トゥーブレTubre (Taufers im Munsterial)のサン・ジョバンニ教会(San Giovanni)、続きです。
危うくうっかりと忘れて帰ってしまうところでしたが、この教会、二階があります。
ファサードから向かって左側の側面に、このような階段があります。
ファサード寄りの外壁にでっかく、旅人の守護聖人サン・クリストフォロが描かれています。このモチーフでは、チロルで最も古いものだそうで、1220/30年ごろに描かれたもの。
階段を上り、小さな扉から中に入ると、ほとんどの壁が漆喰で真っ白に塗られているせいかやけに明るく、がらんとしたスペースですが、ほんの一部、フレスコ画が残されているのです。
1階の、教会入り口部分のアトリウムの真上にある場所に、1200年ごろのフレスコ画が見られます。上の部分はもうほとんど残っていないのですが、一連のストーリーものが描かれていたと考えられています。
一方、下の部分が、一部ですが比較的よく残っています。というより、執念で修復した結果という感じもします。
額縁模様に縁取られて、それぞれの中に、独特のモチーフが見られます。
ダチョウにも見える鳥の姿。
その他幾何学模様や、二股の尾を持つ鷲とか。
最も右側には、働く職人さんの姿が二人、描かれています。
モルタルを作っている左官屋さん。モルタルって、石灰を燃やして作るんでしょうか?その火を消しているところらしいです。ずいぶんとマニアックなモチーフのような…。
頭がちょびっとと、筆を持った手だけが残っているのが、妙に面白い効果を生んでいました。筆の持ち方が変なのも、気になります。
使徒や聖書のエピソードよりも、こういう絵が残っていたら、個人的にはもっと楽しいんですけれど。職人さん、柱頭の彫り物では結構ありますけれど、そういえば、フレスコ画ではあまり見たことがないかも?どうでしょう?
これは、どこにある絵だったのか。多分聖人の一生が描かれていた部分のひとつと思われます。
頭を落とされた聖人って一杯いますよね。怖いですけれど、首を受けている人が妙に穏やかな顔で不思議。どういう場面なんだろう…。
というわけで、トゥーブレ、おしまい。南チロルの典型的なフレスコ画をたくさん見られるという意味で、お勧めですね。
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- 2012/11/23(金) 06:27:59|
- チロル・ロマネスク
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ヨハネの斬首は下の部屋からアーチがあがってきたところのカーブのところに描かれていました。それが上の部屋からよく見えたのです。corsa様のお写真でも左にカーブが見えています。私達は中の階段から上がりました出るときは外階段を使ったと思います。ダチョウの絵もあったのですね。これは見逃しました。
- 2012/11/23(金) 02:00:00 |
- URL |
- yk #79D/WHSg
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ykさん
さすがです、チェックが細かい~。
このチロルの旅では、基本的に特にロマネスクに興味がない同行者と一緒だったというのもあるのですが、あちこちでうっかりを繰り返しました。やはり一人の方が集中できますね。勿論、それはそれ、ですけれど。こんな場所、とても一人じゃ行けやしないし!
- 2012/11/23(金) 19:03:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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三原色さん
キリスト教のこういう逸話って、激しいですよね。首を落としたり、身体のあちこちになんか刺さっていたり、おいおい、って言う絵がたくさんあります。幸いロマネスクの場合は、そういう場面も陰惨にならないのがよいのですが。
私は信仰がないので、そういうものへの思いというのが、分からないんですよ。当時、こういうものをみた普通の人々が、どういう風に感じたのか、ということを想像するのも難しいんです。
- 2012/11/23(金) 19:05:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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