ジェノヴァ その1
ジェノヴァのロマネスク、ってどうでしょうか。実は私はほとんど興味なかったんです。リグリアのロマネスクといえば、以前、超天候を押して出かけたサン・フルットゥオーゾしか訪ねたことがなくて、しかし、あそこだけではサイトにまとめるには物足りないし、ということで、ノーリのサン・パラゴリオに行こうと思っていたのです。なのに、計画した日、たまたまサン・パラゴリオがお休みの日だったんです。列車のチケットを事前に買ってしまっていたので、無駄にしたくない一心で、ジェノヴァ行きとなった次第。
でも、調べると、実は結構それらしいものがあるんですよ。
ジェノヴァと言えば、コロンブスの出身地でもあり、大航海時代に栄えた印象が強くて、ロマネスクが発展したそれ以前の時代に関しては、何の印象もなかったのですが、考えたら港湾都市だから、他の土地との交流交易も激しいはずで、どの時代にもそれなりに繁栄していたとしても不思議はないのですよね。
とはいえ、やはり大航海時代以降の繁栄が著しいため、中世の遺構は、かろうじて残っている、というケースが多いのも確かです。
では、始まり始まり!
まずは、ジェノヴァの中央駅であるポルタ・プリンチペからメトロに乗って、一気に旧市街の中心地に向かいます。最初に出会うのが、サンタゴスティーノ教会(Sant'Agostino)。
お、いきなりジェノヴァっぽい縞々です。
この教会、すでに2世紀前から、教会としての機能はなくなっていて、今では博物館として転用されています。全体に妙にのっぺりと修復されてしまっているし、やはり現役でない教会は、宗教的なオーラを失いますね。
それでも、古い石版なんかがはめ込まれていて、これなど、1289年10月という日付が読めます。
ロマネスク的にはちょっと新しすぎますが、でも、この石版の時代には、教会は現役だったんですよね。
キオストロに入るための扉口には、神の子羊の浅浮き彫り。ちょっと新しいかな。でも全体から見ると、そこだけちょっと空気がね。
そのキオストロ、なんと三角形しているんです。
中世後期に作られた、教会に付随してあった修道院のキオストロらしいです。もともと三角なんですよ。おそらく、地形上、三角でしかできなかったんでしょうね。そのせまぜましい感じが、ちょっと侘びさび入ってて、妙に愛らしいです。装飾も、回廊を囲う円柱の縞々だけというのも、かえってすっきりとしてよろしいかと。壁が白々と塗られてしまっていて、少々味気ないとはいえ、オリジナルもこういう感じだったのではないかな~、と思わされるようなたたずまい。といっても、ジェノヴァのロマネスク一発目ですから、本当のところは分からないで、見てますが。
反対側には、鐘楼が見えます。
これは1400年代のものなのですが、ロマネスク様式になっていますね。二連窓や四連窓の、優美な円柱で支えられているアーチ、そして層を区切る部分はレンガをぎざぎざ模様にしていたり、アーチの内側に、ロマネスク時代には多色陶器の大皿をはめ込んでいたところには、タイルで幾何学的なモチーフがはめ込まれています。レンガが、確かに新しいなぁ。
もうちょっと近くから見たいな、と思い、教会をぐるりと周ったのですが、全体に家が建て込んでいる地域で、反対側からは鐘楼の姿すら見えなくなってしまうのでした。ジェノヴァの旧市街は、建物の建て込みがすごい上に、アップダウンが激しいので、ちょっと位置が変わると、景色が全然変わってしまうんです。
ジェノヴァの町を面白いと思ったことがなかったので、実はロマネスク探訪もあまり気が進まなかったのですけれども、ここですでに、これは面白い町だ!と思い、うれしくなりました。
続きます。
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- 2012/01/31(火) 05:49:38|
- リグリア・ロマネスク
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