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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ロマーニャ・ロマネスク6

次はどこに向かおうかと思った頃、ちょうどランチの時間。回っている場所は、あまりの田舎ぶりでバールもありませんので、ちょっとだけ観光地化しているクラッセClasseに向かうことにしました。ラベンナ郊外で、美しい後陣のモザイクで有名な教会サンタポリナーレ・イン・クラッセS.Apollinare in Classeがあります。


ラベンナは、最初に訪ねた頃から、大体十年に一回、というペースで訪ねている気がします。クラッセは、ラベンナの旧市街からはちょっと距離があり不便なのですが、緑を基調としたモザイクが好きで、必ず訪ねることにしています。
最初に訪ねたのは、もう二十年以上昔で、まだ一般的な認知度も低く、モザイクのあるすべての教会や洗礼堂は、無料でいつでも誰でもアクセスできる状態でしたし、ホテルも少なくて、旅行者にはあまり優しくない町でした。それが、世界遺産に認められた頃から様子が変わってきて、ホテルはどんどんできるし、町はこぎれいになるし、教会入場は有料になるし、もともと何もない草原の中に、ローマの遺跡とともに一人ひっそりと残されていたこのサンタポリナーレ教会の周りにも、ホテルやレストランができて、大いに様変わりして、驚愕したものです。
今回訪ねたら、前回よりもさらに整備されていて、いやはや、という気持ちでした。
それでも、本来訪ねるべきサンタポリナーレのたたずまいはそのままで、それはそれで嬉しいものでした。

この丸い鐘楼。


これは、このラベンナ地域特有のものです。ラベンナの影響のある場所に、時々ありますけれど、完璧な姿で残っているものは、やはりこの発祥地域のみではないかと思います。時々あるように、天辺に三角屋根が乗っけられたりすると、すっかりと全体のバランスが変わってしまいますので、やはり本来のこういう円筒形のみ、すっきり、という姿がよいですね。
遠目ではよくわかりませんが、細部に凝っていますよ。


下の方に入っている市松模様。レンガの色が、様々で、その積み方だけでも美しいのですが、こういうしゃれたモチーフが所々に入っていて、その変化が楽しいのですよ。
上方に向かうにしたがって、ただの穴ぼこから、一連窓、二連窓、三連窓、そしてそれぞれの横並びダブル、と、開口部が広がって、イメージ的な軽快感と、実際の重量の軽量を図る構造は、ロマネスクによくある四角い鐘楼と同じ構造になっています。
窓の部分は、とても地味ながら、ちゃんと装飾もありますよ。


時代が古いだけに、窓も小さいですね。大きい窓を開けてもなおかつ頑丈な構造を保つ技術がなかったのでしょう。
それにしても幅の狭いこのレンガの美しいこと。うっとりと眺めてしまいましたねぇ。
ファサードは、初期キリスト教教会スタイルです。


超地味なのですが、本来初期キリスト教やロンゴバルドが大好きなわたしは、こういうファサードを見ると、どきどきしてしまいます。
本堂に入ります。
いきなり、これまでの旅では一度として注目しなかったものに目を奪われました。そういえば、二十年前はもちろんとして、過去直近に訪ねたときは、ロマネスク探訪を始めて間もない頃で、まだ初期キリスト教とかロンゴバルドに対する思い入れがほとんどなかったはずですので、気にしないのも当然。しかし、今回は、既に何度も見ているモザイクを尻目に、新しい発見に興奮して、そちらばかり注目してしまいました。
次回、紹介しますね。

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  1. 2012/07/13(金) 05:25:33|
  2. エミリア・ロマーニャ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

写真を見た途端ラベンナみたい、と思ったのですがラベンナだったのですね。2001年に行った時は日曜日でミサの途中に入ったせいか入場料はいりませんでした。緑のモザイクに夢中、壁際に置かれていた石棺、前方にあった昔の床モザイクなどはよくおぼえているのですが、円塔のレンガ組までは注意がとどきませんでしたのでエエーッこんなに素敵だったのだ。ポーチのような入り口もエーと思いつつ、まだ初期ロマネスクとかの知識がなくこういうのもあるのだなーでした。見る目がないとダメですね。今回の corsa様のブログ目を皿のようにして楽しませていただいています。
  1. 2012/07/12(木) 22:57:00 |
  2. URL |
  3. yk #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

円筒形の鐘塔良いですね。ラベンナ周辺にしか残っていないのですか・・・1991年と1999年に訪ねて、この塔をバックに写真を撮りました。塔とモザイク以外は私はあまり憶えていないのが寂しい~。1991年にはすでに聖堂の横にレストランができていて、ツアーのランチはそこでした。2回目は娘とフリーでしたので、帰りのバスがなかなか来なくて疲れました。思い出ばかりですみません。
  1. 2012/07/13(金) 07:25:00 |
  2. URL |
  3. Teruteru #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

ykさま
ラベンナはどの教会も見るべき場所が多すぎて困りますよね。しかし最初から、石棺などチェックされているのはすごいですね。今日の記事を見てもらえば分かると思いますが、私など、後陣モザイク以外、何一つ見ちゃいなかったですね。それも過去3回ですから…。笑。
  1. 2012/07/13(金) 22:00:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

Teruteru さま
私が最初に訪ねたのは、多分88年とか89年とかで、周辺には、本当に何一つなかったんですよ。ラベンナ発のバスの運ちゃんが、この教会に行くならここで降りるといいよ、と、停留所でもない場所で停まってくれたような記憶があります。おそらく、そのくらい個人で来る人なんかいない時代だったのでしょうね。91年にはレストランがあったというのは、驚きました。いまや一大観光地ですが、それでも、教会の空気はしっかりと保たれていて、悪くなかったです。
  1. 2012/07/13(金) 22:03:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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