撮影させてもらっている間も、彼女はしゃべりっぱなしです。「うち、どう?あなたのところとは違うでしょ、全部ドアを取っ払って、開放的でしょ、この台所、どうよ、全部アーキテクトにやってもらったから、いい感じでしょ、ほらほら、ここにコンパクトに食器洗い機が納まっているのよ、食器洗い機を持っているのは、このアパートでもわたしだけなのよ、あ、そこの天井の明かりもいい感じでしょ」ニコニコして、わたしの腕を引っ張って、いちいち見せてくれるのです。それでいて、こっちが相槌をうったりして話を広げようとすると、「これから出かけるし、ベッドもちゃんとしてなくて、ごめんなさいねぇ」などと、自分が会話の主導権をとり、こっちには相槌以上はさせません。そして不意に、「あ、じゃあ、今朝はわざわざどうも。週末明けに、業者の人と会うから、じゃあ」と、また腕をとられ、無理やり押し出されるようにアパートから出されました。
???たんに自慢しいのいい人なのか。電話でしゃべったときよりは険もないし、物分りもよさそうだし、ふーん。まぁとりあえず会いに来てよかったのでしょう。やはり顔を知っているのと、全くの他人とでは、対応が変わってきますし。それに、電話してすぐ訪ねたので、それなりの誠意は感じたのかもしれません。手土産はブランド物のチョコレートだったので、それも気に入ってくれたかもしれません(ブランドとか、すごく好きそうです)。

何はともあれ、こうしてご近所二組3名と知り合いました。これから長い付き合いで、どうなっていくのやら。

でも、さらに翌日、業者に撮影したひび割れの写真を見せると、あ、これは新しいひびじゃないな、もともとあったもんでしょ、だそうです。くそ~、やられた!結局水掛け論になるから、直すことになるだろうけど、ということですが、その経費は誰が持つの?!
ああ、やはりこんな古い家は、よせばよかったのよね、と涙が出そうになりつつ、でもまたまたの大雪で、雪景色の広がるバルコニーからの眺めに、慰められ、あ、やっぱりこのうち、気に入ったんだよね、仕方ないか、と思い直せました。とはいっても、一日憂鬱でしたけど。
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  1. 2009/02/03(火) 06:23:38|
  2. ミラノ-不動産の話
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コメント

No title

corsaさん、ロマネスクに全く関係ないけど、引き込まれています。たーぃへんな事の筈なのに楽しんでおられるようにも見える、なんかリアルタイムの面白さにフムフムと頷いているところです。確実に進んでます、ガンバレー!
  1. 2009/02/04(水) 09:41:00 |
  2. URL |
  3. otebox #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

正直、結構きついです~。でも最後までやるしかないので、がんばります!応援ありがとうございます!
次回からは、写真もがんがんアップしますよぉ。
  1. 2009/02/05(木) 22:06:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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