パラッツォ・ピニャーノ、続きです。
ここの面白さ、実はロマネスクだけじゃないんですよ。
この、ちょっと壊れちゃってて、付け柱なんかも半端になっちゃって、でもそれはそれで味のある後陣の周囲は、緑が広がっています。ここら辺、実はローマ時代、地域の貴族の大邸宅があった場所なんです。
ロマネスクよりもずっと遡ったローマの遺跡も楽しめちゃう、グリコのように何度も味わえる場所なんですよ。
ローマ遺跡は、残念ながら、お屋敷のほんの一部しか残っていません。
でも、こんな素敵な床モザイクがあったりします。
これは、大邸宅の、レセプション用の建物の部分。
全体像は、こんな感じ。
手前に円形の中庭があって、右側にある建物、これが、大邸宅のレセプション部分で、この建物部分にあったモザイクが、上のもの。当時、ローマもかなり時代の下った頃だそうですが、とても有力な貴族のお屋敷だったようで、床暖房付の大変豪華な施設だったんだそうです。このずっと右の方に、本宅があって、そちらも、基礎部分だけが発掘されています。
下は、床暖房があった部分。床下を暖めて、上に暖気が行くようになっていたとか。そして、汚れた空気の排気口などもちゃんと備えられていたんだそうですよ。
建物前の円形の部分は、広大な中庭で、当時、敷地の外に出れば、とんでもない輩がうろうろして大変危なかったことから、家の中で馬の運動をしたり、子供が遊んだりできるようなスペースになっていたんだそうです。
面白いと思ったのは、この遺跡が発見された経緯。
前世紀の話ですが、このあたりの土地一帯を所有するのが、大変中の悪い兄弟だったそうです。ある日、もう我慢ならん!と、一方が鋤で、思いっきり境界線を掘り出したんだそうです。そうしたら、堅いものにぶち当たって、鋤は壊れるわ境界線は作れないわという散々な目にあいます。それで、そのぶち当たったのが、この円形の中庭の基礎だったということなんです。兄弟げんかもするもんだ、という教訓かな。
話を戻しますが、上にある絵の中の、左側の建物は、前回紹介した、初期キリスト教の円形の教会。これは、この貴族の人たちの私的な教会という役割をになっていたようですね。
こういう面白いお話、実は教会の対面にある、とても地味で小さな博物館で、学芸員さんに聞いたのです。一見ただのおばさんにしか見えない方だったのですが、ちょっと質問したら、もう止まらない…。
私も急ぐ旅ではなかったので、じっくりと話を聞かせてもらったのです。面白かったです。10年ほど前に交通事故の後遺症で足が不自由になる以前は、発掘で世界中の遺跡を飛び回っていたんだそうです。え~、とてもそうは見えないのが面白い!
だから、ガイドも熱心なわけで、私は実は教会が目当てで来たんだけども~、といっても、嫌な顔ひとつせずに、教会のお話もいろいろとしてくれました。
ローマのあと、ロンゴバルドも定住したんだそうです。だから、遺跡からは、ロンゴバルドの金貨なども出てくるとか。
で、お墓もあって、そこから出てきた骨を、現代の科学技術で復元したフィギュアがありました。
これ、すごいんですよ。頭部が、本物の肌のように、微妙に柔らかいんです!耳たぶなんで、引っ張ると伸びちゃうんです。犯罪捜査などにも使われる、最新の技術を使った作品ということです。とても気持ちの悪い感触でした。
何でこんな格好しているのかと思うでしょうけど、こういう形で葬られていたんだそうです。もう老人で、歯がほとんどないので、ほっぺたが引っ込んで変な顔なんですけど、でも、こういう人いるよね、というリアル感。夜見たら怖そう。
おばさんの携帯が鳴ったので、あ、では~、と辞去するきっかけを得ましたが、それがなかったら、まだ延々とお話を聴いていたかも。いや、楽しい古代史レクチャーでした。こういうことがあるから、マイナー地域の遠足は楽しいですね。
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- 2011/11/23(水) 05:44:48|
- ロンバルディア・ロマネスク
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| コメント:2
こういうのを見せていただくと、またイタリアに行きたくなります。Italia nell'Arte Medievaleは虎視眈々と眺めてきましたが、気がつきませんでした。
- 2011/11/23(水) 04:37:00 |
- URL |
- kik**o193* #79D/WHSg
- [ 編集 ]
Kikukoさんも気付かなかったんだとすると、あのサイトも、ひそかにアップデートしてるんですね!
やっぱり、まだまだ、ヨーロッパ呼んでますよ!身体がお元気なうちは、是非、情報を発掘して、旅してほしいと思います!
- 2011/11/25(金) 22:12:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]