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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ヴェローナ・ロマネスク 11

ドゥオモの脇にあるサンタ・エレナ。


たたずまいからして、起源が相当古そうなことが分かりますよね。前回書いたとおりに、残念ながら、内部へのアクセスは今回も果たせず。次回、是非夏季に来て、ドゥオモから入りたいと思います。
ファサード前のポルティコ。


とても小さな空間ですが、過去の歴史の集積を視覚化したようなたたずまいで、なんだかとても好きでした。
ドゥオモには観光客もそれなりに来ますけれど、そして、このサンタ・エレナは、ドゥオモの左のわき道をちょっと入ったところにある極近い場所なんですけれど、中世好きでもなければ来ない、っていうか多分知らないので、誰もいないよさもある空間です。
誰もいないって言っても、住んでいる人はいるわけで、自転車がそれを物語っているかも。
このサンタ・エレナの前に、素敵なキオストロがありますけれど、これも、結構無名っぽい。


これまた、これだけでヴェローナを物語るような繊細かつ優美な回廊ではありませんか。二段構えで、なおかつその細さ、繊細さって言ったら。
全部がこういう感じだったんだったら、さぞや素晴らしいものだったでしょうが、今二段構えが残っているのは、この面だけ。
この面だけといっても、美しいことに変わりはありませんね。


このキオストロのすごいところは、実は、今現在、取り囲む部分は一般住宅になっているということかも。様は、二階部分以上は一般家屋で、普通の人が暮らしているんです。
だからキロストロの入り口にも、「ここは一般の住宅なので生活を邪魔しないように」という但し書きがちゃんとあるくらいです。
中世のこれほど美しい回廊を、我が家の庭のように使う生活って、なんか想像ができるようなできないような。実際、私が写真を撮りまくっている間にも、帰宅される方がいたりして、「ボンジョルノ」なんて挨拶を交わしました。
こういう風にプライベートになってしまうと、入り口は閉ざされるケースが多いのですが、ここは太っ腹に開放されていますから、すごいことです。それだけ、人が来ないということかもしれません。
実際、かつては栄えていたのでしょうが、現在のドゥオモ周辺は、どちらかというと住居地域で、繁華街ではありませんし、旧市街とはいえ観光的にもはずれになりますからね。

なぜ、半端な場所にキロストロがあるかといえば、おそらくかつては、隣接して教会があったはずなんです。回廊の入り口部分に、現在より低かった昔の地面のレベルまで掘り下げた場所があり、そこにモザイクが見えます。


この柱がかつての教会の一部だったのだとすると、ここの土地には、何層にも歴史が集積しているはずなんです。キオストロの前の時代の古い教会があって、その後の教会や修道院の会った結果としてキロストロがあって、それも分からなくなって、残っているのが、現在のドゥオモやサンタ・エレナということになります。

考古学的発掘も、一体どこまで遡るべきなのか、掘り返して、どこまで残すのか、埋め戻すのか、開発するのか。こういう歴史の集積を目の当たりにすると、このイタリアという土地の難しさが分かるような気がします。そういう中で、よくここまで発展したな、と思う部分も強くあるのです。ま、現在の金融危機はおいといて、ですけれど。

ヴェローナは全体として、実にユニークな土地ですね。
今後、いろいろと資料を読み込んでいくのが、あらためて楽しくなってきました。

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  1. 2011/12/24(土) 06:24:14|
  2. ヴェネト・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

ヴェローナは、途中下車と日帰りでドゥオモしか見れませんでした。
ちょっと歩くとこんな綺麗な回廊があったのですね。素敵なポルティコは植物が映えていてそんなところで生活できるなんて豊かだ~。
興味深い記事ありがとうございます。
  1. 2011/12/26(月) 04:55:00 |
  2. URL |
  3. - #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

うわ~、途中下車と日帰りだけで、ドゥオモを見ているとは恐れ入ります。だって、ヴェローナって言えば、ロミオとジュリエットだし、アレーナのオペラだし、それ以外を見る人って、限りなく少ないと思うんですよぉ。
  1. 2011/12/26(月) 23:01:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

そういって頂けるといったかいがありました。(^^) でもヴェネツィア方面(アゾロだったかも)に行く途中で慌ただしく
"辿り着いただけ" という感じで、もったいなかったです
(^^;;
次回は、ジュリエッタの胸を撫で、オペラを堪能したりの優雅な旅もしてみたいです。
  1. 2011/12/27(火) 11:18:00 |
  2. URL |
  3. - #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

アゾロですか!どこまでもマイナー目的地ですね!
アゾロは、二十数年前に、バサノ・デル・グラッパの知り合いの方に連れて行っていただいた思い出があります。懐かしいなぁ。おばさん、元気かなぁ。
  1. 2011/12/27(火) 21:45:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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