いやはや、すごいアーチストっているんですよねぇ。知らなくて、本当にごめんなさいって感じでした。
アニッシュ・カプーア、インド人ですが、ずいぶんと昔からイギリス在住で、もう大御所。でも、今回のミラノ展覧会まで、まったく知らなかったんですよねぇ。現代美術好きといいつつ、そんなもんです。
ミラノで、数ヶ月前から二つの展覧会同時開催しています。まず夏休み中に訪ねたのが、我が家からトラム1本で行ける会場のインスタレーション。これは、度肝を抜かれたな~。こういう現代は、まさに実際に見ないと分からないです。
ダーティ・コーナーと名づけられたインスタレーション。まず、その巨大さにびっくり。上が入り口なんですが、人との対比で大きさが分かると思います。管になっていて、それが57メートル続きます。背の高さは3メートル。で、ここから入るんですよ。
そうすると、もうすぐに、行く手は真の闇になります。え、困ったな、と後ろを振り向くと、ほんのすぐそこにある入り口が、もぉ、遠い~!ボッシュの描く天国の光のような…、または臨死体験状態の光ですよ。
わたしは、闇に対する恐怖というのが結構あるみたいで、昔戒厳令下のクロアチアで出会った闇とか、ミラノ北部の山の中のトンネルの闇とか、本当の暗闇にであると、もうオタオタしちゃうんですよ。生まれたときから東京で暮らしていて、真の闇に出会ったことがないからだろうな、とは思うんですけれども。
この、インスタレーションの人工的な闇でもかなりオタオタしちゃって、うわ~、戻る?でもたったの3メートルくらいしか着てないのに戻るってどうよ?とか、結構悩んだ挙句に、何とか先に進みましたよ。のろのろと。長かったな~。どこまで続くか分からないだけに。前に入った人の背中を目標に進んだのに、その人はさっさと歩いていくから、すぐに闇になっちゃうし。
で、やっと出口に。
すっごい開放感とともに、あ~、面白い~と心底感動しました。体験型インスタレーション。これはすごい!
会場では、アニッシュ・カプーアのインタビューを含む20分ほどのビデオも流していまして、彼の過去現在の作品がよく分かる内容で、ありがたいことにイタリア語字幕だったので、それも楽しめました。実に素晴らしい展覧会ですよ、これだけなんだけど。
で、もうひとつの展覧会にも足を運びました。こちらは比較的小さな作品が数個。
撮影は厳禁だったのだけど、こっそりと…。
こちらの会場の主作品は、鏡面を利用したもの。ビデオで、シカゴの野外に置かれた、鏡面の作品を見ていましたので、あ、あのバリエーションかと思ったわけですが、これがやっぱり、実際に見ないと分からないもんですね~。
鏡面の加工が、おそらくすごくいろいろ研究されているんでしょうねぇ。上のように、素直に対面の風景を写すものと思っていると、実は、そうじゃない加工のされた鏡面がほとんどで、距離感から上下、左右の感覚、すべてがあいまいになるような効果なんです。びっくりしました。アーチストもすごいけど、製作を請け負う職人さんもすごい!
それにしても、すごい…。
こちらの会場で最も大きな作品は、My Red Homelandという赤いロウを大量に使ったもので、本来は動く、というのが眼目だったらしいのですが、残念ながら動いてなくて(そのために入場料は割引だったのが、妙に良心的)。しかし動いてなくても、その存在感たるや、すごいものでした。
アニッシュ・カプーアで検索すると、ネットではきっといろいろ出てくると思いますので、あまり細かいことは書きません。でも、機会があったら、是非訪ねてください。面白いこと請合います。
特にミラノにアクセスできる方、ダーティ・コーナーは行っといて損ないです。これ、パリとかロンドンとか東京の展覧会だと、入場制限できちゃう作品ですけれど、ミラノのありがたさ、入り放題、往復し放題、やりたい放題の遊び方ができます。会期が長いので、わたしももう一度くらい行っちゃうかも知れません。
Anish Kapoor in Milano
Rotonda di Via Besana until 9 Oct 2011
Fabbrica del Vapore until 8 Jan 2012
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- 2011/09/17(土) 04:40:48|
- アートの旅
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