フランス・ロマネスクをちょっとお休みして、イタリア北部に寄り道します。
なぜ突然の寄り道かというと、実は今週、仕事でブリアンツァに行くことがあったのですが、そこが、昨年ぶらぶらと回った中世の遺構のある町のひとつだったのです。そういえば、チロルやフランスにまぎれて、これはアップしていなかったのではないか、と唐突に思い出したので、忘れないうちに、反芻しておこうと思ったわけです。
ブリアンツァは、ミラノと、コモやレッコの湖水地方の間に広がる、起伏の激しい丘と谷の土地です。家具の産地として有名なので、古くからよい木材がある土地だったのだろうと想像されます。今でも、緑が一杯で川が流れて、美しい風景がそこここに広がります。
ミラノからは、距離は近いものの、そういう土地なので、実質的な走行距離の割りに、移動には時間がかかるのですが、高速に乗る必要もなく、半日程度のドライブには最適なので、特に計画してまで出かけたくないけれども、ちょっとどこか行きたいな、という週末の半日、時々ドライブに出かける土地です。
もともとロンゴバルドが多く定住していた土地だけに、キリスト教の遺構はたくさんあり、小物ばかりとはいえ、ディテールにちょっと面白いものがあったりします。日本から来てわざわざ足を伸ばす場所ではないので、実際訪ねる方もほとんどおられないだけに、あえてご紹介したいと思う地域でもあります。
今回訪ねたのは、その中でもさらにマイナーな土地ばかり。
まずは、ブルチアーゴBulciagoのサント・ステファノ教会Santo Stefano。
ここ、起源は古いのですが、今ある建物は、おそらく1700年代の再建。でも付け柱とアーチが美しく再建されていて、石積みも美しくて、本当に小さい小屋程度の建物なんですが(農家の納屋とか穀物倉とか、そういう雰囲気です)、住宅街の一角に、かわいらしくひっそりとたたずんでいました。
今でも、もちろん現役の礼拝堂です。
次に訪ねたのは、クレメッラCremellaのサン・ピエトロ教会San Pietro。
サン・ピエトロは以前あった修道院の名前で、現在は教区教会となっており、名称も、サンティ・シシニオ、マルティーノ・エ・アレッサンドロ教会Santi Sisinio, Martino ed Alessandroと、聖人をありったけ祭っているような名前になっています。
ここらしい、と迷いながらたどり着いたのが、こんな眺め。
このファサード、どう考えても違いそうだけど、でも奥の方に、思いっきり修復中の鐘楼が見えます。実はお目当てのひとつが、この12世紀の鐘楼だったんですが、これだとすれば、既に残念でした、状態。
工事中のたて看板を見ると、確かに中世の塔のようでした。残念!また来ることもあるだろう、と思い、実際今回仕事で近くまで行ったのですが、残念なことに立ち寄る時間はありませんでした。ちらりと鐘楼の姿が見えたように思うのですが、それには既に工事の覆いがなかったので、修復は無事終わったと思われます。
もうひとつ見たかったのがこれ。
中世時代の浮き彫りです!素朴ですっごくかわいいライオン君。庭に、無造作に転がっていますが、11世紀の、柱頭であったとされています。でかいな~。
お隣の面はこれ。
なんとも素朴で。こちらもライオンなのでしょうが、猫というか変なものにしか見えません。鼻先に置かれた花か葉っぱのモチーフから、ロンゴバルト入ってる感じです。地元の石工さんの作品なんでしょうねぇ。コモからこんなに近いのに、こんな素朴な浮き彫りって、このあたりが当時もきっと田舎だったということなのかな。確かに今でも道が曲がりくねって、山っぽいし。
わたし好みなのが、わかっていただけるでしょうか。
もう一回、続きます。
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- 2013/03/22(金) 05:51:12|
- ロンバルディア・ロマネスク
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