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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ロマーニャ・ロマネスク9

クラッセClasseサンタポリナーレ・イン・クラッセ教会S.Apollinare in Classe、続きです。
石棺、もうきりがありませんので、この辺にしておきます。
石棺の他にもうひとつ、これまで完全に見逃していたもの。これまた石棺同様、存在すら気付いていなかったんですから、お恥ずかしい。
これ、左側廊の突き当たりにある、チボリオ。


これ、昔からあったんでしょうかね。あったんでしょうね、間違いなく。
以前来たときは、まだ隅々までチェックを入れる、という習慣もなかったし、ロマネスクめぐりを始めてすぐは、正直何をどう見たらよいのかわからなかったし、また自分の好きなものというのもきっちり把握していなかったので、わからなかったのは無理もないかな。
今回、特に予定していなかったクラッセですが、本当に立ち寄ってよかったです。空腹に感謝(ランチのために立ち寄ったようなものですから)。

さて、チボリオ。
これまた、素晴らしくわたし好みなんですよ。
四本の渦巻き装飾のある優雅な円柱に支えられた天蓋。円柱の下部はモチーフの異なる垂直形の装飾で、実にしゃれています。床は、かなり傷んでいますが、モザイク。往時は、さぞや美しいものだったのではないでしょうか。でもこれだけのものですから、本当は主祭壇に置かれていたものなのかな。本来、こんな隅っこにあったわけはないですね。
S.Eleucadioのチボリオというそうです。
千年ごろに壊されてしまったこの地域にあった教会にもともと属していたものだそうです。チボリオの製作は9世紀。まさにわたし向き!



9世紀に作られたことなんかが、この天蓋の下の軒送り部分に彫られているようですよ。
こういうのって、石版の一部が残されていることは多々ありますけれど、全部が形として残っているものってとても少ないと思うので、見ることができて(というより、気付いて)、本当に嬉しかったです。
アーチの組紐模様も、柱頭のお干菓子ぶりも、角っこのとてもシンプルな葡萄蔓も、すべてが愛らしい~!



こちら側の角っこは、不死の象徴孔雀が二羽、ちょうどスペースをうまく使って彫られています。



外側だけでなく、内側も、びっしりと浮き彫りです。



様々な十字架文様が、どれもとても素敵。うっとりします。
この頃の装飾は、空間を埋める、建築と結びついたものですけれど、とにかく執拗に埋めようとしたアラブ様式とは違って、適度なスペースがある、ゆったりとした感じが、私には好ましいのですねぇ。
これなんか、そういうものの典型。



ある意味、現代のイラスト風って言うのか、この葉っぱは、おそらくアーカンサスと思いますが、ローマのアーカンサスから、どうしてこういうものができたのかと、ロンゴバルド起源の人たちの感覚のすごさを感じてしまいます。
細かくしつこくてすみませんが、まだ続きます。

イタリア・ロマネスクは、こちらでもどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2012/07/18(水) 05:43:19|
  2. エミリア・ロマーニャ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

corsaさんから入ったわたしのロマネスク道ですから、思わずもらい泣き(感涙です)しそうでした。拙さを併せ持つ素朴な佇まいこそロマネスクの真骨頂!ですよね。
ぐだぐだ言ってないで、やっぱり行かねばと思いました。
  1. 2012/07/18(水) 01:11:00 |
  2. URL |
  3. otebox #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

oteboxさん
わ~、そんな風に刺激できたんだったら、本当にクラッセ、立ち寄ってよかったな~。
今回はラベンナは行かなかったのですが、こうなると、あらためてまた訪ねないといけないな、と私も思っているんです。わたしの傾向として、中世でも、より古いものに行きつつあります。
  1. 2012/07/18(水) 21:55:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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