Tubreまで来たら、スイスとの国境はすぐそこ。そもそも、このトゥーブレのある谷は、修道院谷という名前で、名前の起源にはミュスタイアも関係しているはず。国境は後付でできたもので、国境を越えてつながっている一連の谷なのです。
面白いのは、南チロルはロンゴバルド圏だったのに、このミュスタイアは、ぎりぎりカロリング朝の領土であった場所なので、文化的起源はカロリングとなり、南チロルとは異なるようです。領域的に文化圏が混ざる境界の土地なんですね。そういう古い歴史があって、きっと国境も引かれたということなのかな~。
このあたりは、ちゃんと調べると面白そうなので、サイトにまとめるときにがんばって勉強したいと思います(例によって、遠い未来の話になりそうですけれど)。中世初期のカロリングやロンゴバルドはいつでも大変興味のある時代なんですが、資料が少ないので、なかなか難しいんですよね。
では、ミュスタイアMustairの、サン・ジョバンニ修道院Convento di San Giovanni。
スイスはEUではないので、しっかりと国境でのパスポート・コントロールがあります。といっても、イタリア側の係員は、赤いパスポートをちらりと見ただけで、「さっさと行け」と言わんばかりに手をひらひらさせて、なんだか緊張感ゼロの国境。
スイス側は、こんな穏やかな風景が広がっています。トゥーブレからほんの15分くらいで、ミュスタイア到着。まさかこれほど近いとは思っていませんでした。
修道院と道路を隔てた場所に、巨大な駐車場完備。さすが世界遺産。
道路側に入り口があり、小さな礼拝堂、墓地、そして修道院の建物となっています。よい全景写真が撮れず、残念。
もともとは広大な敷地を有する修道院だったようで、今でも現役です。実際に暮らしている修道女たちがいらっしゃるので、彼女たちの邪魔をしないように、見学も一部だけ限定的な公開をしています。
起源は1200年ごろですが、それ以来、オリジナルの建物が壊されることはなかったものの、延々と修復や建て増しやいろいろな手が入って、時代が混じり、複雑な建物になっているようです。
入場します。
世界遺産だけあって、かなりの観光地化で、立派なブックショップあり。入場料はスイス・フランで、10/12フラン。
チケット売り場のおばさんは最悪で、英語やイタリア語がしゃべれるくせに、なぜかわれわれを胡散臭そうに取り扱い、なぜ10とか12とか言ってるのかもよく説明してくれず、かなりむかついてしまいました。日本人に、嫌な思い出でもあったんですかね~。
後からもっとむかついたのは、修道院の一部が、博物館のようになっていて、そこはフリーでも一部見学できますが、基本的にはガイド・ツアーでないと、多分全部は回れないというシステムになっているんです。それをちゃんと説明してくれなかった上に、そのガイド・ツアーつきのチケット(12フラン)を買わされていたんです。
幸い、運よく、博物館を出るときに、ちょうどイタリア語のツアーが始まったので、たまたま参加できたのです。
その前に、勝手に自分たちで見ていたのですが、やはりガイド・ツアーだと、多くのことがわかって面白さが増しますので、本当によかったです。
英語とドイツ語が主だと思いますが、人の多い時期は結構頻繁にやっているはずなので、訪ねる方、気をつけてチャンスを逃さないようにしてくださいね。
ちょっと外国に出ると、コミュニケーション能力の低さに毎度愕然。イタリア人って、この点に関しては、かなり優れているのです、きっと。
さて、まずは教会です。
ここのカロリング時代を含むフレスコ画は大変有名なので、かなり期待していたもの。
しかし、教会内部の壁、ほとんどすべてがフレスコ画で覆われていて、全体に背が高くて絵も遠く、よく見えない上に、どこから見たらいいのかわからず、意味もなくあわあわしてしまいました。
まず目に留まったのは、普段見慣れている、ロマネスク時代のものらしいフレスコ画。
おお、サロメ。
石を打たれているのは、ステファノだったでしょうか。
かなりわかりやすいし、色彩も美しく、保存状態も良好で、さすがに世界遺産、と感心しました。このあたりは、中央後陣のフレスコです。
なんだか、人物がみなほっそりと縦長で、足先がとんがっていて、独特のスタイルを感じる絵なんです。他ではこういうの、ないなっていう。
足がほっそり。素敵~。そしてとにかく色がとても渋くてマットで、いい感じ。もうちょっと近くでじっくり見られるとよいのですが、後陣、ちょっと遠いのが残念。
続きます。
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- 2012/11/24(土) 02:57:05|
- チロル・ロマネスク
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| コメント:3
こんにちは。お久しぶりです。
私はミュスタイアからイタリアのグロレンツ(だっけ) へバスで抜けましたのでパスポートチェックインすらありませんでした。(*^^*)
ミュスタイアのおばちゃんは感じ悪いです。日本人はバスでガヤガヤ押し寄せてフレスコ画そっちのけでお土産を買い漁り短時間で去る団体戦が多くから印象が悪いのかもしれません。
細長い人物もそうですが独特な空間ですよね。その場でみると遠くてみにくいけどこうして写真になっているとわかりやすいですね!!
- 2012/11/25(日) 03:50:00 |
- URL |
- - #79D/WHSg
- [ 編集 ]
CJさん
お元気そうで何よりです!
このあたり、行かれているんですね。グロレンツァ、わたしは、行ったりきたり通り過ぎるだけで済ましてしまって、あとから結構な観光地だったことを知り、残念におもった場所ですね。
ミュスタイアのおばちゃんはもともとそういう人なんですね。なーんだ、私だけ邪険にされたんじゃないんだとしたら、ちょっとほっとします。でもガイドツアーの説明すらしないなんて、職務怠慢だし、失礼ですよね。12フラン、決して安い入場料じゃないのに。
- 2012/11/25(日) 22:20:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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