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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

南仏、中世とお魚食い倒れ5

ヴェンティミリア5
カテドラルCattedrale d'Assuntaの続きです。
地下にあるもうひとつの見所、洗礼堂。




11世紀から12世紀にかけて作られた八角形の建物で、今は地面が、教会の地下、クリプタよりもちょっと低い位置にある感じです。
後ほど、外観の写真を載せると、もう少しわかりやすいかと思うのですが、このカテドラル、ファサード側から後陣に向かって、地面がかなり落ち込んでいます。古い建物だと、当時の地面より今の地面が上がるので、オリジナルの床面が、現在の地面より低い場所になることはよくありますが、ここは、そういうことではなく、もともとの地形が斜面だった場所に、複層的に建物が建てられていった感じです。




洗礼堂へは、後陣に向かって左奥にある小さな螺旋階段を降りていきますが、こちらもクリプタ同様、階段の入り口に明かりがあり、自分で点灯して下りると、贅沢にも煌々とした明かりの中で見学ができるようになっています(最初は気付かず、真っ暗闇に降りていって、しばし呆然。しかし、クリプタのように、絶対明かりがあるはず、としばらく探し回りました)。




スペースの真ん中に、全身浸かることのできるタイプの洗礼浴槽が置かれています。
これは13世紀のもので、オリジナルは、今、壁のニッチ部分に置かれている、もっと小さなものだったようです。そちらには1100という印があるようです。




初期キリスト教当時は、全身浸かるタイプだったはずなので、本当のオリジナルには、そういうものがあって、ロマネスク時代に、小さなものになって、なぜかまた大きなものが置かれた、という複雑な歴史があるようですね。

建物も、ロマネスク以降ルネサンスの時代の建物が複雑に交じり合った結果のようで、場所以外は、本当のオリジナルは見られないようです。




壁の隠れた部分に、きれいなフレスコ画。これはルネサンス期っぽいものでした。
なんだか、ディテールに気をとられて、全体がかなり新しいことに気付いていなかったのですが、実際、かなり新しいですね。

なぜディテールに気をとられたかといえば、ここでも、おそらく発掘で出てきたのであろう、いかにも、の愛らしいものが、たくさん展示されていたからです。
こういうの。




柱頭ですが、一方に妙に不思議な愛らしさのある馬がいて、一方には、変な形のウサギ。




予想以上に素晴らしいお宝にめぐり合って、ここは去るのが、心底名残惜しかったです。誰も来ないのも嬉しくて、誰かが来るまでいついちゃおうかと思ったくらい。明かりがきちんとあったり、本当にきれいに整備されているのもとても嬉しい気持ちになりました。

すっごくいい街じゃん、ヴェンティミリア。
フランスからの帰りに何度か通過して、フランスのこ洒落たコート・ダジュールの街から来ると、どうにも「ださ!」くて、観光しようとしたこともなかったんですが、大反省です。ロマネスクにはまったおかげですね。

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  1. 2013/02/02(土) 06:38:52|
  2. リグリア・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

ヴィンティミリア、懐かしいです~。私が行ったときは洗礼堂が開いていなかった(外から入ろうとしたの)と思い込んでいたのですが、後陣から階段があったのですね。クリプトを観ただけで、昼休みになったので、どちらにしても駄目でしたが・・・。フランス人の神父様には会われなかったですか?
  1. 2013/02/03(日) 05:02:00 |
  2. URL |
  3. Teruteru #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

Teruteruさん
そうだったんですか、残念でしたね。
でも、とても分かりやすかったので、きっと中からも入れなかったと思います。それに、ずいぶんときれいだったので、最近こうなったのかもしれません。
神父さまどころか、びっくりするくらい誰もいませんでした。
そういえば、他の教会の前で会った神父様が後からいらしていて、カテドラル入り口で挨拶しましたが、フランス人だったかどうかは不明です。でも、素敵に穏やかな笑顔の方でした~。
  1. 2013/02/03(日) 22:19:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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