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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

マルケその3-Genga

ジェンガは、アンコナから汽車で1時間半ほど内陸に入ったところにある土地です。実はかなり有名な観光地。というのも、すごく大規模なフラサッシ鍾乳洞があり、その側には、温泉保養地があるのです。ロマネスク教会は、ついでの観光地になっていて、よほど物好きな人(つまり、わたしとかこのサイトを訪問くださるロマネスク・フリークの人々)以外は、この教会だけを目指していく人はいないだろう存在です。
わたしの目的は、洞窟や温泉ではなく、まさにそのロマネスク教会だったのですが、アンコナの観光案内所で、鉄道でジェンガまで行き、駅から、洞窟行きのバスに乗り、その途中に教会があるという情報を得ました。鍾乳洞とセットじゃないと、観光できないのかなぁ、という感じでした。
さて、寂れたジェンガ駅で降りると、駅前にバスが停まっています。あれがきっと洞窟行きに違いない、やっぱり不便な場所だから、汽車の時間に接続しているんだな、汽車が遅れたけど、待っててくれたんだな、よかったぁ!と早速乗り込もうとすると、運転手さんに止められてしまいました。そして他の人々はどんどん乗り込みます。え?何でわたしだけだめなの?外人差別?と思いっきり不審な顔をして、不満げに問いただすと、これは、温泉保養所行きのバスで、彼らは保養所のホテル宿泊者なんだよ、ということで、わたしだけ差別された!くらいに思っていたわたし、思わず赤面。
「洞窟だったら、駅の反対側に行くと、案内所と、連絡バスがあるから。線路を少し遡らないと踏切がないし、駅の向こう側行くので、そこまで乗せてあげるよ」と、運転手さんはとても親切でした。
駅で降りた人は結構いて、さすが有名な鍾乳洞、観光客結構来るんだ、と思っていたのですが、結局みんな保養所の滞在者で、鍾乳洞に行くために汽車でやってきたのは、私ひとりだったのでした。
さて、駅の反対側は、運動会が出来るほどの広場になっていて、屋台程度の造作のお土産屋や簡易Barみたいな店が軒を連ねています。案内所があったので、早速チェック。鍾乳洞は毎時のガイド・ツアーで、ツアー時間直前に、ここから連絡バスが出ると言うこと。なぜかと言うと、鍾乳洞の近くには駐車場がないので、訪問者はここに車を置いて、行く必要があるということ。また、ロマネスク教会は、その広場と鍾乳洞のちょうど真ん中くらいにあり、歩いてもたいしたことはないということなどの情報を得ました。
まずは鍾乳洞の入場チケットを購入。実はちょっと迷いました。ずいぶん昔、プーリアで鍾乳洞に入りましたが、それなりに面白かったとは言え、あくまでそれなりに。特に強い興味はなかったんですよね。それに入場料は15ユーロと結構なお値段。でも、実はすごくて、あとで後悔したらいやだしなぁ、たぶん二度と来ないし、と思い直したのでした。
1時間近く、お土産屋を冷やかしながら時間をつぶし、いざ16時のツアーに参加すべくバスに乗り込みます。いかにも南の田舎から来ました、という中年のおじさんおばさんの団体がいて、うるさいことこの上なし。かなりの人数です。この連中とガイド・ツアー、ちょっとうんざりです。洞窟までは2キロ弱らしく、あっという間につきます。途中車窓をチェックして、あれが教会だな、と大体の検討がつきました。
いざ、入場。ガイドは若い娘で、声の通りがよく、説明もてきぱきしていてとてもいい感じです。外人はわたしの他に英語圏のカップルがいましたが、彼らには、イタリア語で大丈夫?このあと英語ツアーもあるけど、と確認していましたが、わたしは思いっきり無視されました。イタリア語出来ますオーラでもでていたのでしょうか?
簡単な説明の後、通路を進みます。すでに冷気が押し寄せてきます。ここは一年中、気温が一定しているのだそうです。湿度はほぼ100%。寒いけど、湿度のために、深々冷えるという感じはないのです。
確かにすごいものでした。まず最初の部屋が、天井まで100メートル以上あるとか言う大きな洞窟で、ここが最初に発見されたとか。すべて巨大なのですが、暗闇であり、距離感が全くつかめず、あれが10メートルあります、何階建てビルと同じ高さです、と言われても、全然実感として把握できません。
往復で2キロくらい歩かされます。暗くて、ぬれているので滑りやすく、また階段や段差がたくさんあって、年寄りには無理かなと言う行程でした。でも田舎のおじさんおばさんたちはわいわいがやがや、楽しそうでした~。


