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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

チロルのロマネスク その25

冒険の続きです。

前回訪ねたグリッシアーノGrissianoのサン・ジャコモ教会Chiesa di San Giacomoから、歩きで、シルミアーノSirmianoという村のサンタポッロニア教会Chiesa di S.Apolloniaへ行くというのが、この日の眼目、山歩きです。
この、シルミアーノという村は、20万分の1の地図にも出ていないような土地。車だと、グリッシアーノへと入り込む山道の基点となるプリッシアーノPrissianoまで戻り、そこからまたくねくねとした山道を登る、ということになるはずなのですが、歩きだと、高度のあるグリッシアーノから、同じような高度のシルミアーノへと、横にいけるはずなのです。観光局でもらったガイドによれば、45分。
山歩きをしょっちゅうしている同行者、普段ジョギングもしているし、歩くことには抵抗のない私、そういう二人にとって、45分のほとんど高低差のない山歩きは、軽いハイキングのはず。時間的には、ちょうどお昼の時間に目的地に着きそうだし、ランチが楽しみだね、と気軽な気持ちで歩き始めました。

木々の生い茂る、完全な山道です。最初はお気楽に、おしゃべりをしながら快調な山歩きだったのですが、30分弱たったころでしょうか、徐々に掻き曇ってきた空から、とうとう雨が落ち始めました。45分の道のり、という頭があるので、戻るには半端だし、悩みながらも、結局先に進みました。
これ、一人だったら、そもそも歩かなかったと思うし、雨の時点で、迷いなく引き返していたと思いますが、二人だと、お互いなんとなく依存して、大丈夫なような気がするんですね。大げさな山ではないので、大げさな事故が起きるはずもないので、別によかったとは思うのですが、これが若干大げさな場合は、複数だと誰がどう今後を決めるのか、というのは、重大な問題になるんだろうなぁ、とふと思ったりしながら。

しかし、雨は、意外としつこく続きます。
その上、もうとっくに45分すぎているのに、まだぜんぜん教会があるような土地には出会わず、ひたすら山道が続くばかり。
その上、多分こっちだよね、と進んだ道の途中が、倒木でふさがれていました。かなり激しくふさがれていたので、仕方なくちょっと引き返し、別の道を進むと、やっと開けた土地に出ました。



かなりの急斜面でしたが、牧草地のようで、原生花園状態に自然の花が咲き乱れていて、美しい草原でした。でも上りは相当きつかったです。まだ雨も落ちていたし、もう暑いんだか寒いんだかもわからないような有様。
で、やっと道にたどり着き、倒木がなければこうだったんだから、多分こう行けばいいはず、という車道に出たのです。
それにしても激しい雨で、しばらく建物の軒下で雨宿りを余儀なくされました。



中央右よりにある建物がわかるでしょうか。車道をちょっと行くと、この家の裏手に出ました。この、撮影している位置に教会がありますので、そこからもばっちり見えて、進むべき方向がわかったのです。
後から思えば、たとえ遠回りでも、その車道を進んでいたら、上の写真で言えば、建物沿いに左の方を大きく回りこんで、左下にある建物にたどり着いて、それでOKだったのですが、その時点では、全体を把握できなかったんですよね。
建物から、斜面を下る道があるのがわかったのですが、なんと、やたらとほえる犬が放し飼いにされていて、建物に近づくこともできないのです。同行者ともども、犬が苦手なもので、本当に怖かったです。家には人がいるだろうに、誰も出てきてくれないし。
で、結局、後戻りして、さっきの倒木を、無理やり越えるしかないだろう、という結論に達しました。
しかし、怖い犬がうろうろしているので、戻るのすらどきどき。私は手に水のペットボトルを持ち、何かあったらそれで威嚇しようという腹でした。
なんせ、昔チュニジアで野犬に襲われた経験がありますから、犬の怖さは知っているし、一応対応を学習しております。

幸い、犬も飽きたのか出てくることもなく、元の道に戻ることはできました。
で、倒木を無理やり超えて、急斜面を降りて、やっと目的地近くにたどり着きましたとさ。



サンタポッロニア、そうそう、あれ?教会ではなく、レストラン・カフェですか?
山の中のまたちょっとした高台に小さな礼拝堂があるんですが、鍵の管理は、その麓にあるレストラン。
ここに到着した時点で、ちょうどランチの時間ですし、雨やら犬やら倒木で疲れきっていたわれわれは、もう教会どころではなく、この看板に導かれるままにレストランになだれ込みました。

これが。
この山の中になぜこんなお洒落な店が?
それも満員?
というレストランでした。すぐわかったのですが、車道があるので、車でアクセスするのは簡単なんですね。歩きでたどり着いたのは、多分われわれだけ。汗みどろで、登山靴の足元もどろどろ状態、という姿なのもわれわれだけで、ちょっと変な空気をまとって目立っていたかもしれません。地元では、ちょっといいレストラン、というカテゴリーに入るお店のようでした。

実際このレストラン・サンタポッロニア、サービスも素晴らしかったし、本当にお勧めできるレストランです。
まずは、この後運転があるとはいえ、車まではまた山歩きで戻るわけですからアルコールなんてあっという間に吹っ飛ぶはず、同行者にお許しを得て、ビール!
そして、山のきのこソースのクヌーデル。



ソースが濃厚で、疲れた身体にいきわたる栄養、という感じで、おいしくいただきました。普段だったら、ちょっと重いとか塩辛いと文句をつけるところだったかもしれませんが、このときは本当にベストな味でした。

これとサラダだけで、かなりおなか一杯でしたが、他の人の注文を見ていて、どうしても頼まないわけにはいかない、と思って頼んだのが、デザート。



木苺尽くしの三種盛り。フランスで言うところのカフェ・グルモンみたいな感じのお皿で、もう絶品でした。木苺も、自分の畑で取れたものだということでした。ムース、ジェラート、そしてフレッシュの木苺。
甘党でない私にも、おいしく賞味できる優しい甘さで、幸せでした~。見た目が既に幸せですよね。

そんなわけで、とりあえず、山歩き=>ランチ、というコースで十分満足。危うく、なぜこんな苦労して山を歩いてきたのかを忘れて引き返すところでした。

次回、チロル最終回です。

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  1. 2012/12/07(金) 07:01:18|
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