カンヌ
さて、知る人ぞ知る、のカンヌで出会える中世の世界にご案内します。
レランス諸島はサントノラ島。
今ではちょっと町外れになってしまっているカンヌの旧港から、そのレランス諸島行きの小さな船が出ています。
レランス諸島は、カンヌの港からも目視できるくらいの近くにある、サント・マルグリット島とサントノラ島という二つの小さな島。私が興味を持ったのは、島全体が、今でも修道院となっているサントノラ島です。
カンヌの港からだと、サント・マルグリットの後ろに隠れているような横長の細長い島の方です。
これは帰りに撮影したものですが、こんなに横長で、平べったくて、こんな形態で、中世の昔からずっと同じ姿をして存在しているなんて、なんかすごい。
朝一番に港に行った所、まだチケット売り場も開いていないし、客らしい人も誰一人いないし、本当に船が出るのか不安になったくらいでしたが、その日最初の便が出る10分くらい前にチケット売り場がオープンして、お客さんも数人。しかしすべて関係者っぽく、観光客は明らかにわたし一人でした。
いざ出発。
余りお天気がよくなかったので、実は船酔いが心配でした。
というのも、以前、リグリアのカモリから、世界遺産となっているサン・フルットゥオーゾに船で行った際、たった30分程度なのに、すごい船酔いをして、到着時には顔色真っ青で死にそうにふらふらになった経験があったからなんです。まぁそのときは、1時間後の帰り便を最後に船が運休するくらいの嵐状態だったので、海の状態が普通ではなかったんですけれども。
ところが今回、海は超穏やかで揺れもなく、酔う暇もないくらいにあっという間に到着してしまいました。20分くらいだったと思います。よかった~!
事前に、カンヌの観光局で地図をもらったりしていたものの、実際にどの程度の広さなのか検討もつきませんでした。島のあちこちに、小さな教会が点在しているらしかったので、全部回れるのだろうか?
実際に島を目にすると、さほど大きくはないものの、横に広がっている分、一周するのは意外と時間がかかるのではないかという印象です。
上の地図の下がカンヌ側で、そこに小さな船着場があります。
島の中を突っ切った反対側に、現在も機能している修道院施設と、島で最も大きな要塞教会があり、島のあちらこちらに、時代の異なる礼拝堂が点在しているようです。
まずは、修道院に向かいます。
船着場で降りたのは、わたしを入れても4人ほどで、みな何らかの目的を持っているようで、あっという間に散っていきました。
目の前に広がるのは、こんな風景。
さっさと歩いていく同じ船のお客さんが、既に遠く見えます。
こういう風景、想像していなかったので、すごくびっくりしました。自然そのまんま。
わたしは急ぐ旅でもないので、この土の道を、のんびりと歩きました。森が途切れたら、
木の扉があり、中は畑らしい。朝も早いのに、畑仕事をしている人の気配も感じられます。扉は、トラクターなどが入るためか、全開でしたが、丸いマークの中には修道士をシンボル化した図と、「修道士以外進入禁止」の文字が書かれています。
シンボルがかわいいなぁ、とちょっと覗き込んで、一瞬、足が止まりました。
樹齢が何百年にもなろうかという大きなオリーブの木の根元近く。何だと思いますか。
きじ。ですよね。
鮮やかな色が、緑に映えて、とても美しかったです。
きじは、イタリアの田舎でも目にしたことがありますが、普通はやっぱり逃げます。このきじは、悠々と地面をついばんでいました。放し飼いで飼われているのか、または、修道士は、追っかけたりしないから、安心して生活しているのか。豊かで幸せな風景でした。
そして、島を横切ると、反対側の海辺に出ます。基本的に島の隅々まで緑で覆われていて、海が見えないようになっているのですが、ところどころ、人工的に緑に切れ目を入れた、緑のトンネルみたいな場所があり、好奇心満載で潜り抜けたら、水辺に出ることができました。
とてもきれいな岩場で、水も透き通っていて美しい入り江。まるで童話の中の一枚、というような風景です。
歩いていくと同じような秘密のトンネルがいくつもあるので、ついついくぐっては海辺に出ることを繰り返していると、おっと。見てはいけないものを見てしまった。
実はこの島、修道院の持ち物となっていて、島内での喫煙が禁止されています(夏でも、ノースリーブとか、教会に入るにそぐわない服装も禁止らしいです)。火災防止もあるのでしょうが、島のあちこちに、見逃しようのない「禁煙」マークが掲げられています。
ところが、ある入り江にアクセスしようとしたら、ぷん、とタバコのにおいがして、行こうとした先の方に、岩に腰掛けて喫煙しているおばさん風の姿が目に入ってしまいました。
修道院関係者かもしれないし、どうやら修道院内に宿泊施設もあるようなので、その宿泊者かもしれないし、真相は不明ですが、いずれにしても、禁煙をわかっていて隠れて吸っていたのでしょうから、なんとなく、みっけた~!という状態も居心地悪い気がして、すぐにきびすを返して、他の海辺に行きました。
なんだかおかしかったですけれど。やっぱり「みっけた~!」とやった方がよかったかしらと思ったり。くすくす。
こういう緑のトンネルをくぐって。
やっぱり美しい海に出会えます。
本当に透き通っていて、嘘みたいに美しい水。寄せる波が泡立って、空気も風邪もにおいも、なんとも言えず気持ちがいい。
かもめもやっぱりのんびりしている感じ。
ああ、テーマは中世でした。
次回…。
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- 2013/02/13(水) 06:31:39|
- プロヴァンス・ロマネスク
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| コメント:4
レランス島じゃなくてサントノラ島でしたね。長年憧れていた割にうろ覚えでした(汗)更新の新しいほうから拝見させていただいていますので、話がずれ気味で失礼してます。
のんびりした良いところですね~果たしてバカンスの夏は静かかどうかですが・・・
- 2013/02/25(月) 15:32:00 |
- URL |
- Teruteru #79D/WHSg
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船がそんなにないので、最後は慌ててしまったんですけれど、Teruteruさんは、いつもごゆっくりされるようなので、島全部を堪能されることができそうです。はずれに行けばきっと静けさも楽しめそうです。
- 2013/02/26(火) 22:36:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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ガヴィさん
中世の昔から、ずっと修道院の島らしいんですよ。これだけ観光地化しているカンヌなのに、そういう土地が残っているというのが驚きでした。島だったのがよかったんでしょうけれど、それにしても、厳かでよい感じでしたよ。
- 2013/02/27(水) 22:13:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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