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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

南仏、中世とお魚食い倒れ1

ヴェンティミリア1

しばらく、中世からとんでもなく遠いところを彷徨っておりましたが、やっと中世に戻ることにします。
というわけで、クリスマス前に訪ねたリグリアおよび南仏に戻りましょう。
まずは、一年ぶりとなった、イタリアはリグリアのロマネスクの旅。

リグリアは、嵐の中訪ねたサン・フルットゥオーゾ、日帰り強行軍のジェノバ旧市街とアルベンガ、に続くロマネスク。今回、予定ではコート・ダジュール直行だったのですが、イタリアとフランスの国境であるヴェンティミリアで、どうせ列車を乗り換える必要があったため、それならせっかくだからヴェンティミリアを訪ねようということにしたのです。やはりミラノからは遠い場所ですから、すきま時間を利用できるなら、ラッキーです。

すきま時間を利用して、といっても、ヴェンティミリアのロマネスクは、なかなか重要度の高い、リグリア・ロマネスクを語る上では欠かすことのできない土地です。小さな旧市街に、見るべき教会が二つもあるんですから。

その前に、久しぶりの中世散歩、足慣らしとして、旅の話を少し。

ミラノを超早朝7時に出発。7時に超早朝とは大げさ、と思われるかもしれませんが、12月後半の7時って、まるで夜中ですよ。真っ暗で夜明けの気配すらない。
車窓はずっと真っ暗で、ところどころ雪景色が広がり、いかにも寒々としています。
半分眠っている状態で、読書する気にもならず、うつらうつらとすごして1時間ちょっと。
夜明けとともに、列車は山がちなジェノバに近づいていきます。
いくつかトンネルをくぐり抜け、さて幾つ目のトンネルを抜けたときだったか、それまでのどんよりとした空気が嘘のように、ぱーっとお日様が輝き、さんさんと車窓が輝いたのでした。「雪国」と、まったく反対の状態です。
それからは、短いトンネルを抜ける度にお日様が強くなって、まるでトンネルの向こう側に冬を置いてきたような、もうびっくりするくらいの変わりようです。ゲーテが、山を越えてイタリアに来たとき、こういう感じだったのかもなぁ、と思うような、あまりにも劇的な変化でした。

ジェノバを越えて、サヴォーナを越えたあたりから、線路は海沿いとなり、ずっとリヴィエラの美しい海を車窓に眺めていくこととなります。海は久しぶりだったので、とても嬉しい気分でした。

そして、11時に、ヴェンティミリア到着。ミラノとは、もうまったく違う空気です。ほとんど春といってもいいような陽気。



このあたりは、海からすぐ山、という地形なので、鉄道駅の裏はすぐに山。
国境の駅といっても、とても小さな駅です。予想はしていましたが、やはり荷物預かりがありませんでした。駅には、荷物預かりの表示があったので、しばらくうろうろした挙句、以前はあったのが、もうずいぶん前に閉鎖になったことがわかりました。

これは予想していたので、それもあって荷物は一番小さいキャリーバックにしましたが、それにしても、これをもって坂道の多そうな旧市外は厳しいなぁってところです。



駅から近い川を渡って、正面に旧市街が見えますが、これですからね~。斜面に張り付いたような住宅地。その天辺に鐘楼が見えますが、どうやらそれがカテドラルらしい…。
荷物引きずって、あそこまで行くのか…。ちょっと泣きたい気分ですが、仕方ありません。

いざ旧市街に入ると、いきなりの坂道。ただし、車が入れない道なので、のんびり登れます。横道の階段は、こんな感じ。



これって、階段だから上れますが、坂道だったら、もう這うしかないような、そういう激しい角度です。
私の歩く道だって、いい加減激しい坂道です。



こんな感じ。わかりにくいかもですが、うっかりしていると、後ろに倒れそうなくらいです。大げさじゃなくて。
うわー、こんな道がどんだけ続くんだろう、とびくびくしながら登ったのですが、案じるよりうむがやすし、実は意外と簡単に天辺に着いてしまいました。



おお~、あっさりとカテドラルにアクセスです。息切れしてましたけどね。
カテドラル見学の前に、ちょっと変わっていて、かわいらしかったクリスマスのデコレーションを。

 


遠目には、涼やかな飾りだな~って感じで、天使っぽいフィギュアもとてもかわいいと思ったのですが、近づいてよく見たら、なんとペットボトルだったんですよね。

 


気付いたら、あちこちの家の入り口や、小路の入り口などに、様々な種類のデコレーションが飾られているのですが、それがすべて廃品利用の作品。どれもこれも、明らかに廃品なんだけど、なかなかお洒落でいい感じなんです。

 
 


結構楽しくて、荷物を引きずりながら、壁に近寄っては撮影。そもそも観光客などほとんどいないときですから、地元の人が胡散臭そうに見ていたように思いますけれども。でも、こんなことで、私の中では、ヴェンティミリアってセンスあるじゃん、とイメージがアップしました。

では、次回からいよいよロマネスクの紹介です。

ロマネスクは、こちらでもどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2013/01/26(土) 06:54:44|
  2. リグリア・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

No title

素敵ですねー!廃品に美しさを感じます。よくスペインのお祭りで女の子達が新聞紙のフワフワドレスを着て歩く姿に出会って感動しましたが、日本のお遊戯や発表会も廃品で衣装作ったら楽しいのにと思います。そうそう、関係ありませんが息子の幼稚園、発表会は演劇で主役がいません。赤ずきんちゃんが六人くらいいてオオカミと猟師が全部で15人、おばあちゃんが五人で最後まで踊りまくるかなり不思議な仕上がりですし、リレーは順位をつけません。親がバカなのか先生が弱気なのか、まあ、困ったもんです。
  1. 2013/01/26(土) 05:46:00 |
  2. URL |
  3. はなさん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

洋吉さん
赤頭巾ちゃんも狼も何人もいるなんて、落語の枕で聴いた冗談みたいな話が、本当に現実になっているんですね(私、実は古典落語ファンで、確か円生さんの枕にあったと思います)。順番をつけたがらないという話は聴いたことありますけれど、それって、おかしいですよね。勉強だってスポーツだって、好き嫌い、得意不得意があって当たり前で、順位があって当たり前。そういうことしているから、人間がどんどん打たれ弱くなっていくんですよねぇ。社会がそうしているんですねぇ。
打たれ弱いと、イタリアでは生きていけません。
いやはや。本当に困ったもんですね。
  1. 2013/01/26(土) 23:39:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

さちこさん
ほんとだよ。あきれちゃうよね。
  1. 2013/01/30(水) 20:52:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

お久しぶりです。ヴェンティミリアはパソコンの中で旅程その他を暖めて、ついに行けなかった町です。アルベンガに行ったときは恐ろしいほどの荒天で波が怒り狂っていたので、明るいリグリアの海にあこがれます。国境を越えてイタリアに入ると、「君よ知るや南の国」という歌を思い出したものです。
  1. 2013/02/06(水) 04:59:00 |
  2. URL |
  3. kik**o193* #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

完全に行かれたと思っていました。
では、細かく紹介できてよかったかも。
あと、貴サイトで行き方を復習してノーリをクリアしたら、リグリア編、一丁上がり、ってところです。笑
  1. 2013/02/07(木) 22:04:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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