今でも探検、調査、発掘など続けられていて、専門化向けのツアーもあるそうです。登山靴やザイルで身を固めて、観光客向けのライトのないところまで、行くそうです。過酷でしょうが、かなり面白そうでした。でも暗闇は苦手なので、わたしには無理ですね。

さて、歩きつかれて、地上に戻り、ほっとします。正直、鍾乳洞は、もう一生分見た、という気持ちでした。自然も好きですけど、どっちかというと、グランド・キャニオンとかアルプスとか、断崖絶壁から見る海とか、そういう雄大系の自然の方が好きで、鍾乳洞のように、実は雄大だけど、見た目内向的なのは、あまり趣味じゃないみたいです。

おっと、またロマネスクに無関係な話が長くなりました。
バスを待つのは馬鹿馬鹿しいので、徒歩で教会に向かいます。10分弱で、到着。


温泉保養所の入り口あたりに、ロマネスクのサン・ビットーレ・アッレ・キウゼ教会が建っています。洞窟まで、今は車の道になっていますが、かつては谷だったのでしょう。教会は、谷底と山の真ん中くらいにある平地にあります。小高い丘になっていて、昔大好きだった「小さいおうち」という絵本にあるかわいらしいおうちのロケーションみたいです。ここは絵本と違って、都市開発されるどころか、取り残される一方、という土地で、よくもこんなに美しく残されたものだという感じです。
丘の真ん中なので、ほとんど360度から観察できます。こんなにすっきり簡単に全体が見られる場所もなかなかありません。
訪ねたときは、ちょうどミサの最中で、中に入れなかったのが残念でした。入り口が開いていたので、しばらく外から眺めていました。身振り手振りが激しく、ひげを蓄えて、ちょうど絵にあるキリストのような風貌の方が説教していて、印象的でした。ちょっとカルト宗教のミサみたいでしたよ。
石。すごく石のイメージの強い建築です。外観は、意外とたおやかなのですが、中は、質実合憲、どっしり、がっしり。入れなかったのが、つくづく残念ですねぇ。だって、ミサ終わるのを待っていたら、アンコナ行きの電車に乗り遅れて、夕食も取り損ねるかもしれないし、でもこの日は、旅の最後の夜だったし、どうしても魚介類のフリット・ミスト(てんぷら)を食べたかったし…。ロマネスク、フリットに負けたんです。
笑うかもしれませんが、海辺でいただくフリットは、本当においしいんですから!

で、アンコナかえって、ホテルにも行かず、ほこりにまみれた状態でレストランに飛び込み、魚介パスタとフリット、堪能しました。レストランはしょぼかったけれど、フリットは期待通り、大変おいしいものでした!
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  1. 2009/02/05(木) 06:27:31|
  2. マルケ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

No title

午後からでもジェンガ行って帰ってこれるんですね。しかも洞窟まで見て。洞窟はたいがい見学に時間がかかって私もどちちらかというと興味が沸かないのですが、フラサッシも有名だからな。
ロマネスクがフリットに負ける。あると思います。
  1. 2009/02/05(木) 01:16:00 |
  2. URL |
  3. クリス #79D/WHSg
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No title

へへ、お恥ずかしい話です。
でも旅の醍醐味は、土地のワインと食事にもありますよね。
  1. 2009/02/05(木) 22:05:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

醍醐味は、チーズ味ですね・・・醍醐の語源。
イタリア。チーズも美味いからね。
  1. 2009/02/06(金) 02:52:00 |
  2. URL |
  3. クリス #79D/WHSg
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