ブリオネ11
とんとんと進みます。
次に訪ねるのは、セミュール・アン・ブリオネSemur-en-Brionnaisの、サン・イレール教会Eglise de Saint Hilaire。
高台にある村で、冷たい風がびゅんびゅんと吹き抜けるようなロケーションで、本当に震え上がる寒さだったのをよく覚えています。朝も昼も抜きで歩いているので、寒さがますます身に沁みるって言うか。
でも、こういう印象的なたたずまいに出会うと、そういうこと、一瞬忘れます。
ここでも、フランスっぽい大きな塔が目立っています。
大きいけれども背は低くて、そして装飾はとても繊細です。この開口部の、切り込み?イタリア語だとStrombaturaと言うやつだと思うのですが、何重にも奥行きが作られていて圧倒的。側柱にも窓の中央部にある円柱にも、それぞれ装飾の施された柱頭が乗っかっていますし、下の段は、盲アーチになっていますが、アーチの上に、市松模様の帯状装飾など、本当に凝っています。
でもこれ、なぜ下の段は閉じてあるのでしょうね。イタリア的感覚から行けば、必ず開口部となりますよ。トップの部分をより強調するためでしょうか。ここも開いているよりは、壁のようになっていることで、確かに、トップの開口部に目が行きます。
後陣装飾は、ちょっとつまらないのが残念でした。これは、後代に修復されたか、後代の時代の装飾か、どちらかわからないですが、いずれにしてもこちらが求めている創建時同時代の装飾ではなさそうです。付け柱ではなくて、明らかに補強用と思われる支え柱が取り付いているし、大きな窓が開けられているので、このあたりは、ゴシック時期以降に大きく手が入ったものと思われます。
もうひとつ全景。
翼廊部分にもファサードが取り付けられているし、全体に相当手が入っているのですね。改めてみると。確かにちょっと、近寄るにつれ、あれ?と思った気がします。このあたりが、やっぱりフランス・ロマネスクなんでしょうねぇ。っていうか、わたしが要求過度なのかな。
ここはあそこでしょ?といらいらされている方がいるかも。そう、ファサードにある扉周りの装飾が、この教会を訪ねた第一の目的です。これ。
全体の装飾はわずかなので、この扉周りのごちゃごちゃに入り組んだ装飾浮き彫りは、なんだか全体の中では異質で、どうなっていたんだろうと思います。
続きます。
スポンサーサイト
2012/06/20(水) 05:01:34 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
| トラックバック:0
| コメント:2
塔の装飾がここまでされているのは初めてみました。こういう隅切りをイタリア語では・・ なんて読むのでしょう。この単語二つの後が合成されていてそれぞれ意味があって隅切りになっているのかな?
『ロマネスクの聖堂』河出書房新社・ふくろうの本、ではエブラズマンとよばれています。
ところで塔の下の段が塞がれているのは、よく高い鐘塔だと上にいくほど窓が二連、三連と開口面積が広くなっていくのがあって、それは上を軽くする、風通しをよくして 倒壊を防ぐなど構造上の理由があることが説明されているので、それもあるかな、とも思いました。
上の段と下の段は同時期ですか?トゥルーズのサン・セルナン(ここの塔も華やかです)では上がゴシックになっていますが、塔って後から付け加えることがよくありますよね。上と下、ちょっと雰囲気が違う、と思って。
朝から食事の支度もせず見入っていしまいました。今旅行が出来ないので、このブログを拝見するのが至福の時間なのです。
2012/06/19(火) 22:46:00 |
URL |
yk #79D/WHSg
[ 編集 ]
ykさん
そうか、隅切りでしたね。イタリア語だと、ストロンヴァトゥーラといいます。
そうですよね、イタリアだと、たいてい四角い鐘楼で、下から、一連窓、二連窓、三連窓、三連窓の横並び、みたいな感じでどんどん開口部が増えていくのが普通ですね。
ここは、確かに時代も異なるかもしれませんね。でも装飾の多い上の部分も、ロマネスクのアーチに柱頭という感じなのですよ。
高さはないので、軽くするとか軽快感を出すとか、多分そういう必要もなかったと思うんですけどね~。
楽しみにしていただいて、ありがとうございます。なるべく休まず、早く全部アップしたいものです。うかうかしていると、次の旅が始まって、写真がたまるばかりなので。
早く、また旅ができるようになるとよいですね。
2012/06/21(木) 21:27:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
[ 編集 ]